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親父の遺産がダンジョンだった件  作者: 大石次郎


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82/120

82話

とはいっても人型は人型。自我もある様子。アストロロジーのお陰で奇襲も不成立。フェネクス神殿戦よりかは余裕もある。


矢文が意味ないにしてもここは、


「ワースコーピオンはなるべく生け捕り! やるぞっ!!」


俺は号令しながら砂海鯨アンコウに完封陣を放って巨体をひっくり返した。


がら空きになった腹にネガジャバウォックがブレスを撃って仕留める。


あとは200体はいそうなワースコーピオンだ。もう勝ち目ないだろうに、全く怯まず、火魔法なんかを連発しながら突進してくる。


まずはエッジキューブ群が冷気の障壁を張り、取り零しの火弾はガード特化絵札兵が防いで盾になりつつ、黒帯サボテンが『針弾(しんだん)』を連射。


樹海組やダークエルフ組、スライム組、三滅槍、ツルベ火クィーン、ヴクヴ・カキシュが遠距離攻撃の溜め。殿組は伏兵のバックアタックを警戒。アバドンさんとヘルスパルトイは様子見。


ダーファンとテラツツキは、


「いくよっ!」


「毒抜きなら楽勝じゃん?」


揃って上空に飛び上がった。


「雑魚過ぎて手加減ダルいな、魔力を付与する上手くやれ!」


クリスタルリトーはいつもの玉座を召喚してふんぞり返りつつ、黒玉仙とエビルカーバンクルに地の魔力を分け与えた。


「了解でしゅっ!」


「チャハっと優しく轢いてあげるよ!!」


黒玉仙は放射状に放った死の礫を操って2割のワースコーピオンを結晶化させ、エビルカーバンクルは『トゲトゲ』を程々に逆立てたスピンアタックでさらに2割を吹っ飛ばして昏倒させた。


ここに溜めて構えてた全員が遠距離攻撃を放ってさらに6割をブッ飛ばして無力化し、さらに追い打ちで、


「火よりさっ!」


「風の方が酷いんだよねーっ!」


火ではなく風の合体攻撃の構えだ。


攻撃力はともかく、速さが2割増し! 旋回する突進で、2人は残り約2割のワースコーピオン兵達を······


挽き肉にして消し飛ばした。


「蠍のモツは新鮮だっ!」


「嘴が潤うじゃん?」


「「ギャハハハッッ!!!」」


「······」


砂漠方面はどうにも荒んでるな、と。


それでも相手の眷属の感じや気配は見切れたのは成果だ。


ワースコーピオンは雑兵なのとザリチュの様子から人質効果は全くないだろうけど、昏倒してるのは90体ずつくらいヨミロートスの琥珀のオーブに封じ込め回収しておいた。


主の意向次第だろう。


_____



そこから相手の追撃はなく、ルートを浄化しつつ4つ目の野営地到着した俺達は、居着いた野良や棘植物を払い、解放。テキパキと環境を整えた。


その後、


「······どうやら予見可能な距離はここまでのようですね。少し遠いですが、ここからでも可能な限り精度ある予見を試みます」


「できるのは全員でフォローするわよ。相手は『呪殺』大得意だからっ!」


ロックローズの呼び掛けで魔法使い系の者は全員でアストロロジーの予見を補助する。


護りの為にウォータージェムやアイスジェムも利かせ大掛かりな予見陣を発動!


「内なる星々よ······」


小さなアストロロジーが予見で見出した結果は、


1、『眷属達の襲撃の大雑把なタイミングと内容』


2、『残る3つの野営地の比較的詳細な様子』


3、『空中から選抜で攻めた場合、初手を誤ると返って被害が甚大になる兆候』


4、『全軍で地上から攻めた方が被害は出ても確実に討ち取れる』


5、『ザリチュの説得は現時点で不可能。しかし、こちらの被害を少なく抑える程評価は上がり、未来の協議の可能性が増える』


6、『交戦前の仕切り直しはともかく、敗走した場合、フェネクス陣営との交渉が困難になる』


だった。


1と2は普通に確度が増した。5と6はさもありなん。


問題は3と4だな。元は物資の都合で3案だったが。


「フェネクス神殿の時のやり方が通じるなら今回は鳥組もいるし、やれないではない気もするわ」


「死ぬ前提かよ。ま、いいけどよ!」


「だよね〜っ」


「「ギャハハハッッ!!!」」


「「「······」」」


うん、やり辛い。


「いや、ザリチュの能力は広域。被害は絞り切れず、ピロシと俺と首魁級以外は丸ごと持ってゆかれかねないのである」


わかっていながらそれで行くってのはな。


「『物量自体は利く』と読み取れる。間を取って俺とアバドンさんと『蘇生容易組』と首魁級だけで行こう。全員飛べないかな? ただ容易組も最初っから蘇生上等でやると雑になりそうだ。ミスで総崩れになる予見項目もあった。全体的に慎重に行こう。ネガジャバウォックとダーファン、テラツツキ。その時はきっちり打ち合わせするからな」


「オレ、わかった!」


ネガジャバウォック、素直。


「不死身なのに段取りとかっ」


「回りくどいじゃーん?」


くっ、今直感した。予見の『初手で〜』の原因はこの2体だな······などと思ってると、


「ピョ。ダーファン、テラツツキ。真面目にやらないならフェネクス様に言い付けるピョ」


仮面だから当然だがいつも以上に無表情に見えるヴクヴ・カキシュ!


「「?!」」


顔色を変える2体っ。


「ちょっ、おまっっ」


「チクんなしっっ」


「フェネクス様は厳格ピョ?」


「っっっ。わーったよ! やるよっ、やりゃいいんだろっ。鍵の主様に従うぜっ!」


「は〜、マジ、チクり魔仮面だわ〜〜。というか、あんたほんと鳥なの??!」


「ピョーっ?!」


テラツツキに面を剥がされそうになってるが、ここにきて、ヴクヴ・カキシュ連れてきてよかったとつくづく思ったな。


_____



護衛の近接ハイスラ達と共に急造の転送陣でだいぶ疲れた様子のアストロロジーを見送る。


「先に失礼します。ロックローズ様も皆さんもお気を付けて」


「完璧に任せなさい!」


「最後の野営地までは私がきっちり守るっ」


「ネガジャバウォックの拠点で休んでてくれよ」


「ジャンボ棗でも食べているのである」


「寝ときな」


「「ケムケム!」」


アストロロジー達は俺達に見送られテレポートしていった。


「よっし、こっちも出発だ!」


更新された予見で途中の奇襲対策はバッチリだ。最終野営地までサクサク進んじゃうぜ?

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