保管庫の容量
久世は新しい保存条件へ移行する前に、保管庫の残容量を調べていた。一部の顧客だけ記録が増えており、このままなら予定より早く容量の上限へ達する。増設すれば費用は掛かるが、すぐに削除してよい記録ばかりでもない。野江は顧客ごとの保全条件を確認した。
銀利は容量不足を隠したまま新規契約を取らないよう指示した。必要な設備を維持する費用を含めて、サービスの提供範囲を決めるべきだ。田倉は購入と利用料の両案を比較し、支払時期への影響を調べた。
久世は見積書に記載された容量の単位を確かめ、実際の増加量と比較した。過去数か月の利用量が増えた理由には顧客の設備変更も関わっている。一定割合で伸び続けると決めつければ過剰な契約になるし、最小限だけ買えば足りなくなるかもしれない。田倉は二つのケースを資金計画へ載せた。銀利は追加契約の承認前に、停止条件と見直し時期を明記するよう求めた。設備を選ぶことにも、後で引き返す道を残しておきたかった。
田倉は二つの設備案を比較した。月額費用を抑えれば手元の現金が減りにくいが、将来の容量不足が心配になる。久世は負担と品質の両方を説明し、銀利は段階的に増やせる案を選んだ。
久世は機器の更新日が年度末の繁忙期に重ならないか確かめた。顧客の都合だけでなく、社内の教育予定もある。予定表の空白は偶然ではなく、人が守った時間だった。
増設は段階的に行うことになり、事業者との契約も必要な範囲へ絞った。久世は旧設備を廃棄する時期をまだ決めなかった。新しい保管先が動くことと、必要な情報を正しく取り出せることは別だ。移行の試験が終わるまで、机には二種類の構成図が並んでいた。




