↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
みんな真面目なのに、会社は赤字です。――十一人目の新人から始まる会社再建  作者: 竜太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
102/120

選ばれなかった日

比較見積もりの結果が届いた。顧客は別の会社を選んだという。真壁千尋は通知を二度読み、銀利へ報告した。価格が主な理由だった。技術面の評価も悪くなかったが、最終的には予算の範囲へ収まることが優先された。どれほど丁寧な提案でも、選ばれないことはある。

昼の会議で銀利は「失注の理由を調べよう」と言った。担当者を責めるためではない。見積もりの条件が伝わっていたか、対象の仕事を絞る余地があったか、説明の順番に問題はなかったか。真壁は聞いた内容と、自分の推測を分けて記録した。相手の会社を疑う言葉は書かなかった。

良助は失注の資料を棚へ戻しながら「新しいお客さん、来ないんですか」と尋ねた。真壁は「今回は来ないね」と答えた。「そうなんですね」。それだけだった。励ましの言葉を探しているわけではない反応に、真壁は少し救われた。成果が出ない日にも、仕事の価値を全部失うわけではない。

午後、別の顧客から小さな問い合わせが入った。尾高が受け、久世が必要な機材を調べた。失注のニュースと無関係に、既存の仕事は続いている。真壁はその問い合わせに必要な資料を一つ用意し、次の営業案内へ使えるか検討した。 銀利は失注した案件を、翌月の売上見込みから速やかに外させた。残念な知らせを遅らせても、現金の予定は好転しない。田倉は数字を修正し、商談の成約率を過大に見せていないか確かめた。

帰り道、真壁は自販機で冷たい茶を買った。悔しさが消えたわけではない。けれど今日の結果を隠していない自分たちの会社を、以前より少し信頼できる。駅の改札へ向かう途中、明日の商談相手の名前を手帳で確認した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。