表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/16

耳の痛い話

殿下、とリチャードが言った。


「覚えていない、ということが免罪符になっていませんか? 殿下は覚えていなくても、ベラドナ様は鮮明に思い出したのでしょう? やった方は忘れていて、やられた方は根に持っている。お二人には温度差があるのです。殿下のその態度では、歩み寄りは難しいでしょうね」


「その態度って?」


「開き直りです。思い出せないんだから仕方ないだろう。身に覚えのないことで責められても反省しようがない。そうお思いですね」


僕が間違っているときはビシッと言ってくれとは言ったが、さっそく耳が痛い。


「それはだって……そうだろ」


「では、もし今晩お眠りになったときに全てを思い出したとして、同じような態度でいらっしゃられますか? ベラドナ様に酷い仕打ちをしたことを、克明に思い出してしまったときの事をご想像ください。殿下が思い出そうと思い出さないままであろうと、ベラドナ様にとっては『確かにあった過去の出来事』なのですよ。心に受けた傷は大きいかと思いますが」


はっとした。彼女の言葉を彷彿としたからだ。


『殿下が信じようと信じまいが、わたくしにとっては真実ですから』


あれはこういう意味か。


「では僕はどうすればいいんだ。土下座して謝罪すれば良いのか?」


「それが『開き直り』というのです。ベラドナ様の話にもっと気持ちを寄り添われて、お聴きになってみてはいかがですか。殿下のことですから、さらっと流し聞きされたのでは? 土下座どころか、謝罪の言葉の一つも口にされていないのではありませんか? 身に覚えがないから仕方がないだろうと」


図星だった。

前々回の人生で、僕は彼女に随分酷い仕打ちをしたという話だが、前々回のことなど言われても知らぬと、何一つ反省の態度を示していない。

そもそも反省などしていないのだ。

覚えていないことで責められても困ると、リチャードの言う通り、完全に開き直っている。


しかしもし今晩眠りに就いて、前々回の人生や前回の人生を克明に夢に見てしまったら……慌てて反省するのだろうか。

僕が思い出そうが思い出さなかろうが、彼女にとっては真実であるのに。


「よく分かった……ありがとう、リチャード。よく言ってくれた。彼女の話をちゃんと心から聴いて、これからどうしたいか決めるよ」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ