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親父の遺産がダンジョンだった件  作者: 大石次郎


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40/68

40話

結晶の騎士達はランスを持ち、素早く飛行する! このランス、精度や攻撃力も高いが『結晶化』の力があるらしく受け損なうとかなり厄介だっ。


「エル・ジェリーマン! 直受けはマズい!!」


エル・ジェリーマンは身体を変化させたりハイスライムを召喚変化させて応戦する傾向があり、相性悪い。


「了解で〜す!」


身体変化ではなくステッキによる打ち払いと、ハイスライムの『電撃種』を分離させ受けずに支援攻撃をさせて立ち回りだした。


リュブリャナはパワーで圧倒して、ゴールドスコップは俺の守護に専念し上手く対処してくれてる。


同じく俺の守りに専念してくれてるケムシーノ2体の内、ケムシーノライトニングはハイスラの電撃種と同じ立ち回りで問題ない。アイアンケムシーノの方は直接攻撃は危険なので鋼の粘着糸を放つ『メタルウェブ』を放って牽制していた。


「お前達は防御専念でいい!」


コメリナはメイジ個体達に攻撃魔法と少規模結界で守りを固めさせ、結界の中から溜め撃ちの矢で手堅く交戦。


アバドンさんは接近する者を『解呪(かいじゅ)』して砕け散らせている。アリッサは高速で飛び回づてロックローズの柱まで抜けようと隙を伺い、ヘルスパルトイはあまり参戦せずにアリッサの様子を見ながら駆け回っていた。


壁役のヒートストーンゴーレムはいいように打ち込まれ、結晶化させられていたが耐久性はあり数もある。しばらくは保ちそうだ。


「······」


ただ倒すなら、手の空いてる俺が念入りな魔力杭の狙撃で柱の内部のロックローズを仕留めるのが最善だ。


だが、アリッサになにもさせないまま効率的に処理に掛かるのというのはちょっと違うか?


結晶の騎士達は多少減らしても再召喚である程度補充されてゆく。その分、ロックローズは損耗してる風でもあるが、どちらにしても長引いて余裕がなくなるまではちょっと動けないな。なんて思ってると、


「坊! 準備はしておくのであるっ」


アバドン教官からの檄が飛ぶ。


「やろうと思ってたとこだよ!」


雷属性サンダージェム氷属性アイスジェム火属性ファイアジェムを触媒に、雷氷火の魔力杭を生成っ。


「アリッサ! そんな待たないっ、なんかやるならとっととやっちまってくれ!!」


「わたくしがノロマみたいな言い草ですねっ、マスター君! 心外ですよぉっっ??」


魔力を高め加速するアリッサ! これにヘルスパルトイも加速するっ。


ロックローズは叫びの思念を放ち、結晶の騎士召喚では間に合わないからか? 放射状の結晶の礫や槍を放って迎撃態勢を取った。


「むぎぃっ」


「ヒホッッ」


さらに加速するアリッサとヘルスパルトイ!


(あぁぁーーッッッ!!!)


いよいよ接近すると柱から直接、ヘルスパルトイは無視しアリッサに対してのみ巨大な『結晶の牙』が多数噴出!


即応する! ヘルスパルトイが剣を砕かれながらナマクラ斬鉄のスキルを打ち込んで斬り払いっ、


「バカ弟子ぃっっ!!!」


柱に『齧り付く』アリッサ!


バシュゥッッ!!! 強烈な『エナジードレイン』!! 


柱の魔力が吸い付くされて砕け、魔法陣の紋様も崩壊して消し飛んだ。


結晶の騎士達も全て砕け散る!


「むむぅ〜っっ」


吸い過ぎて5倍くらいに膨れ上がるアリッサ!


「あぁ、冠に、戻るわ。バカ、師匠······」


柱から解放かれ、身体自体の結晶化が始まり落下しながら微笑むロックローズ。


「ロックローズ様っ!」


泣いて叫ぶコメリナ。


んがっ、その時!


「きぇぇーーーぃいっっ!!!!」


奇声と共に尻尾を伸ばし、結晶化しながら落ち行くロックローズの『臍』に突き刺すアリッサ!!


「ごぽぉっ?!」


「『エナジーリターン』ですわっっ!!!」


尻尾越しに吸った魔力を臍から一気にロックローズにブチ込むアリッサ!


「んぎゃああぁーーーーーっっっ??!!!」


白眼を剥いて絶叫し、仰け反るロックローズ!!


ズポッ。ハート型のアリッサは尻尾は抜かれ、結晶化が解け、魔力も充填したロックローズは祭壇の間に落下したところをヘルスパルトイに受け止められた。


「あばば······」


泡を吹いて痙攣し昏倒しているロックローズ。


「「「えええ???」」」


困惑のダークエルフ達っ。


まだ魔力が漲ってるが元のサイズに戻ったアリッサも降下してきた。


「おほほほっ、わたくしの弟子は『今のあなた』ですわ! 見くびりましたねっ」


「「「······」」」


いや解決はしたけど、なんか凄いなって。全員思ってさ。


「マスター君!」


「はいはいっ?」


急に振り返って呼ばれ慌てた。


「わたくし、無理な魔法解除と魔力吸収でいろいろ『アレになったので』、しばらく休眠しますわ。しばらくは『補佐役』にロックローズを付けるとよいでしょう」


「おお??」


「未熟者なのでまだ出所できないでしょうが······エルフ郷は、規模が、小さくなっているので、なんとでも······ああ、ここまでですね。おやすみ、マスター君。犀天使も、任せ、ました、よ」


そのまま、コテっと眠って床に落ちそうになったから、俺は魔力杭を解除して、代わりの念力で支えて受け止めた。


「······アバドンさん、斜め上に解決しちゃったよ」


「取り敢えず、外の結界の処理を急ぐのである。アリッサとロックローズは後回しで問題なし!」


問題ないんだっ。俺達は戸惑いつつ一先ずアストロロジーの元に戻ることにした。つーか、マジか〜〜。


_____



ダークエルフ拠点の周囲には、明らかに野良ではない統制の取れた植物系モンスター群が来ていたが、こちらが兵を配置して仮設でもそれなりの結界を張り直し、俺達も顔を出すとスッと毒靄の中に引き下がっていった。


「まぁ連戦は回避できたか、ツルベ火クィーンも仮結界作りありがとな」


「ヒィィィッッッ」


「しかし、私の『当代の首魁様が心静かに滅びる予見』を覆してしまうとは、さすがアリッサ様ですね」


取り敢えず、苦悶の表情で気絶したままのロックローズはゴールドスコップが抱え、満足げに眠るアリッサはコメリナが抱えていた。


「もうちょいやり方あったような気はするけどな?」


「ふふ」


アストロロジーも笑っちまう、アリッサ師匠の奮闘だった。


······毎度森で別れてはいたが、地上に戻る時に当面アバドンさんと2人だけになるってのも味気ない気もするかな?

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