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親父の遺産がダンジョンだった件  作者: 大石次郎


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57話

グランドマスターキーに集中する·····


大量の魔力結晶とガイアジェム数十個を浮き上がらせ、それらを纏めて触媒として一気に発動!


「収束!!」


クリスタルリトーが相当雑ながらとにかくどこもかしこも結晶化して元はヤツの寝床だった場所に集め固めてやった。


ビシィッと固まったそれは地の魔力が濃厚なちょっとした岩山。


周囲の支配域は地の結晶が剥がれると、ほぼ崩壊した毒靄まみれ陸地と毒の水場が延々と拡がってる。 


今いる俺達の足場はアバドンさんが張ってくれてる光の輪だ。


「ふぅ、酷っ。だがたぶんお前の力の影響でここの真下の環境は変わってない感じだ。結晶は取り敢えず作業の邪魔だから置いとくかんな?」


死にかけ状態からは脱っしたが小さな矮小体のままのクリスタルリトーに言っておく。


「これだけ『地の結晶物』と『質量』があれば6割方、俺様は復活できるな! クククッ」


悪い顔をするクリスタルリトーだったが、


「これは封印しよう。ロックローズ、ザトウマージ」


「「了解!」」


地の結晶の岩山はヨミロートスの蔓とザトウマージの『水の鎖』で覆われ、それをロックローズの結界で固定され、封じられてしまった。


「あーーーっっ??!!! お前らあにしやがんだよぉっ?!! 俺の身体の元!!」


「クリスタルリトー、信用度が足りない。君は当面、そのままの姿で眷属の運用に専念してね?」


「当然よ」


「振り出しに戻られてもかなわん」


「ちっくしょーーー!!! イィーーッッ」


めちゃくちゃ悔しがるクリスタルリトーだったが、ま、しょうがない。


「さてと」


既に結構疲れているワケだがモタモタしてるとクリスタルリトーに付け込まれそうだから、俺は魔力結晶とウォータジェム、エアジェムを腕輪からガッツリ引き抜き直す。


「このままこのエリアの補修浄化も片しちまおう」


むしろこっから本番っ、俺は鍵の杖を構えた。


_____



······っ!


バチッと俺は目覚めた。無理から結構広いエリアを浄化補修したから倒れちまっていた。


どうやら綿のような物でできたフワフワの寝床でアリッサ、ケムシーノ達と一緒に寝かされていたようだ。


植物で覆われた天井や壁の感じやそう長く寝ていた感じがないから、たぶん水場を挟んだクリスタルリトーの支配域の側にある樹の砦だな。


「お、お起きた」


「ヤロカヤロカっ」


「アリッサが起きない······」


寝床の見張りはネオサダコ、ヤロカ石、カースウンディーネが担当してくれていた。近くに水はないしわりと謎人選だが??


「リュブリャナ達とエル・ジェリーマンとザトウマージ様は仕事が多いからもう、拠点に戻った。天使も出掛けた······」


この3人だとカースウンディーネが対外対応担当なんだな。


でもってリュブリャナは旧拠点跡の方か? 最初の所は共有拠点みたいになっちゃったしな。


「アバドンさんもか。わかった。みんなは最上階のバルコニーのある広間だな?」


「ここも最上階······」


「へぇ?」


眠るアリッサを抱え、ケムシーノ達を起こして俺はカースウンディーネ達と寝かされていた部屋を後をした。


で、行ってみると、いたいた。


「「「······」」」


なんか場が殺気立ってどんよりしてるっ??


「なんだよ? めちゃ不穏じゃんかよ? ジャグリングでもしてやろうか?」


「おチョケてる場合じゃないわ。クリスタルリトーが早々に幹部2体と眷属群200体を復活させたんだけど、イキりだして始末に負えなくてっ」  


神経質そうに髪を掻き上げるロックローズ。コメリナも憮然とし、アストロロジーも気まずそうだ。


確かに大袈裟な『結晶の玉座』にふんぞり返ってるクリスタルリトーの両脇を、若いが幼体という程ではない黒玉仙と2回り小さくはなってるがそこそこパワーありそうなエビルカーバンクルが固めている。


バルコニーの外にはエッジキューブの軍団が浮遊していた。こりゃ剣呑。


「幹部の新生復活に必要と、結晶の山の一部と必要素材を分けたら眷属まで一気に復活させてこの有様ですぞ? ヒホッ」


「マスターが寝ていて、天使が4層への大階段の様子を見に行ってるからやりたい放題······ヒィィィッッッ」


ヘルスパルトイとツルベ火クィーンも困惑、か。


「クリスタルリトー、反故にする気じゃないよな?」


「そこまでじゃない。今はなっ。ただ俺様の強壮さを誇示し、わからせておいてやっただけだ。ふふんっ!」


「「「······」」」


短気なリュブリャナ辺りはいなくてセーフ。て感じ。


「わかったから、眷属は下に降ろしとけよ? 後先あるんだからな。また『樹の中』に押し込められんぞ?」


「······ま、事実を端的にお知らせしただけだ。降りていろ!」


クリスタルリトーはエッジキューブ群をバルコニーのずっと下方に降ろした。


首魁達の殺気が収まり、名代で来てるスキュラやオークジェネラルの冷汗もマシになった。


1回やりだしたら引っ込みつかなくなって俺が来るの待ってたまであるな、これ。


「どっちにしろクリスタルリトーの眷属群は必要だった。肘が当たった当たらないって話さ。それより、4層の環境をわかる範囲で確認しよう。この中だとロックローズ、ヨミロートスが比較的新しい情報を持ってるんじゃないか?」


「私は結界と一体化してる期間もあったし、どうかしら?」


「ボクは根や蔓を伸ばしていくらか観測できている。少し話し、見せよう」


ヨミロートスはレウケートレントに手伝わせ、琥珀の玉を発生させ、それを介して4層『(はりつけ)の森』の様子を映し始めた。


_____



現時点での協議を終え、いない首魁達にも名代や言霊の石等で連絡をつけ、それからしばらくしてのそっと光輪に乗って戻ってきた、


「どうせ揉めたな?」


なんて知らん顔で言うアバドンさんと合流し、俺はまたゴールドスコップとアストロロジーも連れて一旦地上に戻ることにした。


寝てる間に回復処置もされていたから別にもう少し地下にいてもよかったんだが、諸々の進捗が中途半端であったり、クリスタルリトーが今の立場に慣れていない様子だからちょっと間を置いた方がいいかな? てさ。


······地下室から出て、アバドンさんが念力で窓と雨戸を全開にすると昼間だったから眩しいくらい。太陽の光だ。風も森の草木と発酵した土の臭いを運んできた。


「地上だねぇ」


例によって鼻をヒクつかせるゴールドスコップ。


「この魔力の希薄さも慣れるとすっきりするような感覚がありますね」


それな。


「ピロシ坊。少し、お浚いをするのである。地下ではそれぞれ立場もあり、じっくり整理はできておらんだろう」


念力でテーブルの椅子を引き、ゴールドスコップ用には薪束を3つ念力で椅子に寄せて錬成し大きな椅子を造ってみせるアバドンさん。


「よっし。ちょうど地下から迷宮林檎とかも持ってきてんだよ」


みんなも座り、ケムシーノ達もテーブルに乗り、アリッサの籠も椅子に置かれ、俺は収納の腕輪から果物なんかを引っ張り出しつつ自分の席に着いた。


もう毎回だが、4層、やっぱ超酷いみたいだったんだよな······

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