↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
みんな真面目なのに、会社は赤字です。――十一人目の新人から始まる会社再建  作者: 竜太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
33/192

教える側の手帳

広瀬悠真は初めて、良助へ監視手順を説明する役目を与えられた。入社した時から先輩に教わる側だったので、少しだけ誇らしい。ところが最初の三分で話す順番を間違えた。用語の説明より先に操作を進め、青年の画面に見慣れない選択肢を開いてしまう。

「ごめん、戻すね」と広瀬が言うと、良助は「どこで戻せるかも知りたいです」と笑った。二人は手順を最初からやり直した。広瀬は説明するために、なぜその順番が必要なのか考える。いつも先輩の動きを真似していた場所に、危険を避ける理由があったことに気づいた。

午後、小田切まりが二人の研修を見に来た。広瀬は自分で作ったメモを見せ、確認の視点が一つ抜けていると指摘される。以前なら落ち込んだかもしれない。今日は「足しておきます」と返事ができた。良助も「そこ、僕も分かっていませんでした」と手を挙げた。

研修が終わる頃、広瀬は手帳の余白に「説明できないことは覚えたことにならない」と書いた。会社の標語にするつもりはない。自分に向けた注意だ。良助は手帳をのぞき込まず、片づけを手伝う。「今日はありがとうございました」。年下でも年上でもない、同じ職場の新人同士のような声だった。 良助が席へ戻った後、広瀬は説明に使った図を描き直した。どの矢印から読めばいいか、自分なら迷う。教わる人の目線を初めて想像した。

夕方、野江から別の検知の説明を頼まれた広瀬は、初めて「一度確認してから答えます」と言えた。知らないことを隠さないために、知っていることを増やしたい。翌週の研修表には、広瀬自身が担当する項目がもう一つ増えた。誰かに教える時間が、彼の成長を支え始めていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。