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親父の遺産がダンジョンだった件  作者: 大石次郎


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65話

レウケートレントはロックローズよりエレガント感のある魔女風の格好から、調理師風の格好に魔法で切り替えた。


タンクシメジ達も一斉に切り替わる。


因みにヨミロートスはまだ回復中。


「随分昔のような気がしますが、我々樹海軍は元は4層においてかの魔竜達が飢えて暴れぬように食事の世話をする係でした」


クワッと表情と変え、山のような食材を召喚するレウケートレント!


「主菜の肉は『ニク(だけ)類』! 魚は『ウオ茸類』! 甲殻類は『エビ茸&カイ茸類』で補いますっ!!」


「「「おぉ~!!」」」


キノコ万能説っっっ。


「多種多様なハーブ! 芋! 豆! スパイス! 香辛料! フルーツ! 樹蜜に蜂蜜! 全ての森の食材が我らの眷属!! 調理こそが我ら樹海軍の本領なのですっっ!!!!」


「「「おぉ~!!」」」


「それは言い過ぎ······」 


埋まったまま、レウケートレントの勢いに困惑するヨミロートス。


「いざっ、実調(じつちょう)!!」


結構な規模の厨房まで召喚してタンクシメジ達と共に調理に掛かるレウケートレント。こんな側面もあんだな、と。


「私達ダークエルフ軍も元は4層住人! 負けてられないわっ」


「いや『軍』て、今回3人しか降りてきてませんよ?」


「元々は樹海軍と魔竜軍の監視役なのですが······焼き菓子でも焼きましょうか?」


ロックローズ達も程々のキッチンを召喚して調理を始めた。


「我らは藻と水草でサラダでも作ってやろう」


「お通じがよくなりますからね」


冷菜に取り掛かるザトウマージとスキュラ。


「食用スライムをむやみに使うと天使殿に刑期を伸ばされそうなので、回復効果の綿菓子でも作りましょう。夢、幻のごとく。ムフフフ」


ヒーラー個体達と砂糖菓子を作ることにしたらしいエル・ジェリーマン。


「ヒーホ、料理とは困りましたぞ?『タナトスエール』でも冥府から召喚してみましょうか?」


「賛成、ヒィィィッッッ」


調理ではなく『お取り寄せ』を選択したヘルスパルトイとツルベ火クィーン。


「あんなトカゲ、味なんてわかんねーだろ? 黒玉仙、エビルカーバンクル。なんか属性ジェムに甘い香りでも付けたのを山盛り生成してやれ」


「了解でしゅ!」


「チャッハーっ」


人任せ&雑いクリスタルリトー。


「まぁ食後の茶でも淹れてやるか。ケムシーノ達、大きな容器を使う。手伝うのである」


「「ケムんっ!」」


食後の一杯を担当するらしいアバドンさん達。


「リュブリャナ、あんた料理できないだろ? 手伝ってやるよ」


「シュウッ、面倒だなっ? トウモロコシを煎って塩振ったヤツでいいだろ?」


ゴールドスコップとポップコーン作るらしきリュブリャナ。


こうなると皆、それぞれ我が出るもんだな。


「······はっ?!」


俺、1人あぶれてるじゃんっ!!


「ちょっ、アバドンさん。煎り豆茶俺も淹れるってぇ。ケム達はアリッサ見といてくれよ」


「手は足りているのである」


「「ケムんっっ」」


「んだよ〜」


「ふひ☆」


結局、リュブリャナはなんか機嫌悪くなってるし、他も人手足りてるし、ダークエルフチームの手伝いをすることになった。


「しょうがないわね、『完璧補佐の普通程度の補佐』をすることを許可するわ」


「最近『補佐感』薄れてますけどね」


「コメリナっ、お黙り!」


「見えます。美味しく焼き上がることが······」


「実現するよう善処はするさ」


そんな調子で俺達はどんどん焼き菓子を仕上げていった。


_____



果たして、全ての料理は仕上がった。


『キノコが主役っ、樹海フルコース』!


『木の実たっぷりダークな甘み? 焼き菓子盛り合わせ』!


『新鮮ピチピチお腹もスッキリ。藻&水草サラダ盛り』!


『フレーバーが気まぐれファンタスティック。山盛り綿菓子』


『一般人類はあの世逝き? 冥府直送タナトスエール』!


『臭いだけで血糖値がギューンッ。やたら甘い香りの属性ジェム盛り』!


『普通に美味しい? 迷宮トウモロコシのシンプルポップコーン』!


『安らぎの昇天タイム。エンジェル煎り豆茶』!


がドドーンっと用意された。すんごい量だ。特に樹海軍っっ。


「それはそれとして、ボクも回復したからネガジャバウォックの新生復活はやるよ。クリスタルリトーも魔力供給を手伝って」


「俺の軍は激甘ジェムを提供したぞ?」


「君は見てただけだよね?」


「······」


蘇生はヨミロートスとクリスタルリトーが担当。


程なく巨大な魔法陣が描かれ、大量の蘇生触媒が置かれ、陣の中心に、俺が杖の念力で魔竜の錆びた王冠を置いた。


「王冠を戴き、再び現れ出でよ! ネガジャバウォック!!」


「起きやがれっ、竜!!」


全ての魔法触媒を消費し、煙と共に魔力が弾け、魔竜の骨が、筋が、肉が、臓物が、皮膚が、鱗が復活してゆく。


「ゾォアアァーーーーッッッッッ!!!!!」


咆哮と共に魔竜ネギジャバウォックは復活した。


咆哮に続くその第一声は、


「飯ぃぃぃっっっっ!!!!!」


滝のようにヨダレを垂らし、猛烈な勢いで用意された食事を貪りだしたっっ。


「飯! 飯! うまっ、うまっっ!!!」


泣きながらガッ付いてるネガジャバウォック。


「よっぽどだったんたな。アストロロジー。予見、助かったよ」


「いえ」


「予見がなかっから私達を寝覚めのディナーにしようとしていたかもしれないわね。ふふ」


「「「······」」」


ロックローズは冗談っぽく言ったが、すぐに言った本人を含め、全員げんなりさせられた。これじゃ、無限ループするだけだ。


そうこうしている内にネガジャバウォックは嵐のように料理を食べ尽くしてゆき、いよいよ最後の保温効果を付与された造り酒屋の貯蔵槽のような煎り豆茶の容器の蓋を開け、頭を突っ込むように飲み干した。


「プハーーーっっっ。最高だぁ······」


満足げなネガジャバウォック。


「よっし、ネガジャバウォック! 言葉は話せそうだな? 俺はピロシ・シープランド。新しい鍵の主だ。今、乱れたこのダンジョンの補修浄化活動をやってんだ。これから手伝ってくれないか?」


「······これからも、飯、食えるか?」


「勿論! バッチリだっ」


だよな? いけるよな??


「オレっ、次のダンジョンマスターの味方になる! オレ、強いぞ?! ゾォアアァッッ!!!」


元気よく吠える魔竜の首魁っ。


無事、ネガジャバウォックを味方にできた。しゃっ!

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