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第12話 青色の告白

 ダミーヘッドマイクだって⁈


 ダミーヘッドマイクはよくASMR配信で使われるもので、青凪さんは今まで使ったことはなかった。


『クロマリンク』の中でも、お姉さんキャラで人気を博している紫峰カレンさんしか使っていない。

 それを彼女が扱うなんて……。



 彼女のキャラクターで行うASMR配信がどんな破壊力を持つのか知らないのか?

 俺は体中から汗が飛び出して止まらない。



 青:『ちょっと準備するから、一回カメラとマイク止めるね』


 待機画面になる配信画面。

 ワクワクとドキドキが止まらない。


 ※※


 数分後、待ちに待った実写画面が表示される。


 青:『じゃじゃーん。 どう?』

青凪さんの体の前には、顔の形をしたダミーヘッドマイクが陣取る。


 青:『聞こえるかな?』


 青:『おーい』


 彼女が右耳、左耳、後ろと移動しながら、話しかけてくれる。

 少しこそばゆいような、ふわふわするような衝撃が全身を襲う。


 イヤホン…もっと高いのを買おう。


 青:『どうかな? 君たち楽しんでくれてる?』


 青:『今日はお試しだし、一言言ってから配信を閉じようと思うよ』


「ありがとう!」

「一言楽しみ!」

「今日観ていて良かった」


 彼女が一言話してくれる。

 俺たちのワクワク感は最高潮に達する。


 青:『あっ!…でも、恥ずかしいから実写はここまででやめるね』


 彼女はカメラをオフにする。

 待機画面に戻るかと思ったが、真っ暗な画面になる。


 ーー数秒後。




 青:『“私“はあなたが好きだよ』




 ーー!!


 全身に雷が走ったような衝撃が走り、背中から全身を包み込むような衝撃を俺たちを襲う。


 配信画面が真っ黒だったこともあり、音声だけに集中されたこの言葉は効果が絶大。


 彼女含め、俺たちの時が一瞬止まる。



 数秒経ちーー

 あるリスナーが反応する

「あれ? “私“って言った?」


「あっ!」

「確かに!」

「あれ? 間違えちゃった?」

 そのコメントを機に、次々とリスナー達がコメントを残す。


 青:『間違えちゃった…… 良い?みんな? ボクの一人称は“ボク“だからね!』


 青:『ごめん忘れて! 今日はありがとう! またね!』


 彼女は少し恥ずかしがりながら、配信を閉じた。



 俺は座っていたチェアに背中を預ける。

 意識はハッキリしているのに、呆然してしまったように体が動かない。


 唯一感じるのは、衝撃を最初に受けた右耳の温かさだけだった。

お読みいただき、誠にありがとうございます。

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