4.世界渡りの意識と救いを与える歌姫 第三章 01きっかけはゲーム?
彼は小説の息抜きにと、ゲームとコラボしているカフェ、いわゆるコラボカフェに行くことにした。
そのゲームは、彼の惹かれた声優さんも出演しているスマホゲームのカフェだった。
同時にその声優さんを初めて知った作品でもあった。
そのゲームを始めたきっかけは、そのゲームがいろんなゲームの集合しているコンテンツでやっているのが主体だった時に、
あるライトノベル作品のゲームの招待ボーナスを得るために、そのコンテンツの他のゲームをやっている人をお互いに誘い合うという方法を試したことだった。
彼はどこか真面目なところがあり、お互いに誘い合っても、そのゲームをやらないと結局はズルではないかという考えがどこかにあった。
ゆえに誘い合ったときにそのゲームを続けることにしたのだ。
まあ、ストーリーの一部でつまずいて、しばらくログインだけになってしまう時期もあったのだが。
まあ、そんな経緯があり、純粋にそのゲームが好きだったので、彼はコラボカフェに行った。
開店したときに一度、行っているので、二度目なのだが、今回はバレンタインイベントで、特典やメニューが追加されているとのことだった。
彼は食事を済ませ、特典のランチョンマットをラミネート加工しようとロビーに向かうと同じようにランチョンマットを持っていて困っている人を見かけた。
もしかしてと思って、彼は声をかける。
「もしかして、ランチョンマットのラミネート加工がしたいのですか?」
「ラミネート加工?」
違ったかと思い、戸惑いながら、顔を見ると、
「えっ、ーーーーさん」
「あなた、この間のイベントの時の方ですか?」
彼の惹かれていた声優さんだったのだ。
「そうです。自分、このゲームがかなり好きで、このゲームでーーーーさんを知ったのですよ。
あっ、本格的に進めたのはテレビで情報番組が始まってからなんですけど、ストーリーでつまずいていたんですけど、あっさりクリアできて、そこから無我夢中でストーリーを進めたら、いつのまにか最新話においついて――ー」
「ぷっ、ははは」
「えっ、えっ」
彼は戸惑う。声優さんが急に笑いだしたからだ。
「私のファンかと思ったら、このゲームのファンだったんですね。ちょっと残念だな~」
「あっ、そっか、ゲームのことで弾丸トークしてしまっていましたか。すみません。って、残念が茶番なのは知ってますよ。ゲームのフェスとかでも、そのフリあるではないですか」
「ははは、私のこともきちんと観ているんですね」
「ーーーーさんも、このゲーム、自分でも進めているんですよね? そうだ、よかったら、ゲームのフレンドになってくれませんか?」
「フレンド、う~ん、まあいいですよ。その代わり、ラミネート加工もおしえてくれますか?」
「いいですよ。カウンターで数百円払って、ラミネート加工の材料を買って、そこの機械にかけるだけです」
「って、めちゃくちゃ簡単じゃないですか!?」
「ははは、それでも、どこにも書いてないから、カウンターで質問しないとわからないですよ。自分はこれ、わからない人も大勢いるんじゃないかなと思っていましたから」
「私だって、そのくらいわかりますよ!」
「まあ、約束ですから、フレンド登録お願いしますね」
「ずる~い」
「「ははは」」
彼はこうして、まずは彼女とゲームのフレンドになった。




