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みんな真面目なのに、会社は赤字です。――十一人目の新人から始まる会社再建  作者: 竜太郎


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遅れた入金

更新契約の新しい請求額が初めて反映される月、田倉澄子は入金予定日を何度も確かめていた。顧客の支払条件は正式に決まっているが、社内の承認手続きに時間がかかり、今月の振込が少し遅れる可能性があるという。利益の見込みが改善しても、現金の残高は別の動きをする。

田倉は先方の経理へ確認し、請求書の受領状況を確かめた。相手も複数の部署を通して支払う必要がある。怒っても日付が早くなるわけではない。銀利は短期の資金繰りを見直し、支払の優先順位と使える枠を確認した。社員の給与を遅らせる案は最初から選択肢に入れなかった。

良助は書類を並べながら「帳簿の黒い数字と、口座のお金は違うんですね」と言った。田倉はうなずき、売上と入金の時間差を説明した。彼には難しい理論を語る様子がない。ただ、二枚の表が同じ日付を指していないことに気づいたのだった。

午後、先方から正式な振込予定日の連絡が届いた。約束より数日遅れるが、支払の承認は終わっている。田倉は予定表を直し、銀行にも必要な報告をした。融資相談は続いており、まだ新しい資金枠が使えるわけではない。 田倉は先方の経理担当者の名を呼び、必要な資料があればすぐ出すと伝えた。払う側にも締め日と確認の順序がある。相手を責めても請求は進まない。真壁も契約の変更履歴を確認し、先方へ送る必要がある控えを揃えた。

夜、田倉は夕飯の買い物をして帰った。店頭には夏野菜が並んでいる。会社の数字を一日中見ていると、季節がいつ変わったのか分からなくなる。今日は予定が一つ確かになった。彼女は小さなトマトを一袋選び、ゆっくり家へ向かった。

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