↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
みんな真面目なのに、会社は赤字です。――十一人目の新人から始まる会社再建  作者: 竜太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
123/192

眠っていた手順

日下部透が研修資料を更新していると、半年以上参照された形跡のない手順書が見つかった。顧客が古い認証方式を廃止した際に役目を終えたものだ。廃止の印は付いているが、資料検索では現行版より上に表示される。新人が開けば、間違った画面を覚えてしまうかもしれない。

日下部は全部を消す提案をしなかった。過去の作業判断を確認する際に必要になることがある。久世と相談し、現行の手順と参照専用の記録を置く場所を分けた。検索結果には文書の状態が見えるようにし、閲覧権限を変える作業は管理者に依頼した。

資料庫の棚には、過去の研修で使った薄いファイルが何冊も積まれていた。日下部は全部を最新に見せかけるのではなく、使われた時期と廃止の理由を表紙に書き添えた。広瀬は「あのとき誰が困ったかも残せますか」と尋ねた。個人の失敗談として保存するより、問い合わせの種類と改善点を記録しようということになった。紙の背表紙を貼り直す作業は地味だったが、後で見つける人の時間を少しだけ節約する。

良助は古い版を読んで「ここに書いてある窓口って、今は誰なんでしょう」と聞いた。日下部は顧客側の担当者がすでに異動したことを知っていたが、その後の連絡先までは知らなかった。尾高を通じて現任者を確認し、履歴に追加した。良助は訂正を求めるでもなく、机へ資料を戻した。

翌週の演習で広瀬が検索すると、最初に現在の手順が表示された。過去版も必要なら探せる。日下部は机の隅にあった付箋を剥がした。「あとで直す」とだけ書いて何か月も残っていた紙だ。今度は新しい版の見直し日を、担当者の予定表に登録した。放置された資料は、誰かの怠慢とは限らなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。