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親父の遺産がダンジョンだった件  作者: 大石次郎


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73話

亀と骨鳥を蹴散らし、燃える神殿の入り口まで来ると、


「あっしの相棒捕まえた程度で図に乗るなし!!」


テラツツキが燃えるめちゃデカ鶏『バーンコカトリス』群を引き連れて神殿内から現れた。


これは特に予見はされてないが、『する程でもないこと』てことだろう。


「スキュラ!」


「はいっ」


スキュラはザトウマージ達水棲軍が総出で作り上げたレア魔法道具『白夜のオーブ』を掲げた。


サァアアァ······


凄まじい凍結の波動が神殿の入り口に向けて放たれ、


「げっ?!!」


バーンコカトリス群は全て砕け散り、テラツツキはまた嘴を折られ、霜まみれで昏倒した。


「私はあとは大人しくしておきます」


掌サイズのわりと本性の姿ベースの矮小体になってスキュラはアリッサの籠に収まった。うむ。


「テラツツキ回収!」


テラツツキはレウケートレントが琥珀のオーブに封じ込めた。 


で、こっからだ。今回の肝っ!


「作戦通りで、ホントにいいんだな?」


前衛を務める、黒玉仙、エビルカーバンクル、三滅槍の『合わせて5体』に確認する。


「我らはすぐ復活できるので問題ないでしゅ!」


「『さっきまでの記憶』をお頭に取ってもらったしね、チャハ!」


「我ら三滅槍も『血のストック』をネガジャバウォック様に預けたっ! ゲッコ〜っっ」


「コーン!」


「ブンブ〜ンっ」


蘇る『仕様』が独特なんだよな、この5体は。


「わかった。じゃ、どーんっ、と行くぞ!!」


「「「おおぉーーーっっ!!!」」」


俺達は氷付いた神殿入り口に突撃した。


_____



氷属性付与のエッジキューブ郡の7割を共にした前衛幹部5体で凍て付く神殿の通路を爆進する!


ここまで入り込むと、カラスの翼や鉤爪を持つ鳥人で地上では魔鏡の類いにしかいない『レイブン族』が、下位の鳥系モンスターや砂漠地帯のモンスターを引き連れ襲ってきたが、


「でしゅ!」


「チャッハー!」


「ゲッコ〜っ」


「コォーン!」


「ブンブ〜ンッ」


さすがに上位眷属5体と氷属性のエッジキューブの大群の敵ではなく、ガンガン打ち倒していった。


飛び交うレイブン兵、飛び交う黒い羽根、視界がままならないくらいだ。


······このパターン、あったな。鳥系モンスターの得意技なんじゃないか?


「前衛! 気を付けろっ、なにか『紛れてないか』?」


「「「っ?!」」」


忠告した側からっ、


バリィッ!!


二重に羽織った隠れ身のマントを手放しながら、黒い羽根の乱舞の中から姿を現した。擬人化したカラスその者のような怪人が電撃の剣を振るい、ベルゼジュニアとヤコゼンと交錯したっ。


「ブッ?」


「こっ、おぉっ??」


ベルゼジュニアは両断され、ヤコゼンは片腕を斬り落とされた2人とも激しく感電させられた。


消し炭にされて滅びるベルゼジュニア。ヤコゼンも電撃で動けなくなる。


「カッカッカッ!!」


黒玉仙達やコンゴウガマやエッジキューブに応戦されるが、ダーファンやテラツツキを上回る身のこなしで全て嗤って回避するカラス怪人。


「幹部の『カイム』である。あれは単純に近接特化でやり難いヤツだ」


「覚え目出度いようでっ、天使殿! しかし、ヘタクソのダーファン達のせいで少々ネタバレ気味でしたなぁ? カッカッカッ! 狐以外を抑えよっ」


嗤いつつも、冷徹な判断でヤコゼン以外を牽制させ、中衛後衛の俺達にも適当な砂漠系モンスター等の大群を差し向けるカイム。


確実に幹部を減らしにきてんなっ。予見通りでも、この状況を受け入れた上での最大の抵抗は必要なはず! だとしたら、


「ヘルスパルトイっ!」


「殿から失礼しますぞっっ」


相性はバッチリ! またこの状況で一番後ろからでもヘルスパルトイなら抜けられるだろうからなっ。


_____



深手で魔法による反撃が上手く回らないヤコゼンを追い詰めるカイムでだったが、


「ヒーホぉっ!!」


氷属性の蛮刀『冬将軍』でナマクラ斬鉄スキルを放ち、カイムを牽制するヘルスパルトイっ。いいぞ!


「これは、1層首魁殿っ。確か、オークに敗れて冠に戻られたと噂に聞き及びましたが? カッカッカッ」


「ヒホ? 2つ誤解があるようですな。1つ」


手数と身軽さで勝るカイムを精度と攻撃力で受け切るヘルスパルトイ。


「1層には最も魔力が薄弱環境に適応、ないし、魔力過多環境では『危険』と判断された者が配置されておるのですぞ? ビッグヘッド等もその気があれび『進化の余地』の大きな個体」 


「お友達の擁護をされてるのですか? 随分、絆されていますなぁ? カァッカッ」


得意技の、先程ベルゼジュニアを仕留めた『スタンクロスエッジ』を放つが盾を犠牲に防がれ、さらに骨の足で腹を蹴り付けられるカイム。


「ごっ?!」


「2つ目としては、オークキングは若く意欲的、なにより『生きた種族』を率いる者だった。『死人』が場所を譲るのは物の道理。この2点を踏まえ」


盾を失いより軽くなったヘルスパルトイは最速のスキルを放った。


「ヒホっ」


構え動作からの加速斬り『抜苦与楽(ばっくよらく)』を放ち、カイムを斬り伏せるヘルスパルトイ。


「無礼者は琥珀の中で反省するのですぞ?」


「カァ??」


冬将軍の力で氷漬けにされ、カイムは意識を失った。しゃっ!


レイブン達と鳥系モンスター達はこれ以上の無理押しはこの段で無意味と悟って、その他の砂漠系モンスターを盾に撤退していった。


「よくやったヘルスパルトイ! ヤコゼンも大丈夫か? エル・ジェリーマンっ、ヒーラー個体をこっちに」


やはり、まず1体殺られたが、最初の山は越えた。予見との整合性もあるが、慎重にやってくしかない。冷汗もんだっ。

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