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追放された悪役令嬢、赤字辺境領を押し付けられたので帳簿から立て直します  作者: 水城ルナ


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第28話 動かなかった結果

 悪化は、予想より早かった。


「……南部三領、完全に止まりました」


 マルクスの報告は、短く、重い。


「物流、三日停止。市場への流入が止まっています」


 私は、帳簿を開く。


 滞留日数。

 在庫量。

 代替ルート。


「……まだ、暴動は?」


「出ていません」


 それが、救いだった。


 だが――時間の問題でもある。


 昼、ミーナが慌てて駆け込んできた。


「エリシア様、現地から――」


 息が、少し乱れている。


「倉庫が閉じられました。責任の所在が決まらないまま」


 私は、静かに頷いた。


「想定通りね」


 彼女は、目を見開いた。


「……助けに行かないんですか?」


「行きません」


 即答だった。


「どうして……」


「今、動けば」


 私は、板を示す。


「“止めれば誰かが来る”と学習します」


 ミーナの唇が、震える。


「でも、現場の人が……」


「ええ」


 私は、否定しない。


「苦しみます」


 その言葉は、重い。


 午後、再び非公式の使者が来た。


「……状況が悪化しています」


「把握しています」


「では、そろそろ――」


「まだです」


 私は、帳簿を閉じた。


「条件が揃っていません」


 使者は、声を荒げた。


「これ以上放置すれば!」


「責任者が、まだ困っていません」


 沈黙。


 それが、核心だった。


「困っているのは、現場です」


「ええ」


 私は、繰り返す。


「だから、決断できない」


 夕方、エルナが来た。


「……商人、怒ってる」


「でしょうね」


「でも、王都も動いてない」


 私は、頷いた。


「誰も、決めたくない」


 それが、この停滞の正体だ。


 夜、ミーナが静かに言った。


「……冷酷です」


「ええ」


 私は、逃げない。


「でも、これが現実です」


 私は、帳簿に線を引いた。


「ここを越えたら、動きます」


 数字で示す。


「在庫、あと二日」


 ミーナが、息を呑む。


「……それまで、何もしない?」


「準備はします」


 私は、ペンを置く。


「責任者が決断した瞬間に、動けるように」


 それが、調整役の仕事だ。


 動かないことは、逃げではない。

 決断を、他人に返す行為だ。


 この二日が、

 誰の仕事なのか。


 答えは――

 もうすぐ、はっきりする。


本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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