遠い営業所から
地方に営業所を持つ既存顧客から、夜間の連絡方法について相談が届いた。本社は都市部にあり、現地の担当者は少人数だ。トラッバの尾高は、契約にある連絡先を確認したうえで、現地の担当者へ連絡が届くか試験する計画を提案した。
現地の責任者、滝川は「本社の電話が先に鳴ると、こちらへ来るのが遅い」と訴えた。銀利は会社同士の承認を得ずに連絡経路を変えることは避け、顧客側で誰が判断するか整理するよう依頼した。飯塚は時差ではなく勤務時間帯の違いがあると説明した。
滝川のいる営業所は、夕方になると本社の担当者より先に仕事を終える日がある。電話を受ける人が不在のまま、形式上だけ緊急連絡網が残っていた。尾高は試験で不在者へ何度も電話を掛けることを避け、事前に日時と担当を確認した。顧客の社内でも連絡先の更新作業が始まり、別部署の人が協力した。滝川は「ここまで考えないといけなかったんですね」と言い、ようやく手順書を現場の壁へ貼れる形に直した。
滝川は本社の担当者へ、現地の勤務時間と休みの日を伝えた。決めていたはずの連絡網に、現実の勤務が反映されていなかった。相手も戸惑いながら表を修正し、緊急の連絡先だけは確実に残した。
滝川は変更した連絡網を事務室の机へ置き、誰でも読めるか確かめた。試しに新人へ渡すと、一つの略語で手が止まった。略語は正式な部署名へ直された。
一週間後、営業所と本社の管理者による短い試験が行われた。現地へ最初に連絡すべき案件と、本社へ確認すべき案件が明確になった。滝川は帰りの車から礼のメールを送り、尾高は返信を翌朝の業務時間に行った。少し離れた町の仕事も、同じ線の上にあった。




