84話
こっから攻勢! と思った側から、
「っ!」
速攻で時間停滞!! だがタイムジェム系装備のお陰でギリ動けるっ。加えて、
「「「ピピィーーーっっ!!!」」」
ゴールド種のハイスラヒーラー個体達が多数のタイムジェムを贅沢に対価に使い、このエリアの時間停滞をガラスを砕くように打ち破ってくれたっ。
飛行するハイスラ群は、同じ飛行絨毯のゴールドスコップとケムシーノでハイスラ達を守ってくれてる。
(ジェムを頑張って集めたのね、可愛い。うふふふ)
「余裕ぶってるなっ?! おぉんっっ??!!!」
黒玉仙とエビルカーバンクルの魔力の渦で射出されたクリスタルリトーが、腕を多数のガイアジェムとアイスジェムとウォータージェムで強化巨大化させてザリチュの頭部に打ち掛かった!
今は体内にも多数のタイムジェム等の対策ジェムを蓄えているっ。
(あら、小さくなって、これも可愛い)
魔力障壁でべらぼうな殴打を防ぎながら面白がる蛇龍化ザリチュ。
うーっっ。遊ばれてるがっ、
「別に無敵じゃないっ! さっきにブレスで損耗もしてる! 正面、魔眼とブレスに気を付けて削るんだ! クリスタルリトーが引き付けてくれてる。それから」
流れとしては、俺達の方が通り魔ムーヴではあんな。改めて名乗っとくか。
「俺はピロシ・シープランド! ヘイスケの孫だっ。説得無理そうだから一旦あんたは冠に戻すぞ?!」
(礼儀正しい殺し屋さん。うふふふふふ)
「酷い会話だわ······」
とにかく俺達は断続的、規模限定した熱砂ブレスと時間停滞、それから麻痺魔眼に巨大による『素の噛み付き』なんかに対処しながら削りに掛かった。
感触としては上手くやれてる。だが、絶対まだ本気じゃないな。
これは、
「そういえば前から上位ぶって生意気だったぜっ、お前ぇ!!」
猛攻するクリスタルリトーだが、彼のジェムが尽きるのを待ってるな?
よっし、それならクリスタルリトーの強打に合わせて······
「遠隔ぅ〜っっ、完封陣!!」
バチィッ! 杖の補助を受け、想定を越える攻撃力を出したクリスタルリトーの強打に魔力障壁を部分的に破られて横っ面を殴られた蛇龍化ザリチュ。
(······痛い。2度目だわ)
気配が変わったっ。
ドォッ!!
周囲の砂漠の地表から塔のような大きさの『砂の槍』が次々噴出し、俺達を襲い出した。
「どぉああっっ???」
「ピロシが女の顔をはたかせるからっ!」
「どうしろと?!」
ネガジャバウォックが回避し損なった槍はヘルスパルトイとツルベ火クィーンがナマクラ斬鉄とゴーストハンドで打ち払ってくれた。
う〜ん? 基準がおかしくなってるのかもしれないし、実際ヤバいことはヤバいが、さっきまでの魔眼、時間停滞、熱砂ブレスのコンボの方が致死的だった気はするかも? 等と思ってると、
「坊! 上であるっ。あの性悪魔女っっ」
「ええ?」
見上げてみると、俺達が避けた熱砂の槍は迷宮の天井にガスガスっと直撃しその地点からあっという間に『砂塵化』して崩壊しつつあった!!
コイツっ、大きな括りだとクリスタルリトーと同じタイプだなオイっっ。
「ヨミロートス!! 天井頼むっ!」
「しょうがないね。皆、見た目に惑わされないで? 龍の姿でも本性は魔女っ、搦手しか考えてないよ?!」
ヨミロートスは忠告しながら未分化な緑壁スキルを纏いながら崩壊の兆しの天井に突入し、一気に天井に植物を侵食させ、砂塵化、崩壊を打ち消しに掛かった。
(3層を滅ぼした癖に、良識ぶる年寄りね)
言い方。この口調なのに結構言ってくるぞコイツっ。
「続けて張っ倒してやるぜっっ」
(もういいわ)
ザリチュが冷めた目でクリスタルリトーを見つめると、巨体の一部が崩壊し、同時に、
ザァッ!!
「?!」
突然クリスタルリトーの身体が半ば砂塵化し、力を失い、砂漠へと落下していった。
「自分の一部を対価に呪殺カマしたのよっ」
「巨体ゆえの力技である!」
「はぁ?」
『パワー系呪い使い』とか終わってんな······
「クリスタルリトーしゃまっ?!」
「おのれチャッハー!!」
黒玉仙は『黒い結晶その物』に変化し、エビルカーバンクルのスピンアタックと合体! 猛烈に突進! それにダーファンとテラツツキも合体技で合わせるっ。
「便乗するぜぇっ!」
「だよねーっ!」
4者の強烈な合体技で魔力障壁が破れ、そこへ、
「ゲッコ〜っ!」
「コーンっ!」
「ピョーっ!」
コンゴウガマの水属性の槍の投擲、ヤコゼンの氷属性の扇の投擲、ヴクヴ・カキシュの烈風魔法が合わさり、ザリチュの頭部に今度はただの殴打で済まない損耗を与えた!
残った戦力的に、ここだなっ。この際で無理ならフェネクスに見限られても撤退だっ!
「ネガジャバウォック『彗星飛行』だっ」
「ちょっ?」
「ゾォアアァッッ!」
ネガジャバウォックは最速の加速飛行スキルを使用! ロックローズが慌てて風の結界を張って背の俺達を守る。
閉じ掛けた魔力障壁に無理矢理突っ込むっ。ネガジャバウォックはデカ過ぎて『引っ掛かった』が、背の俺達はロックローズの結界に守られて抜けた!
(ピロシ! 可愛い子達っ)
間近での魔眼はツルベ火クィーンが『墓場怪光』スキルで怪しい弱体化させる閃光を最大に放って打ち消し、苦し紛れの噛み付きは、ヘルスパルトイが抜苦与楽の斬撃で牙を1本砕いて阻止っ!
ザリチュは1箇所に渇きの呪いを集束させてきたが、これはアバドンさんが自分の光の輪の出力を上げて相殺!
俺はありったけのジェムの水と氷の属性を集めた槍のような杭に乗り、ロックローズは同じくありったけのタイムジェムを逆巻かせて杖に乗ってザリチュに迫った。
「ザリチュ!」
(私の物になってっ!)
時間停滞を越えて『時間停止』の勢いで時空干渉してきたが、
「完っっ璧っっ、補佐ぁーーっっっ!!!!」
ロックローズが鼻血を出しながら無効化っ!
俺は水と氷の槍の魔力杭に鍵の杖を呼応させた。
「完封陣!!!」
ザリチュの巨大な1つ目に打ち込み、魔力を炸裂させたっ。
バリィッッッ、凄まじい氷、水、乱れた時空、砂の魔力が乱れ飛び、ロックローズまで吹っ飛ばされてしまった。
(ああぁぁぁーーーーーーっっっっ!!!!!)
手応えはあったっ。必殺の一撃だったはず!
それでも、
「ヘイスケぇえーーーっっ!!!」
半ば霊体化した最初の1つ目魔女形態のザリチュが飛び出して、口のある両手を掲げ迫ってきた!
「俺、孫だって!」
凄い負の渇きの魔力! ジェムが尽きていて、防具の性能だけだっ。ずっと温存してきた琥珀の盾が1撃、2撃、3撃! とダメージを肩代わりして、砂と消えたっっ。
相手も霊体の身体が崩壊寸前で片腕は消滅したが、ギリギリまで迫られた。
だがっ、ここでっ!
「『心臓パンチ』でぇす!!」
「『コールド』ぶんっっ」
収納の腕輪から勝手に出てきたエル・ジェリーマンの心臓から口と腕が生えて霊体のザリチュの顔面を殴り付け、ずっと肩の後ろに隠れていた矮小化ベルゼジュニアが基礎冷気魔法を数個の冷気ジェムを対価に放って、全身を氷漬けにした。
「可愛いのを、2つも、隠してたの、ね······」
ザリチュは砕け散りその破片は集まって1つ目の紋章の錆びた王冠に変化した。
「はぁ、2人とも、ナイス」
「ムフフっ」
「ブ〜ン!」
カラカラに乾いた俺はザリチュの王冠を手に、ギリギリ杖の魔力で浮遊していたが、もう気絶しそうだった。
どうにか、フェネクスの試し、完遂だな。
い、今なら冷たいビールの樽があったら頭から浸かってもいいくらいさ······




