4.世界渡りの意識と救いを与える歌姫 幕間
「すみません、彼、隣にたどり着く誓いとか忘れてしまっていませんか?」
「ハハハ、おそらく、彼は実際の距離として、隣に近付いているからでしょうね。
彼は近づけていますが、こんな偶然、現実では起こり得ないことですから、近付けていない他のファンの方の嫉妬を感じて書きづらくなっているのでしょう」
「そこを俺たちで何とかするんですか?」
「ハハハ、ですね。と言っても、忠告するくらいしか‥‥。
私達はあくまで理の裁きを軽減する提案しかできませんし。
ですが、彼女が相手の場合なら。
今のコロナの情勢下で実際の距離が近付いているならいいだろと彼の邪魔をしたら、彼は近付けているのに、コロナ等でライブやイベントで彼女に実際に近づく機会が減ってしまいますよくらいの忠告しか」
「ハハハ、まあ、セカイケンですからね。世界のためにならなくなる願いなら、世界のためになる願いに負けてしまうのは当然ですかね。
その性質というか機構上」
「おや、あなたにもわかりますか?」
「わかりますよ。
世界を救う存在を送り出したことで完成した機構なんですから、その救いを邪魔して現実での完成を妨害したり、
世界のためにならない願いを祈ったら、逆効果になるに決まっているではないですか。
完成する理由と反対のことをしているのですから」
「ハハハ、ですよね。
まあ、彼はそれを彼女のファンはしていないと信じていますが」
「は?」
「彼はお人好しの部分がありましてね。あんなにいい人のファンがそんなことをするわけがない。
だって、あの人のファンなんだよ!?
ですからね」
「それはおめでたい思考で」
「彼ならそれを周りに置き換えてもそうなんでしょうね。
ですから、彼女と彼に関わる方々、お願いですから。
セカイケンの機構たる彼の信頼を、彼を裏切らないであげてくださいね?
それとも、セカイケンに裏切られる覚悟で、セカイケンを裏切りますか?」




