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親父の遺産がダンジョンだった件  作者: 大石次郎


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71/122

71話

例によって隠れ身のマントを装備したダーファンとテラツツキは城壁の造られたピロシ達の野営地に迫っていた。


「どうせ接近したらアストロロジーのヤツに察知されるだろうがっ」


「それ込みで今回は仕込んできてんだよね〜っ!


「「ギャハハハッッッ」」


嗤いながら高速飛行する2体の怪鳥幹部。


「おっと、そろそろだ。静かにいくよ?」


「シープランドぉ、フェネクス様に首をゴロン! か、心臓をプリン! かっ、献上してやるじゃ〜ん?」


2体は嗤うのをやめ、砂が舞うを避ける為に高度も上げ、静かにより野営地の城壁に迫った。


「「っ!」」


『北北東上空より』、2体の怪鳥はモジホコリニュウドウを倒した合体スキル『化け鳥彗星』で、警戒していたエッジキューブ群と結界、城壁を撃ち抜いて内部に侵入した。


「からの!」


「砂漠の野良は大体喚べるもんね!!」


百数十枚の地属性の『召喚の札』をばら撒く怪鳥コンビ。札を媒介に、百数十体の小屋程の大きさの陸亀型のモンスター『砂海亀(さかいがめ)』が召喚された。


城壁付近に多く配置されたタンクシメジや氷属性の矢なので迎撃に掛かるが、甲羅に入るまでもなく鏃は通らない。


「こんなヤツらぁーっ!! ゾォアッッッ」


「ゲッコぉ!」


「コォーン!」


「ブンブ〜ン!」


ネガジャバウォックは巨大化はしないままメガマナブレスを放ち、これに合わせて衝撃波や多数の手裏剣、凍結魔法等を放つ眷属の三滅槍達。


いずれも掃討力の高い攻撃であったが、


パコっ。


砂海亀達は迷わず甲羅に籠もって魔力を高め、『鋼の守り』スキルの構えを取る。


ドォッ! 魔竜軍の全ての攻撃は着弾したが、倒せたのはわずか数体であった。


「ギャハッ、砂漠用に多少調整してきてもお前ら基本構成が偏ってんだよっ?!」


「揃い方が雑魚ぉっ! それからぁ、安定のノロマ!!」


亀達を盾に縫うように魔竜軍を抜けてゆく怪鳥コンビ。すぐに集まりだした、クリスタルリトー達他の首魁や上位個体達が殺到するが、


「だから今回は備えてんだ!」


「お代わり召喚っ! これは本領だから、たっぷりだかんね?!」


怪鳥達は今度は風属性の札を百数十枚ばら撒いた。


札1枚から『7〜9体』の燃える骨の鳥『炎骨鳥(えんこつちょう)』が召喚され、怪鳥眷属の大群と成し、周囲を逆巻くように混乱を巻き起こした。


「「······」」


ダーファンとテラツツキはその怪鳥眷属の嵐の中に紛れ込み、完全姿を消した。


混乱の中、


「当代主! 隙を見せるなっ! 窺ってるぞ?! シュウゥッ」


「やるだけやる!」


背中合わせのようにして、炎骨鳥を打ち払いながら身構えてるリュブリャナとピロシ。


応援に駆け付けようとしたロックローズは集中的に怪鳥眷属達に牽制され、鳥の波に呑まれるようにして後退させられた。


「······っ!」


味方の眷属ごと撃ち抜き、テラツツキが死角からリュブリャナの心臓を狙って高速刺突スキル『フラッシュダーツ』で突き殺しに掛かった。


反応仕切れないリュブリャナ。がっ、


「ケムんっっ」


リュブリャナの急所『だけ』を意識して守っていた隠れ身のマントに包まれたミスリルケムシーノが加速スピンアタックでこれを弾いた。


「またじゃんかよっ?!」


驚愕して立て直しに掛かった時にはリュブリャナが間合いを詰めていた。


「シュゥッ!!」


『アイススビア・改弐』でテラツツキの伸びた覆面の嘴を叩き折るリュブリャナ。


「痛ぁああーーっっ?!!」


半泣きで眷属を呼び寄せて牽制に下がろうとするが、ミスリルケムシーノのスピンアタックでこれを吹き飛ばされ、さらにリュブリャナの猛攻に晒されるテラツツキ。


「おいっ? あんた、首魁だろ?! そのチビ虫ズッコいじゃんか?!」


「文句は逃げ延びてから言えっ!!」


「ケムケムっっ」


「うへぇーっ??!!!」


リュブリャナはミスリルケムシーノと共にさらにテラツツキを詰めに掛かった。


テラツツキは劣勢となったが、結果的にピロシが孤立する形となっていた。


「やっば? アバドンさん! ゴールドスコップ! くそっ、誰かしら合流しないとっっ」


炎骨鳥を払いながら焦りの表情を浮かべるピロシ。


その周囲の骨の鳥の渦のドームの頂点、真上から、気配もなくダーファンは姿を現し、これまで一度も使っていなかった大鎌の武器を構えピロシに超高速で襲い掛かり、その首を跳ね飛ばした。


かに見えたが、それはピロシに化けたクリスタルリトーの首であった。変化を解き、ニッと嗤う生首のクリスタルリトー。


先にクリスタルリトーの姿をしていた者は変化を解き黒玉仙の姿を現し、黒玉仙に化けていた者が変化を解くと3体のハイスライム・ヒーラーであった。


「っ?!」


「拘束!」


姿と気配を消してゴーグルをし風吹くマフラー・改で呼吸して野営地の砂の中に埋まっていたピロシが姿を現し、魔力の格子で多重にダーファンを捕獲し、


「魔力回収っ!」


鍵の杖でダーファンの魔力を大半奪い去った。


「がっはぁ······っっ???」


「こうなると打たれ弱いのは致命的だな」


魔力余剰気味杖を手に得意気に言うピロシであった。


_____



平然と身体の方で首を拾い、


「俺様の首を落とすとは、頭が高いヤツめっ」


と、砂の上に脱力して転がされたダーファンの頭を迷わず踏んでぐりぐりとするクリスタルリトーだよ、やると思った······。


「そういうのはやめれって、あとで禍根になっから」


1人使役主がノされたからか? 統制が乱れて上手く襲えなくなった骨の鳥達を横目で見ながら、止めとく。こっからだと見辛いが亀も混乱してる気配だ。


「ダーファン! 隙を見て自決して逃げたらいいしっ、こうだ!!」


リュブリャナ達相手に苦戦してボロボロにされていたテラツツキは迷わず自分の鉤爪で自分の心臓を貫いて自決っ、即、燃え上がって無傷状態に復活し、


「ピュゥウウウーーーーーッッッ!!!!」


すんごい高音で鳴き、乱れた骨の鳥達と亀におそらく『なんでもいいから敵に一斉攻撃』といったことを命じ、攻撃性を最大にすると、また大荒れになった状況に乗じて飛び上がって鳥の渦の中に姿と気配を消していった。


「逃げ足! ダーファンの方は眠らせた方がいいな」


魔力の杭を応用した魔力の格子で拘束し直しとく。


「テラツツキはもう外に逃げてしまったようです」


「1体だけか」


「あー! 私ばっか襲われるんだけど?! 取り敢えず、完璧スリープ!」


ダークエルフトリオも合流し、ロックローズが速攻で悔し気なダーファンをきっちり眠らせた。


「人質や情報を吐かせる効果は薄い。単純にキリなく復活して襲ってくるのを止めたと考えるのである」


「ケムん!」


「わっ、まだたくさんいますね」


「気を付けな」


アリッサを背負ったアバドンさん、テラケムシーノ、スキュラ、ゴールドスコップも合流。テラケムシーノとゴールドスコップが迎撃頑張ってる。


「まずは一段落だ。あの『トンガリ覆面』の方は1人だと、あまり上手く機能しそうにないしな」


俺は一息つきつつ、近くでまだ荒ぶる骨の鳥群相手に大暴れしてるリュブリャナ達の支援に回った。

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