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親父の遺産がダンジョンだった件  作者: 大石次郎


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67話

休息を終え、4層に戻って浄化補修作業を再開! ここは初見殺しな仕様ではあるけど、対策していれば作業自体はほんと簡単な感じだ。


足場はあるし、道もあるし、野営地も迷宮構造として最初から設定されてる。少ない野良の札の兵士はモンスターというよりこの層の構造物みたいなもんで、エリアを鎮めるとわりと大人しくなり再生産のペースも落ちる。


だが、問題は······


「2度あることは3度ある!」


「クソトカゲ復活させたくらいでウチらの」


「ゾォアアァッッ!!!」


「「んぎぁああーーーっっ?!!」」


なにやら今回は『鳥系』の眷属を引き連れてきたが、速攻でネガジャバウォックに拡散する『メガマナブレス』を喰らって壊滅させられて砂漠の方にぶっ飛ばされてゆく怪鳥コンビ達っ!


「忙しないヤツらだな」


「殺る気と攻撃力は持ってるから注意はしとかないとね」


特にすぐ即、逆襲してくる気配もなかったから俺もロックローズも杖の構えを解いた。


この層はフェネクス軍のポンコツ幹部コンビがなぁ。フットワークが軽いんだよ。しばらくするとすぐ来る。


「気に入らないのと、長く『暇』で面白くなっておるんであろう。命も軽いヤツらであるからな」


「······」


いや、結構迷惑だなって。


まぁしょうがない。


それから3日の間に『4回』もあの手この手で襲撃されたが、魔竜軍の戦力と、手法を変えても段々こっちも慣れてきたからきっちりその都度撃退し、4層外周部の浄化補修を終えた。


「設備面、というか住人がいないから管理が微妙なとこだが、形はついたな」


「鳥の真似して札の兵士もいくらか使役してみたけど、これは自我がないのね? エッジキューブなんかと同じ扱いでいいのかしら??」


数十体味方にしてみたが、なんの感情もない札の兵士達に困惑気味のロックローズ。


「俺様のキューブと組ませればすれば少しは保つだろ? そいつら『加工しないと』他の層に持っていけねぇし、ここで使い切っちまえよ。ふわっ」


今はグルっと一周回って一番守りの硬い魔竜軍の拠点に戻ってきていたが、道中腰の重いクリスタルリトーが参戦する程の状況はなく、すっかり飽き飽きした様子になっていた。いつもの玉座であくびしてるよ。


じゃあ、もそっと手伝ってくれりゃいいんだが······


「使いはするけど、人型だから自我なくてもちょっとねぇ」


「出た、『人型種優越主義』っっ」


「言い方!」


「どだい、ダークエルフは『人類崩れ』でけどね?」


「チャハーっ!!」


「聞き捨てならないぞ?」


クリスタルリトーチームとロックローズ&コメリナが小競り合いの気配だが、よくあるので取り敢えずスルー。


「一旦上に帰るつもりだが、今後の方針も決めとこうぜ?」


「そうだね。フェネクス軍、というかあの二人がその気になってる以上、のんきに様子を見るのも難しそうだしね」


あんまり料理に関心ないヨミロートスは念力で『炙った大きな茸』と『特大迷宮林檎』を交互にネガジャバウォックに食べさせるのをダークエント・マガリコダマに任せ、やや眠そうな顔でこちらにきた。


眠そうな幹部多いなピロシさんチーム······


「椅子用意しますね〜」


手早く玉座持ち込みのクリスタルリトー以外にスライム椅子を用意するエル・ジェリーマン。


「ネガジャバウォックは協議どうする?」


「三滅槍に任せるっ! オレは飯っ!!」


「わかった。それでいこう」


首魁もそれぞれさ。


「よし、フェネクスとあとは砂漠には他にも首魁がいるんだっけ?」


フェネクス軍と違いなんの反応もない具合だが。


「渇きの魔女、『ザリチュ』が来ています。かつてボクと当時のロックローズが3層に退避せざるを得なくなった厄介な相手です」


ザリチュ。色んな伝説や怪奇物通俗本に童話にまで出てくるし、演劇、とくに歌劇の古典題材によく出てくる。アリッサを別にすればこれまでで一番有名な魔物かもしれない。


アバドンさんも宗教方面で有名だったりするが、こんな普通に喋る感じじゃなくて『天の摂理の執行者』みたいな存在だ。


「ザリチュは自我の明確な幹部個体を好まず、代わりに手強く数の多い群体の眷属を従えているのである。なによりザリチュ本人が厄介。本来5層ではヤツの『渇きの呪い』に対抗する為に炎の化身であるフェネクスを配置していたくらいだ」


「じゃあどっちにしても、まずはフェネクスを味方にしないと話にならないんだな」


口説く順番間違える即詰む、いつものパターンだよ。


「主殿。我らは水の種族。砂漠についてゆけませんが、装備に必要な素材の提供加工には協力します」


「助かるよ」


役割分担! ザトウマージ達の提供物は攻略の要になりそうだ。


「私は戦闘ではなく、道中の渇き対策に同行します。だいぶ力が戻って人間体への変化も上手くできるようになりました」


「お?」


スキュラは霧を逆巻かせて長身の、結構豊満な美女に姿を変えた。服装がめちゃ古風だが。


「力を抑えた状態なので、温存した力を環境に耐えることに使います」


「色々できるんだ。悪いね、よろしく」


「素材が手に入るなら俺様のキューブどもを改造しないとな。上からビッグヘッドのヤツを呼ぶか? ヤツは器用だ」


ビッグヘッドは物質系のゴーレム使いだしな。


「俺の武器も改めるぞ? シュウゥッ」


「あたしは防具だね、もう身が保たないよ」


「では私も新しい魔剣を所望ですぞ?」


「ヒィィィッッッ」


リュブリャナ、ゴールドスコップ、ヘルスパルトイ、あと要求がわからないけど? ツルベ火クィーンも装備刷新、と。


「ゲッコ〜! あんまり覚えていないが、フェネクス軍には借りがあった気がするっ。コテンパンにしてやるぞっ?!」


「コーン! 協議の余地なしっ」


「ブンブ〜ンっっ!!」


好戦的だな。


「今さら矢文もないが、ダーファンとテラツツキの主旨イコールでフェネクスの意向かは微妙じゃないか? まず、最終的に味方にするんだかんな?」


「ゲッコ〜!」


「コーン!」


「ブンブ〜ン!」


「······ネガジャバウォックからもちょっと言ってやってくれよ?」


手が付けられないのからずっとモリモリ食べてる大将にも振ってみる。


「んぐんぐっ、なるようになるんじゃないかぁ? オレも1回倒されたし、大体でいいよ。オレ達モンスターだし、ゾォアッハッハッハッ!!!」


「「「······」」」


魔竜の大将、雑ぅ。


_____



地上に戻り、丸1日寝て魔力を落ち着かせ、蒸し風呂からの昼間はあんま人がいない金葉亭で『本日のバーガーセット』をもしゃもしゃ食べていた。


ここのルートビアはあんま甘くなくていいな。ゴールドスコップとかビッグヘッドはこういうの好きじゃないか? 等と考えていたら、


「ピロシ! いたかっ」


モリオが飛び込んできた。ミラルゴも連れてる。


「んだよっ、勢いあんな。伝説の魔王でも復活したか?」


ダンマスジョーク。


「なにを言ってる?」


「不謹慎だよ?」


真顔で立て続けに切り替えされた。気圧されるわっ。


ズンズン近付いてきて、声を潜めるモリオ。


「緊急事態だっっ」


「だからなんだってっ? あとさっきのは軽いジャブで、『本域』で言ってないかんな?」


俺のスベったワケではない、というアピールを無視して耳打ちしてくる。


「ララミが『10年ぶりに』村に戻ってきてる」


······?


「えっと、ララミって誰だっけ?」


「ココミさんのお姉さんだよ」


「元カノのっ、ララミだっっ」


宿命の敵と対峙したような顔をするモリオ。


朧気な記憶にも美人だったココミの姉ちゃんの記憶を手繰り寄せる。


俺は友人として肩に手を置いて真心を込め、言ってやった。


「モリオよ、骨は拾ってやる」


「助けてくれよ〜〜っっ」


こうしてメジハ村に、不死鳥との戦いや渇きの魔女との戦いに匹敵するっ! モリオを恐怖のズンドコに叩き落とす、地獄の断罪の刻が訪れたのだった······

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