第24話 デート?
赤石健介、28歳。人生最大級の緊張が、今まさに訪れていた。
隣には、美人な女性。一緒に来たショッピングモールでも、周囲の視線がやけに刺さる。
……ごめん。
俺、釣り合ってないよな。
分かってる、分かってるんだそれは!それにこれはデートじゃない!
断じて違う!許してくれ!
……デート、じゃないよな?
一応調べたことがある。男女二人で出かければデートと捉える説もあるらしい。だが、必ずしもそうとは限らないとも書いてあった。
……いや待て。そもそも俺みたいなのが女性と二人で出かける機会なんて滅多にないんだ。デートかどうかなんて考えてる暇があるなら、今この状況を楽しめって話だろ。
……なのに、なんでこんなに申し訳ない気持ちになるんだ。
いやいや、今回は遊びだけじゃない。ちゃんとした目的がある。
仕事だ、これは仕事。しっかりやれ、俺。
ーーそう、遡ること1日前。
先日拾ったハンカチをどうしたものかと悩んでいた俺の部屋に、桃西さんが訪ねてきた。
「ごめん赤石くん、明日って予定空いてる?」
「あ……はい。空いてますけど?」
「本当?じゃあ、もしよかったらなんだけど……明日、私に付き合ってくれない?」
ーーえぇ?
目的は、洋平への誕生日プレゼント探しだった。
彼女が洋平の喫茶店で働き始めたのは、俺のアパートに引っ越してきてから。つまり二年前。
最近になって彼の誕生日を知ったらしく、日頃のお礼も兼ねてプレゼントを渡したいらしい。
……俺も何か用意しないとな。
とはいえ、毎年お互いの誕生日には飯を奢るのが定番だ。今年もそれでいいか。
問題は桃西さんのほうだ。渡したい気持ちはあるのに、何をあげれば喜ぶのか分からない。
だからーー洋平の親友である俺に、白羽の矢が立ったわけだ。
……いや、桃西さんがくれるものなら、あいつは何だって喜ぶと思うけどな。
もしそうじゃないなら、そのときは……俺が洋平を倒すしかない。
……と、そんなこんなでプレゼント探し当日。
近くのショッピングモールに来てみたものの、やはり視線が気になる。
いや、気持ちは分かる。意識しないと、俺でもついずっと見てしまいそうだ。
今日の彼女は、淡いピンクのワンピースに黒のカーディガン、足元は白のスニーカー。
見慣れているのは、バイト先でのバリスタ姿だけだ。だからこそ、この私服には妙な特別感がある。
髪は下ろされていて、丸メガネ。
……いつもはしていないし、普段はコンタクトなのか?
そんなことを考えながら、モール内を並んで歩く。
「赤石くん……プレゼントもらうなら、消耗品とそれ以外、どっちが嬉しい?」
「そうですね。どっちも嬉しいのは当然なんですけど……使うたびに相手を思い出せるので、俺は消耗品じゃない方が好きですかね」
「なるほどね。じゃあ雑貨とかかな?」
「そうですね、それがいいと思います」
「ハンカチとかタオル、マグカップ……あ、でもハンカチってプレゼントには縁起悪いんだっけ?」
「ああ……聞いたことはありますね。でも実用性はありますし、いいと思いますよ。洋平って、自分でそういうの買わないタイプですし。もらったら普通に喜ぶと思います。……男の一意見ですけど、俺ももらえたら嬉しいですし」
「そっか。じゃあ、ひとまず雑貨屋に行こっか」
「はい!」
……ハンカチ…………ハンカチか。
一体あれは誰のなんだろうなぁ。
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