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親父の遺産がダンジョンだった件  作者: 大石次郎


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58話

4層、磔の森。魔力を奪う棘の魔法植物が永遠に繁茂する頭オカシイ設定の層、だったんだがっ!


層の中心部を5層『渇きの原』から上がってきた連中に占拠され、そこは環境を変えられちまってるようだ。


4層の環境は5層の連中には合わずそのままでは棲み難かったのか? 単に魔力が強過ぎて環境ごと変えちまったのか? その両方か? 定かじゃないが。


4層攻略は外周部と中心部の2段構えになるようだ。二度手間感あんな······


ま、それはそれとして、


「じゃ、行ってくるよ。当代マスター」


「茸やハーブ等も拾ってみましょう」


アトリエの脇の林の前で、めちゃデカサイズの隠れ身のマントを着たゴールドスコップと、子供サイズの隠れ身のマントを着たアストロロジーを見送っていた。


「相手がびっくりするから気を付けろよ?」


「「ケムケム!」」


2人は1泊は野営して、この辺りの森を一回りしてくる計画だ。


「あたしが本気出したらこの地方を牛耳れるからねっ?」


「見付かる前に見付けてしまいますから、ふふ」


2人は楽しげにマントのフードを被ると風景に溶けるように姿と気配を消し、足音と足跡だけ残して森の中に去っていった。


『今の私は精霊のようなモノ』


アリッサがそんなこと確か言ってたが、なるほどね。


「首魁と眷属は繋がっているのである。アストロロジーも水晶玉を介して良い影響をダークエルフ達に与えるはず。これで、よし。俺は樵の真似事をしてくる。ケムシーノ達は蝙蝠を任せたぞ? 坊も適当にな」


アバドンさんは斧を担いでノシノシと別方向の森の作業現場に歩き去っていった。


平たいクッションに乗せられた眠り続けるぬいぐるみアリッサはケムシーノ達によって小屋の方に運ばれてゆく。


「さ〜て、俺は今日は教会か学校の屋根の補修でも手伝ってやっかな? 杖使えないのがちっとダルいけどさぁ」


俺もぼちぼち、村の方に歩きだした。


_____



改めての協議はクリスタルリトーが結晶の岩山近くに建てた『リトーパレス』の広間で行われることになった。


「お前達の『文明ごっこ』に合わせてやろう、この俺様が!」


おそらく宝箱から手に入れた謎のガウンを羽織ってるクリスタルリトーは持ち込んだこの間の玉座に座ったまま、指を鳴らした。


これに黒玉仙とエビルカーバンクルが念力で加工された謎の魔力結晶の欠片をテーブルの俺達の前にコトっと置いてゆく。


「苦味のある鉄分強めのガイアジェムと、藻の旨味を絡めたウォータジェムを絡めた魔力結晶でしゅ」


「おもてなしだよ? チャハ!」


「「「······」」」


食事の概念の解釈問題もあるが、鉄分はどっから持ってきたヤツだろ??


大体の参加者は困惑したが、ヘルスパルトイとツルベ火クィーンとエル・ジェリーマンはひょいっと口に入れ、吸収した。


「美味いですぞ? 苦味と旨味のバランス!」


「マリアージュしてますねぇ、ムフっ」


「ヒィィィッッッ」


だから食事概念の違いがさ······ま、取り敢えず他も全員手には取って、鉄分と旨味分以外の魔力や属性は吸収。掌に残った『砂鉄』と『旨味成分らしき白い粉』は、みんな様子を伺いつつこっそり収納の腕輪等にしまったさ。


「結構なお点前で、本題の方は?」


ビッグヘッドが切り出した。


「クリスタルリトー、自我のない眷属達に4層外周部の探索をさせてくれないかい? 今の毒気はともかく、魔力を奪われる環境ではウィスプによる探索は無理だからね」


ヨミロートスが提案というか、元々の計画を確認に掛かる。自我はないと言っても犠牲ありきではある。


「4層外周に残ってる首魁は『ヤツだけ』のはず。私ははっきりとは覚えてないけど、5層の連中が4層全てを制圧しなかった理由にもなってるのは確かだと思う。対策なしで遭遇したらあんたの寝込みを襲った時よりロクでもないことになるわ」


ロックローズも懸案の外堀から詰めに掛かる。


俺もなんか言っとくか。


「クリスタルリトー、お前が頼りなんだよ。お前の眷属の耐性! 頑強さっ。お前の優れた特性がやはり利いているんだと思う。お前の実力っ、こりゃ気付かされたね。他に、ない」


「「「······」」」


言い過ぎだろ? て顔をクリスタルリトー達以外からされたが、


「ハッ! だよなぁっ?! 俺様もそう思うっっ。いいか、俺以外の路傍の石ころどもっ。いいお知らせだ」


クリスタルリトーは玉座の背もたれの上に飛び乗り、ガウンを翻した。


「俺様の軍勢を差し向けてやろう!! 4層外周を丸裸にしてやるぜっっ、ハッハッハッ」


「ありがたいことでしゅっっ」


「チャハーーッッ」


「「「······」」」


思うところはあるにはあったが、どうにかこうにか、4層外周偵察の目処が立った。


まったく、戦っても味方にしても手強いヤツだぜ。


_____



200体あまりのエッジキューブ群には、ロックローズとビッグヘッドが魔力吸収対策の結界と加工を施し、クリスタルリトーが気配等を消す指示をして半透明の姿になって3層の3箇所ある4層への大階段から3手に分かれて降りていった。


降りてしばらくはアストロロジーにも観測できたが、程なく認識が難しくなり、そこからはクリスタルリトーの大まかな『存在認識』だけで捉えられるのみとなった。


「······ポツポツ減っているな。だがヤツに遭ったらこんな物ではすまないからなっ。記録を取らせいるが、1体も戻らないと『どの辺りで死んだか』くらいしかわからないぜ?」


何人かでダークエルフ拠点のロックローズの館に集まって観測会をしていたが、戻らないことにはラチが明かないようだ。


帰還予定の2日後までそれぞれ自分の作業に戻ることにした。


大量に回収される魔力結晶の分配作業や、オーダーに応じて3層の魔王城の瓦礫以外の構造物の変容作業なんかをコツコツこなしる内に2日は過ぎていった。


そして、


「お! 来た来たっ、すっくなぁ〜」


残数が減ったので1つの大階段に集めて戻らせたんだが、わずか20体あまりに減っていた。どれもボロボロだ。


全員毒気も、もらってきてもいたのでそれは俺が杖で浄化させる。


「ここから近い、ボクの拠点で記録を解析しよう。損傷もボクの琥珀で補える」


「オイっ、俺様の眷属だからな?」


「でしゅっ」


「チャハー!」


「はいはい」


軽く揉めかけつつ、一旦、ヨミロートスの拠点に向かうことになった。


偵察はかなり厳しかったようだが······いい情報、得られたかな?

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