倉庫の冷たい朝
食品卸の物流倉庫で、出荷管理端末が社外の管理画面へ繰り返し接続しようとしているという通知が出た。トラッバの小田切まりは、通信先だけを見て攻撃と断定しなかった。前夜に設備会社が点検した記録がある。まず顧客の情報管理担当へ事実を伝え、誰が作業を許可したのか確認した。
倉庫では出荷担当の倉本が、冷蔵品の積み込み時刻を気にしていた。端末を止めれば伝票が出せず、配送にも影響が及ぶ。情報管理者の秋山は、影響を見積もらずに停止命令を出せない。小田切はログの保存を優先し、必要な追加確認を短く伝えた。
倉庫の事務室には大きな時計が二つ掛かっていた。一つは出荷締切、もう一つは配送会社との受け渡し時刻に合わせてある。秋山は問い合わせの電話を切るたび、それらを見上げた。監視の異常だけでなく、冷凍庫の温度管理や人手の配置も同時に進めなくてはならない。トラッバ側から長い報告を一度に求められると、彼は現場へ戻れない。小田切は先に確かな事実を短く伝え、残る確認は次の時刻を決めて届けることにした。
小田切は設備会社の作業票を眺め、点検を担当した人と申請を承認した人が別だと気づいた。野江へ確認を頼み、必要な範囲だけ記録を並べた。通信の理由を早く決めたい気持ちはあるが、倉庫の仕事を止める判断を推測で動かしたくはなかった。
夕方までに、点検会社の担当者から正式な作業記録が届いた。ただし記録にない時刻の通信も残っている。銀利は調査の範囲を拡げる前に契約と顧客の承認を確認した。物流倉庫では夕便が出発し、秋山は翌朝の調査に備えて関係者の連絡先を揃えた。守るべきものは機械だけではなかった。




