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親父の遺産がダンジョンだった件  作者: 大石次郎


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54話

ややこしいので矮小化クリスタルリトーはヨミロートスの蔓で拘束し、猿轡もして一先ず床に転がしておくことにした。


「もごーっっっ」


陸に打ち上げられた海老みたいになってるが、放置!


「ざっとこれからの方針を決めよう」


「椅子を出しましょ〜、ムフフ」


エル・ジェリーマンがスライムの椅子を全員分出してくれた。


ぎゅむっとみんな着席。


「今回、骨が折れましたな。私と眷属はもうこれより下層の戦闘には参戦しませんぞ?」


コイツ、言うな。という気配はあったけど協議開始早々に牽制するビッグヘッド。


「そうだな。1層と2層の市場管理と生産系作業に専念してくれ」


「そこは抜かりなく」


「こっちもだ! オーク族は3層への物資運搬がいいとこだ。まぁキングの貴賓室があるから! 定期的に見て回るつもりだがなっ」


観光はするぞ? 宣言してくるオーク・ジェネラル。


「あたしらキラーモールも戦闘は厳しくなってはきてるが、ヨミロートス達の拠点は『土』がいるだろう? 今は水と魔力でほぼ回してるようだが効率が悪いはずだよ」


環境悪化と土地資源の枯渇は大体ワンセットだから安定化後、土の種族のゴールドスコップ達は大体忙しくなる。


「それは助かるよ。レウケートレントと調整してくれ。ボクは本体から離れてたくさん動いたり話したりしたから少し、眠い······」


クリスタルリトーの拘束は維持してるが目は半開きになってきているヨミロートス。


「アリッサみたいに1回寝たら起きないってことはないでしょうね?」


ロックローズは籠ではなく椅子に寝かされたぬいぐるみみたいな眠るアリッサを振り返った。


「そこまでじゃないよ。まぁ数日は寝たいね。滅んだ眷属の復活の準備もあるからさ」


「細々としたことは私が対応しておきます」


「頼むよ、レウケートレント」


「我々水棲種は昔の拠点の復旧を始める。水場全域に、水草や苔や藻、普通の水棲生物等も水魔法で増やし放とう。循環するようになるであろう」


ザトウマージも疲れてるだろうが、これまでの経緯もあってすぐ行動したいようだ。


「リザードマン種は3層のざっと解放させた各地の野営地の整備を進める。取り零しの野良対策にもなるし、開発も楽になるだろうよ。プリースト、引き続き2層拠点は任せる」


「心得ました」


リュブリャナんとこのプリーストは優秀だけど優秀過ぎてあんま降りてこれない感じだな。


「土はエルフ郷も足りない。キラーモール達は1層の作業は大体済んでいるはず。纏めて降りてきたらどうだ? と聞いて下さい、ロックローズ様」


「おお〜、どうかしら? ゴールドスコップ」


焦れったくなったらしいコメリナに促されてゴールドスコップに問うロックローズ。


「ちょいと待ってくれよ、あたしら2層の自分達の旧拠点の復旧があるんだけどね。まぁ人員は回すよ。2層拠点復旧はヘビィナイトに任す。3層作業は······あたしが指揮取ろうかね? そろそろ当代マスターの警護はあたしじゃ厳しいだろう? リュブリャナを推薦するよ」


「シュゥッ? 俺か??」


確かにクリスタルリトー戦の段では厳しくなってはいた。ゴールドスコップは気安くて楽なんだけどなぁ。ま、仕方ない。ゴールドスコップはゴールドスコップで忙しくなってるし。


「そうだな、頼めるか? リュブリャナ」


「いややらんではないが、ちょっと待てよ、3層作業の構成を変えるぜ」


リュブリャナがワンマン過ぎて前衛上位個体がまるで発生してないから育成は必要だろうな。


偵察にウィスプ勢、殿にスケルトン勢の体制ももうちょい維持したいところ。あとは、


「エル・ジェリーマンも転送陣があちこち増える。作業できる個体を出してくれないか?」


「そうですね······では、ハイスラの『ヒーラー個体群』を少々出しましょう。どの道4層探索に必要でしょうし」


「よっし、あとは一旦地上に戻って」


「坊、クリスタルリトーの支配域の補修浄化も必要である。なにもかも結晶で固めておるからわかり難いが、ここも劣化崩壊して毒気に満ちてはいる」


「あー、それな。じゃ、戻ったら最初にやるわ」


方針が決まり。クリスタルリトーはまだ落ち着かないので当面樹海のヨミロートスの元で預かることとして、『棚上げ』も多いが協議は終わった。


_____



俺、アリッサとケムシーノ達を連れたアバドンさん、そしてゴールドスコップとアストロロジーは樹の砦の急拵えのスライム台座の転送陣に来ていた。


制御係はエル・ジェリーマン。見送りはロックローズとコメリナ······


「納得いかないわっ!」


荒ぶるロックローズ。


「いやいやいや、しょうがないって」


宥めつつまぁそうなるな、と。ゴールドスコップはそうでもないが、アストロロジー気まずそうだ。2人はアバドンさんの判断で『出所可』となっていた。


「2人は善性を獲得し、安定もしておる。ゴールドスコップに関して種族全体安定傾向である。メジハ牢獄の全層調整が済めば一族揃って出てゆくとよい。まず棲み処を探さねばならないがな」


「急に言われてもね。今、3層が忙しいとこだし。とはいっても、うん百年越しのことだから見にはゆくけどさ」


「私も首魁を差し置いて心苦しいです。この水晶玉をコメリナに預けておきます、玉を通して外の世界を映しますので」


「だってさ、やっかむなよ? 善性が足りないと出所が遠のくぜ? へへっ」


キッとロックローズに睨まれた。こっわ。


「アストロロジーは納得だが、アリッサ様がよくてロックローズ様がダメなのは納得いかないな? 似たようなもんだろう?」


コメリナ、言い方。


「アリッサも本来よくはないが、この蝙蝠は『存在の質』を変えて神力よる縛りを抜けてしまった。一応神に伺いを立てたが、『よき』とのことだ」


神様、寛大〜。


「ロックローズよ、お前も善性はある。お前がただの上位眷属であれば出してやってもよいくらいであるが、お前は首魁個体。ダークエルフ全体の評価の指標となる者だ。もうしばらく励み、なにより種族を安定させることである」


「わかったわ。別にやっかんでないし、3層でやること山積みだしっ」


「「「······」」」


わかりやすいヤツ。


「も、話済みました? 私も結構忙しいんですよね〜」


待ってるのに飽きてきたエル・ジェリーマン。


俺達『地上組』は転送陣に乗り込んだ。


「アストロロジー!」


「はい」


不意に吹っ切れた顔で呼ぶロックローズ。


「あなたは内なる夜空ばかり見てきたけれど、本当の空を見てきなさいね」


「必ず光景を届けます。私にはその様ももう見えています」


転送陣は発動しだした。


「お早いお戻りを〜〜」


「ピロシ! アストロロジーを任せたぞっ?」


「おーし、任せろ。アリッサやケムシーノ達もどーってことなかったし、大丈夫だ!」


「「ケムんっ」」


「ふひ☆」


転送の魔力の光に呑まれ、俺達はアバドンさん家の地下室へと飛ばされていった。

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