一炊の夢 ~アンリ・ルソー「夢」より~
Henri Julien Félix Rousseau La Rêve 1910
(著作権フリーの画像を掲載しています)
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誰も教えてくれないけど
ここはジャングルで
聞こえてはこないけど
どこかで悲鳴が上がってる
ライオンだって心配そう
気をつけなよ
強くたって油断はできない
サイは用心深く隠れてる
罠は あちこちに潜んでる
引っかかる奴が馬鹿なんだよ
ヘビは口も利いてくれないし
鳥は よそ見してる
むわりとした夜
眠れない夜
今まで 見えてなかっただけだ
独りぼっちで立った時
ようやく ちゃんと目が開いた
弱肉強食の掟は
建前という壁の裏側に
べったり貼り付けられている
生きていけるかな?
さあっ……と
月の光が 答えを照らし出した
奪われて 踏みにじられても
駆け寄って助けてもらえると思うな
泣いて乞う暇があったら
全速力で逃げ出せ
うん、わかった
お上品な服も
この身を飾り立てる宝石も
クローゼットにしまっておこう
謙遜は命取り
嘘のつけない場所で
私は何を求めるんだろう
世界に花は咲いている
草は伸び続けている
蛇使いが曲を奏でている
どうせなら楽しもうよと
そして私はソファーの上で
裸になって歌い出す
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【夢】
この絵のタイトルは、ずばり「夢」。
ルソーが絵に添えた詩があります。
そのまま転記するのも芸がないので、超訳してしまいました。
美しの君
名は ヤドヴィガ
穏やかな眠りの中
縦笛の調べに ふと気づく
おお! そこはジャングル
獣や蛇も揃って 月夜に耳を傾ける
まあ、この絵は彼女の見ている夢だと、アンリ・ルソーは言っているわけです。
でも、彼女がいるのは、ソファーの上。
そこだけは、現実の地点。
もし、この「夢」が、憧れや幸せに満ちた世界であるならば。
ヤドヴィガは、ソファーなんかじゃなく、ジャングルの中にいて遊んでいるのではないか。
裸の彼女は、そこから動かない。
「ここにいれば安心」とでもいうように。
がっしりしたソファーは、危険な世界にポツンと置かれたシェルターみたいに見える。
ということは……
描かれたジャングルは、本当のジャングルではなくて。
「ジャングルのような」という、比喩表現であったとしたら。
と思って詩を書きました。
ちなみに、このアンリ・ルソー。
自画像 1903年
Henri Julien Félix Rousseau(1844-1910)
一文で紹介すると。
生前は評価されず、極貧で、それでも描き続けた我流の画家。
その根性の欠片を分けてもらいたいです。




