↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
みんな真面目なのに、会社は赤字です。――十一人目の新人から始まる会社再建  作者: 竜太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
8/120

五分ずれた時計

久世匠は監視基盤を支える機械の癖を、家族の寝顔よりよく知っている。古い設備と新しいクラウドをつないだ結果、同じ出来事が違う時刻で記録されることがあった。原因はすでに分かっている。しかし緊急の修正が優先され、時刻補正の手順だけが作業予定表に残り続けていた。

その日、訓練用のログを見た良助が「この通知、先に届いてますね」と言った。久世は一瞬、意味を測りかねた。検知の時刻より収集の時刻が五分早い。異常な攻撃ではない。訓練環境に残った旧式の時計設定だった。「よく見つけたな」「順番が逆だったので」。良助は騒がず、久世が直すところを隣で見ていた。

久世は修正内容を記録する際、良助に作業内容を説明した。顧客の実データには権限が必要で、原因が同じに見えても勝手に一括修正してはいけない。良助は「小さい違いを同じものにしないんですね」と聞き返す。久世は少し嬉しくなった。便利な自動化ほど、その区別を失いやすい。

夕方、久世は社長へ時計同期の修正工数を申請した。今までなら自分の深夜作業で済ませていたところだ。「請求できる仕事じゃないけど、事故を防ぐ仕事ではある」。銀利はすぐに承認し、他の予定を一つずらした。相変わらず忙しい。しかし予定表に仕事の名前が載った。 久世は機械の修理より、なぜその作業をしたのか書くことのほうが苦手だった。だが後任が迷わないなら、今日の数分は無駄ではない。

閉店間際の工具店から新しいケーブルが届く。久世は箱を開け、緩んだ留め具を交換した。訓練画面の数字は、ようやく時間どおりに並んだ。見えるものが正しい順番になるだけで、判断する人の疲れは少し減る。彼はそのことを、手順書の最後に書き足した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。