セリフの使いまわし
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約束の十二時になり、俺たちは駅前広場に戻り賀田川と英輔と落ち合ってから、すぐ近くのモスバーガーで昼飯を食べることにした。
昼時のせいか店内はかなり混んでいたが、俺たちはどうにか五人分の席を確保できた。
俺と荒井が並んで座り、向かい側に後輩三人が陣取っている。
荒井はポテトだけ頼み、静かにもそもそと食している。……足りるの?
対照的にモコはさっきコロッケを四個も平らげたのに、モスバーガーを三つ、さらにオニオンリングまで頼んでいた。あの小さい体のどこにあんなにメシが入るんだ……。
「さっき……もむもむ……占い師さんに……もむもむ……占ってもらったのですが……もむもむ」
モコがモスバーガーにかぶりつきながら喋った。喋るか食べるかどっちかにしてくれ。
「あ、もしかして商店街の占い師? 銀髪のカッチョイイ人でしょ!」
賀田川が身を乗り出した。おお、瞳が輝いてるぜ。
「そうです。そこらの阿呆男子高校生などとは比べ物にならないほどに素敵な方です」
ちらちらと俺のほうを見るモコ。
「……なんか引っかかる言い方だな」
「誰も先輩のことだなんて言ってませんよ。おほほ」
「てめえ……」
「まあまあツヅクさん。抑えるっすよ」
英輔に言われ、俺は大人しくハンバーガーをかじった。うめぇ。
「あの占い師さんかっこいいよね~。今は『カット・デスサイズ』に寝泊りしてるんだって言ってたよ。時々お店の手伝いもするみたい」
「それは良いことを聞きました。私があのお店でチョキチョキしてもらうときには、銀四郎さんを指名します」
「あの銀髪野郎は手伝いだろうが。絶対にカットなんかしてないって」
「うむむ、それは残念無念です」
モコは本当に残念そうな顔をした。そして三個目のモスバーガーをかじった。残念無念でも食欲は減退しないらしい。
「それにしても面白いスポットができましたね。占いだなんて。私、毎朝その日の運勢を聞きに行くかも知れません」
「テレビの占いで我慢しろ」
「テレビの占いなんて裏側を見ればなんてことはありません。適当にでっち上げているに決まっています」
「そうですよセンパイ。テレビよりも銀四郎さんのほうが良いですよぉ。ちなみにわたしはですねー、英ちゃんと一緒に占ってもらったんですけど、なんか『今、君たちが希望だと思っている何かを信じ、前へ進むといい』なーんて言われちゃいました~」
「え」
と俺。
「むむ」
とモコ。
「…………」
無言の荒井。これはまあ、いつものことなんでスルーの方向で。
「およ? どしたの?」
「……あーいや、なんでもねえ。いいじゃん希望。がんがん前へ進んじまおうぜ!」
「そ、そうです。先輩の言うとおりです! 賀田川さん、あとは野となれ山となれです!」
俺とモコは異様なまでのハイテンションで狂ったようにまくし立てた。
あとは野となれ山となれは希望とはかけ離れてるけど、突っ込まないでおこう。
「ですよねですよねっ!」
賀田川はにっこりと笑い、ポテトをつまんで口の中に放り込んだ。
……あの占い師、セリフ使いまわしてんじゃねえかよ。こりゃああんま当たりそうもないな。テレビの占いのほうがまだマシだ。うん。




