99話
緑壁にめり込まさせられた状態から復帰した途端のボルケーノの誰構わずの乱射が酷いっ。
「ネジィイイーーーッ!!!」
一応護りの杭は配置してたが、アバドンさんは盾役件運搬係になってケムシーノ達を使い昏倒した仲間達の回収に回りだした。
回収が済んだ仲間用の杭は損耗が酷い上に前衛のヨミロートスと頭だけのクリスタルリトーに回す。
ヴァーリンはまだいけるだろう。
「神による工学文明の制限はヤツには厳しく適用されているのであるっ。機械侵食を防げれば倒せない相手ではない!」
弱体化はしてるってことだよな?
つか、この電気熱線······対処に段々慣れてきた。不規則無数な触手の方がむしろ苦手だったかもしれない。
「よし、一瞬杭を強めに展開するからロックローズ達は回復してくれ」
「「「っ!」」」
近場にも護りの杭を多数展開! 疲弊したロックローズとゴールドスコップは急いでハイエリクサーを飲みだし、ツルベ火クィーンはファイアジェムとダークジェムを複数吸収し始めた。
そうしてる間にも電気熱線はバンバンくるっ。
ロックローズ達が回復したらボロボロのヨミロートスとクリスタルリトーなんとかしないと、なんて思ってると、
「ネジっ、ネジっ、ネジっっ。不合理! 不合理! 不合理!!」
電気熱線が俺達に見切られだしたと感じたのか? ボルケーノは床と壁と天丼から飛び出させたまま放置していた機械触手を変容させて球体の浮遊する機械を作り出して、そこら中に撒いた。
火のエレメントとマシンジェム、ウォージェムと同じ気配。火薬の生成も感じた。爆弾だな。
「うぜぇ」
クリスタルリトーが『石片』を連射して纏めて爆破させるが、
ドドドッ!!
あちこちで爆発しまくる! 危ねっっ。
「クリスタルリトーっ! 処理が雑い!!」
「『際限ない攻撃』だ。減らさないと詰むぞ?!」
「いやそうだろうけどさっ」
すぐに電気熱線乱射も加わり、ちょっとワーワーしちまったが、
「回収は済んだのである!」
「「ケムんっ」」
入り口の外で、昏倒した仲間全員を担いだアバドンさん達が宣言! おっ。
「私達も完璧に回復したわっ」
「完璧でもないけどね」
「ヒィィィッッッ」
お三方も復活! 俺は自分用の護りの杭の残りをヨミロートスとクリスタルリトーに回した。
「2人も回復してくれっ! 前衛後衛交代っ!」
「ピロシ、俺も休ませてくれよ」
「順番だ!」
俺達後衛組は攻撃を捌きながら下がるヨミロートスとクリスタルリトーと入れ替わりでヴァーリンと並び、荒ぶるボルケーノと対峙。
冒険者がよくやる切り替え戦術だ。上手く状況変えたいな、とっ。
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まず相手の手数に対してこっちの手が足りない。溜め技の完封陣はおっつかないな。
2〜3本の水と氷属性の多重魔力杭で牽制連打でいく!
「ツルベ火クィーン、この『爆発する玉』は任せた!」
「了解、ヒィッ」
「ロックローズはヴァーリン以外のガードを引き続き頼む」
「完璧にね!」
「俺、過大評価じゃないか?」
雲乗ってるし、持ってる棒も強いし、今のボルケーノとの交戦歴ある感じだから概ね有利ってことで。
「ゴールドスコップはフリーで動いてみてくれ」
「あんまそういうの得意じゃないんだけどね?!」
ゴールドスコップは苦手なりに相手の多過ぎる砲門が集約するのがマズいのは察してくれて、大きな身体でドタバタ動き回り出してくれた。
「援護する。ヴァーリンは下がった2人が戻るまでに『畳める形』を作る係だ。よろしく!」
「だから過大評価っ!」
と言いつつガンガン攻撃してくれるヴァーリン。幹部戦からの連戦だろうに頼もしいな。
俺もいい感じで支援しよう!
にしてもこの電気熱線。『光と電気』だよな? 属性ジェムを噛ませれば対処できそうな感覚はある······
「機械生命こそ至高! そうなのだ。機神様も仰った。······仰った? いや、個等ささいなこと。余は機神様の一部。再生産可能な余達は······」
「だいぶ混乱してんぞ?」
「過去の私の資料より悪化してるわ」
「あいつ、あいつらだけでほっとくと段々様子がおかしくなるんだが、構ってらんなくてさ」
困惑しつつコツコツ連携して削り、どうにかまず右腕。続けて左腕も破壊できた。細かい機械触手が出て再生も始まるが戦闘しながらだ、遅いっ。
「至高の! 至高のネジ! ネジっ! 余はネジである!!」
オイオイ。
「ネジィイイーーーっっっ!!!!」
次々涌く浮遊する球形爆弾数個が合わさり、筒状に変わった。お?
「っ! 追尾するぞ!!」
ヴァーリンが警告した直後、筒状爆弾は片側から炎を噴射しっ、さらに俺達を狙い付けて飛行しだした。勿論全部爆弾!
ボルケーノ本体も火が点いたように全身から煙を上げてより暴れだすっ。
「どぉ?! ツルベ火クィーン! 撃ち落とすんだっ」
「ヒィィィッッッ??」
弾数は約3分の1だが、ゆっくり浮いて近付くだけじゃない。
集中砲火避けて散らばってた分、守り辛くもなりツルベ火クィーンは爆弾の迎撃に苦労し、撃ち漏らしが増え、その分ロックローズの結果の負担が増えた。
「ん〜〜っっ。······あ、無理」
腕2本分減ったとはいえ電気熱線と特性の違う飛行追尾爆弾のガードで負担が限界にきたロックローズは急に白目を剥いて、こて〜んと倒れ昏倒してしまった。
こうなると陽動役のゴールドスコップが的になる。慌てて杭で庇おうとしたが、こっちにも電気熱線と飛行爆弾が殺到し上手く守れず、
「焼きモグラだよ!!」
コテンパンにされて転がされ、ゴールドスコップはも昏倒! マズいっ。2人ともトドメ刺されるっっ。
「ふんぬっ!!」
俺は攻撃を掻い潜りながらエアジェムで加速した魔力杭で2人の襟元を縫うように釣り上げ、一気に入り口の外に放り出した。
ちょうど最低限回復したヨミロートスと、身体は戻らないが取り敢えず頭部を数倍に大きく肥大させたクリスタルリトーが前衛に出直すところで交錯した。
「ピロシ君、追い込まれるといい動きだね。ヴァーリンも代わろう」
凍結植物触手を振るいながら疲弊したヴァーリンと差し替わるヨミロートスと、
「こういうすぐ炸裂する攻撃は大体でいいんだよ、真面目かっ」
また石片掃射で大雑把に飛行爆弾を迎撃しだすクリスタルリトー。
「よっし、反転攻勢だ!」
「一段くらい余計に手間が掛かってるけどね」
「ブッちめるってなってからウダウダくっちゃべんのやめろよ? ムラっ気のあるヤツなんて燃料にしかなんねーぞ?」
「······考慮はする」
今回なんか全体的に当たり強いなぁ。
何度目かでヘコまされながら、俺は鍵の杖を基点に魔力杭とライトジェムとサンダージェムを複数展開させた。おっし、試すぜ!




