64話
ネガジャバウォック! アバドンさん曰く、その再生力から勇者を苦しめた妖精界に災厄をもたらした魔竜っ!
現在、復活の準備中······
フェネクス! アバドンさん曰く、暗黒の不死鳥。再生能力どころか不死性が強く、その力を幹部眷属達にまで及ばせる為、勇者とその仲間達を追い詰め、勇者の飛行船を破壊し、旅の仲間を1人焼き尽くして滅ぼした魔鳥っ!
現在、件の不死幹部2体からちょっかいを掛けられた為、警戒中······
そんな状況だ。
休息し、盾役の強化エッジキューブ群も補充し、再度4層に降りた俺達は無理せず最低限度開拓済みのジャバウォックの拠点までのルートを辿るようにして、その周辺を浄化補修しつつ、拾得物を掻き集めていた。
最初と違いさすがに進行は早い。俺達は半日程度でネガジャバウォックの拠点の見える所まできた。
「よし、今日はここにも転送陣作っちまおう。エル・ジェリーマン、準」
「います! 気を付けてっ」
アストロロジーの警告に即応し、ヨミロートスは緑壁スキルを展開しクリスタルリトーはエッジキューブ群に防御姿勢を取らせた。
浄化補修の半端な拠点を半ば覆っている棘の魔力吸収植物の陰に隠れて気配もなかった『絵札』が無数に高速飛来し、緑壁に当たり炸裂!
効果は薄いが連打で損傷の多い部位が発生しだすとそこに絵札が集中し、あっという間に穴を空けられ、抜けてきた絵札が巨大化して札の兵士群に変化っ。エッジキューブ群に殺到を始めた。
続けて、棘の植物を突き破ってダーファンとテラツツキが宙に飛び出してくる!
「のこのこ戻ってきやがったなっ?!」
「野良を使役できるのが自分だけと思っちゃってんの〜??」
思ったよりすぐきたっ。だが、今回は想定できてる!
「俺と首魁だけで相手するっ。幹部個体は数体ずつ固まって絵札対策!」
柔らかいって話だが、速く、攻撃性が高い。向こうもガンガン復活するのにこっちの戦力を削られていったらマズいっ!
「ビビってんな?」
「行動がチキンっ! でも〜っっ」
ダーファンとテラツツキは露出魔のような格好のまま人と鳥の中間のような『鳥人体』に変化した。
「こっから『2倍』速いぜ?」
「ギャハッ」
言った通りの超加速!! ヨミロートス、クリスタルリトー、ロックローズ、ヘルスパルトイ組にダーファン。俺を含むそれ以外の全員組にテラツツキがとんでもない加速攻撃をけし掛けてきたっ。
組分けのバランスは悪くないと思うんだがっ、はっっや!
リュブリャナが前に立ってガードに専念しててくれなかったら、すぐに琥珀の盾を使い切ってるとこだ。
「シュゥウウッ」
守勢は性に合わない様子のリュブリャナ。だろうねっ。他の皆も超加速牽制攻撃に手間取っていた。
「坊!『もっと速いの』を当ててやるのである」
アバドンさんは鍵の杖に光属性の祝福を与えた。発光する杖っ。いけそう! だが、一捻りはいる。
「ザトウマージ、『水滴』を!!」
「承知っ」
ザトウマージは察して俺の周りを覆う程の多数の水滴を発生させた。それに超高速で突っ込んでしまうテラツツキ。
「痛たたたたっっっ??!!!!」
この速さだ。鋼鉄の玉を何百発も猛烈な勢いで撃ち込まれたようなもんだろ? 水の魔力盛り盛りでもあるっ。
でもって今回も来た、チャ~ンス!
「1属性完封陣!!」
3つの光属性杭を超高速を越える高速で撃ち出し着弾と同時に炸裂させ、
「べぇ?!」
テラツツキの上半身を消し飛ばしたっ。
「っ!」
これにダーファンが竜巻を起こしてヨミロートス達を牽制し、素早く回収っっ。距離を取った。
テラツツキは変化は解けながら炎を上げ上半身の身体だけはを素早く蘇生させたが、ジャバウォックに激突死した時より強烈なダメージにぐでんぐでんになってる。
覆面が取れても正体をなくした具合だ。
「ぷへ〜??」
「覚えてろっ!!」
既視感あること言って撤退してゆくダーファン達。
「忘れる間くらい用意しろって!」
また砂漠方面に消えてしまったが、忙しないヤツらっ。
絵札兵達は制御や魔力供給が切れて鈍くなり、掃討されだしていた。
「どうも噛み合わないヤツらだぜっ!」
牙を剥き出して唸るリュブリャナ。そりゃ、君と噛み合ったら大変だろうけどさ······
なんにしても4層は魔除けの利いた安全圏を増やさないとちょっと身動き取り難いな。
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ネガジャバウォック拠点を手早く浄化補修した。ここまでの野営地もそうだったが、棘の植物が引くと街の跡が地表に現れだす。
この層の明かりは地面と天井から不規則に露出する棘の付いた魔力灯だ。これも補修するとニョキっ生えてくる。どうも棘の植物と同じ性質を持たすことで魔力吸収を免れてる仕様だな。
城壁はヨミロートスが魔除けと緑壁スキルで補強する形で一気に周囲に生成したが疲れてしまったらしく、ゴールドスコップが生成した土の小山に首まで埋まってダークエント・マガリコダマにグリーンエリクサーをジョウロで振り掛けてもらっていた。
「ほわ〜······ボクは、しばらく機能しないので、樹海組はレウケートレントに任すね······」
「任されました」
「ここの城壁もできたしジャバウォック復活用素材も揃ったし、復活させちゃわない?」
言ってる側から必要素材を纏めて浮かせているロックローズ。やる気満々だ。
「転送陣も4層間ならテレポート可能な程度には仕上げてます。まぁ理性の実や鎮静系触媒多めの構成ですから暴走はないと思いますけどね〜」
ヒーラー個体達がサポートに入ると結構仕事早いエル・ジェリーマン。
「問題ないと予見できますが······うーん?」
水晶玉を手に小首を傾げるアストロロジー。
「どうした?」
コメリナも覗き込んだが、中小的な輝きが宿っているだけで素人が解析できる感じじゃなかった。
「······ものすごく、『お腹が空いてる』みたいですね」
「へぇ? 腹減ってんだ」
失念してた。確かに、チョロチョロしてる札の兵士とか食いでがなさそうだし、棘の植物に適応して逆に魔力を吸収して生きてる感じだった。
「そういえばヤツは大喰いだったのである」
協議の結果、俺達は復活前に『飯』を用意することになった。あの巨体! 量がいるな。




