↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
みんな真面目なのに、会社は赤字です。――十一人目の新人から始まる会社再建  作者: 竜太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
71/120

訪問者の靴音

外部監査の担当者がトラッバセキュリティを訪ねた日、事務所の廊下には見慣れない革靴の音が響いた。日下部は会議室へ案内し、監視手順と記録の一覧を渡した。監査人は設備の台数より先に、変更があった時に誰が承認したかを尋ねた。小さな会社では口頭の連絡で済ませたくなる部分だ。

久世は先月行った設定変更の記録を見せた。変更の理由、実施者、結果、元へ戻す方法が揃っている。一方、古い案件では承認の日時が曖昧なものも見つかった。日下部は「昨年度分は整備不足があります」と説明し、取り繕わなかった。監査人は静かにうなずき、改善期限の相談を始めた。

良助は会議室へのお茶を運んだ際、提出する一覧のページ番号が飛んでいることに気づいた。「三枚目がありません」。慌てた広瀬が探すと、該当するのは別の保管区分の証跡だった。資料をそろえれば済む話だが、外から来た人が分からない場所に置かれていること自体が問題だった。

銀利は監査人の質問に自分で答えた。顧客のデータへ誰が触れられるか、操作をどう記録するか、例外が生じた時の判断を誰に戻すか。全てに綺麗な答えがあるわけではない。それでも改善計画を現場の負担と結びつけ、期限を約束できるのは社長の仕事だった。 監査人は作業現場の椅子にも座り、画面へログインせずに手順書だけを読み進めた。現物の操作を求めなくても、判断の道筋が残っているか分かることがある。

帰り際、監査人は「この規模でここまで記録するのは大変でしょう」と言った。銀利は「大変なところを減らせるようにしたい」と答えた。評価は後日届く。日下部は忘れないうちに指摘候補を書き留め、会議室の戸をそっと閉めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。