↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
みんな真面目なのに、会社は赤字です。――十一人目の新人から始まる会社再建  作者: 竜太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
164/240

知らない用語

梶原が最初につまずいたのは、難しい技術ではなく社内の略語だった。飯塚が普通に口にした三文字の言葉を、何となく理解したふりで聞いてしまう。あとで演習表を開くと、何を指しているのか曖昧だった。前職では質問の多い新人は迷惑がられた記憶がある。

広瀬は梶原が手を止めているのに気づいた。「分からない言葉、ありますか」。梶原が恐る恐る聞くと、広瀬は正式名称と使う場面を説明した。日下部はその略語が古い手順書にしか載っていないことを見つけ、現在の資料の表記を直した。

梶原は質問した略語の意味を、覚えたつもりでも夕方には混同していた。広瀬は気まずそうな顔を見て、研修の用語集を開いた。「何度でも見ればいいよ」。日下部が作った表には正式名称だけでなく、使用しないほうがよい古い呼び方も載っていた。梶原は前職の癖で手帳を握りしめ、全部暗記しなければと考えていたことに気づく。分からないとき確かめられる資料を使うのも、専門職に必要な技能だった。

広瀬は梶原が聞き返した言葉を、用語集の改訂予定へ追加した。自分たちには慣れた呼び方でも、初めて聞く人には分からない。分からない人の側へ責任を押し付けず、説明を直す。研修表にはその日の修正理由も残された。

広瀬は梶原の質問から、以前の資料に残る古い社内語をいくつか見つけた。修正作業を一日ですべて終わらせるのは難しい。影響の大きいものから順に直す予定を組んだ。

終業時、梶原は研修用の端末を所定の場所へ戻した。業務権限はまだ限定されている。腕前を見せたい焦りもあるが、先に判断の境界を知ることが必要だった。帰り道で彼は家族へ「今日は定時で帰れる」と短い連絡を送った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。