表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
親父の遺産がダンジョンだった件  作者: 大石次郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

9/25

9話

ゴブリン族の拠点に戻った俺達は、保温水筒に入れたアバドンさんの淹れたコーヒーと妹の弁当を分けて飲み食いしながら再度の協議を始めた。


ゴブリン側はビッグヘッド、シャーマン個体コマンド個体の3人だ。お馴染みのウォリア個体達は首魁テントの外で待機。


「改めまして、マスター殿。こちらが管理不全前の1層の地図。こちらは我々が把握している範囲で確認の取れた現在の1層地図です」


昨日もチラ見していたが改めて確認。俺がすでに浄化補修したルートには線が引かれてる。


「多少『入れ替わって』おりますが、現在、1層の主な知的種族は3種です。我々とオーク。そしてモグラ型獣人『キラーモール』達です」


「モグラ獣人っ、珍しい〜」


モグラ系の獣人は現在かなりレアだ。地底の領域に大勢いる説はあるにはあるが、人前に出る機会は少なく、レア過ぎて非合法な『奴隷狩り』の対象になっちまってるから警戒して余計に姿を隠してる感じ。


「モグラどもは勇者と魔王の戦いの時代、魔王軍の『地の魔将(ましょう)』の傘下にいた。今は神罰を受け、栄えることを妨げられているのである」


「子孫もか。しんどいなぁ······」


「神は『しつこい』ですからね」


「なにをっ、蝙蝠! 不遜であるっっ」


「はぁ〜??」


「やめやめっ」


ややこしいのでアリッサとアバドンさんを止める。


「よろしいかな? いずれにせよ1層の第3勢力としてキラーモール達がいます。ヤツらは交渉可能」


「タダってわけじゃないんだろ?」


「それはもう。何事も『順番』という物があります。しかしマスター殿の御助力があるのであれば、やりようはあります。くくく」


悪い顔してるぜビッグヘッド。さっさと味方にしておいて正解だったな!


_____



約6時間後、俺達は全員防毒マスクをしたゴブリンの『選抜隊』百数十名を率いて目的地に着き、隊員ごとに別れて周囲の魔王城の瓦礫の陰に隠れた。


かなり大きな広間だ。元はちゃんと魔力灯が多数設置された『大型の水場』だったようだが今はめちゃくちゃだ。


毒気は勿論、魔力灯は半数は壊れ、噴水は崩壊して毒水が溢れて広間は『浅い毒の湖』になっていた。


そしてなにより、


「べ、べべべ······」


「んん、ぐっぐっぐぐ······」


あちこちで呻いてる。歩き回る有毒の人喰い植物『ポイズンリーフウォーカー』だ。


浅い毒の湖にはオークの白骨体が多数転がっていて、全てリーフウォーカー達の『根』で絡め取られていた。


ビッグヘッドによると元々は2層のモンスター。魔王軍と無関係のダンジョンの『外』から侵入して居着いた厄介者達。


オーク達は水場の奪取を狙って排除に掛かったが『地の利の差』を覆せず撤退したそうだ。


「マスター君、水場をゲットしますわよ?」


「坊、ぬからんようにな?」


「了解······」


リーフウォーカー達にバレないよう、静かに杖に集中する。俺の仕事は初手の1発限りっ! ミスできないぜ。


グランドマスターキーよ、力を貸してくれっっ。


「解毒浄化!!」


この広間の、全ての毒気と毒水を浄めたっ!


「「「っ??!!!」」」


戸惑うポイズンリーフウォーカー達。


「耐毒の祝福を与えものであるっ!!」


アバドンさんは広間の中空に魔法陣を伴う光の輪を発生させ、そこから振り注いだ光が全てのゴブリン達に毒耐性を与えた。


マスクを取って視界を良好とし、弓を構え直すゴブリン兵達。


「『炸裂矢(さくれつや)』を放て!」


ビッグヘッドの号令で一斉にとっておきらしい、鏃の辺りに燃える霊石『ファイアジェム』を仕込んだ矢を放たれた。


ドドドッ、爆炎があちこちで上がって一気に3割は減る。リーフウォーカー達は位置を察して殺到しだすが、二の矢、三の矢と放たれ8割は減らされた。


そこからは近接戦!


「持ち換え始めっ、盾は奪われるなっ、槍は押し切れ!」


再度のビッグヘッドの号令で、得物は盾兵ゴブリンは前面で大盾を構え、槍兵ゴブリンはその隙間から長槍を突き出すっ。


激しい激突! 毒蔓と葉を振り回すリーフウォーカー達っ。ゴブリン兵達は必死で耐え、切り崩しに掛かった。


お馴染みウォリア個体達はビッグヘッド達の『本陣』の前衛を固めてるな。


「うおおっ? 規模あるなっっ」


「マスター君、これだけ群体になるともう一段あるよ?」


「『滋養』も蓄えていたようであるな」


「まだなんかあんのかよ······」


ゴブリン達もダメージを受けた個体が次々と下がったり下がらされたりしたが、ポイズンリーフウォーカーの残数がおよそ1割程度まで下がると異変が起きだした!


ポイズンリーフウォーカー群は急激に下がり出すと、水飛沫を上げて3方向に集約っ。瞬く間に融合して巨大な個体に変化した! デカっ?!


「『ギガントポイズンリーフウォーカー』である」


これを予期していたらしいビッグヘッドは冷静だった。


「『遠い2体』に炸裂矢! 足元を狙えっ。残る一体は我らで仕留める!!」


ビッグヘッドは小さな魔法陣から『歪なハルベルト』を取り出し、シャーマン個体とコマンド個体と共に一体に突進を始めた。


ゴブリン兵達は指示通り炸裂矢で他の2体の足止めに掛かる。


「『マナボム』!」


「『クィック』!」


シャーマン個体は爆破魔法で牽制。ビッグヘッドは自分とコマンド個体に加速魔法を掛けた。


巨大リーフウォーカーは丸太のような蔓で薙ぎ払ってきたが、ビッグヘッドとコマンド個体は素早く避け、コマンド個体は連続斬りで相手の脚部を斬り付け動きを止める。


「『蛇蝎辻(だかつつじ)』!!」


巨体を駆け上がったビッグヘッドは『目と脳』のある膨らんだ部位に強烈な突きと斬撃の二段打ち技を放って粉砕し、ギガントポイズンリーフウォーカーを仕留めた。


「お〜、強いぞビッグヘッド!」


「ではわたくしも『お食事』させてもらいますわ」


対抗したのか? アリッサは加速して飛び出すと、残る2体の一体に猛烈な勢いで『噛み付き』猛烈な勢いで生命力を吸い取り干乾びさせて仕留めた。


「つっよっ??」


「矮小化しても深層の首魁モンスターである」


残り一体は、炸裂矢の集中攻撃で倒されていった。うーん、数はパワーだな。完勝!


「上手くゆきましたな、マスター殿」


「おおっ、ビッグヘッド! 大したもんだ」


「いえ······なにより大きな水場を得ました。『大食い』のキラーモール達は食糧生産に水を多く使います。今は往生しております。これは、交渉になりますぞ? くくく」


「そうだな、元は取らないとな。へへへ」


「ですな、くくく」


「へへへへっ」


2人して悪人顔でヘラヘラしていたらそれなりにアバドンさんに引かれたさ·····

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ