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みんな真面目なのに、会社は赤字です。――十一人目の新人から始まる会社再建  作者: 竜太郎


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少し遅い契約書

取引先のクラウド事業者から、利用条件の改定案が届いた。久世匠は通知を読んで、機能より先に保管期間の変更へ目を止めた。以前より長い保存を標準とする代わりに、追加費用が掛かる。すべての顧客にその条件が必要なのか分からず、すぐ署名することは避けた。

銀利は顧客別の契約と必要な監視記録を照合するよう指示した。保存を長くすれば安全だという単純な話ではない。扱う情報が増えれば、保護する責任も大きくなる。野江は技術上の選択肢を整理し、日下部は契約上の義務を確認した。

久世は契約変更の説明会をオンラインで視聴した。資料は英語で、数字の注釈が小さい。音声を止めて何度も表を見直すと、割引期間が終わる月に負担が増えることが分かった。設備更新を急いで決めると、その時期が顧客の契約更新と重なる。久世は次回の会議で先にその点を尋ねるつもりだった。隣の席の野江は、無理に全部を理解しようとせず確認事項を絞ればいいと言った。二人は分担して資料を読むことにした。

田倉は新しい利用料の開始日を見て、支払予定を二種類作った。更新が月の前半か後半かで残高が違う。久世の試験日程を聞いてから、銀利へ安全に支払える時期を説明した。技術の判断と資金の判断は同じ資料に載るようになっていた。

夕方、事業者から回答が届いた。新料金への切り替えには移行期間が設けられており、手続きを選ぶ必要があるという。銀利は急いで最も安い案を選ばなかった。顧客との約束を確認し終えるまでは、期限を守りながら検討を続ける。久世は案内書の一番上へ、社内の回答期限を赤字で書いた。

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