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親父の遺産がダンジョンだった件  作者: 大石次郎


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29話

描かれた魔法陣の中央に錆びた王冠は置かれた。


用意された対価物は『強欲の牙』、『血塗れの戦斧』、『至高のハートストーン』、『上等な山盛り肉』、『一樽の鮮血』、『オーク族の霊灰(れいはい)』、『山盛りの理性の実』等々······


「ではやりますぞ?」


「任せた!」


ビッグヘッドを主体にゴブリンシャーマン、キラーモールソーサラー、リザードマンプリーストが補佐し、構える。


「王冠を戴き、再び現れ出でよ! オークキング!!」


陣が発動し、全ての対価物を消費し、王冠は『豚のごとき影の巨獣』に姿を変え、咆哮を上げ、圧縮! そして······


「おんぎゃあ、おんぎゃぁーーーーっっ!!!!」


『オークの赤ん坊』になった。


「「「······」」」


「ま、アンデッド等の『持続性の高い』個体以外はこうなりますな」


「お、おう。まぁゴブリンとオークで育児する前提だったしな」


「我らが王よ!」


感涙して赤子のオークキングを抱き抱えるが思い切り嫌そうな顔で足蹴にされ、それでもめげないオークジェネラルっ。


「アバドンさん、この状態からどれくらいで育つもんなの?」


「オークキングか。概ね早い。問題なければどの代も数年で成体に育っていた」


「今回は理性の実も『盛られた』し、少しは落ち着いて長生きはしそうですよ? マスター君」


「長生きは結構なことだが、数年か」


こりゃ『一通りのことが終わるまで』ベイビーのままだなぁ。


ま、オーク達にとっては幸い。今度こそ皆と上手くやってほしいもんだよ。


_____



さて、残りは土壁でできた市場の復旧作業だけだ!


毒沼や崩壊箇所は処理済み。野良モンスターやトラップの排除後魔除けの設置や再配置の可能性の高いポイントの封鎖も完了。


やはりトラップやミミックの可能性のある自動生成宝箱も対応済み。


「しゃっ、2層作業の締めだ。どんどん進めよう!!」


まず城壁、店舗やその他施設の造成。照明、利水、トイレ、換気、ゴミ処理の整理。 


なお、専用種のスライムのトイレ利用や食材種スライム等に関してエル・ジェリーマンからはなにもコメントがないから、誰も触れない······


あとは個別の要望を叶えてゆく!


ゴブリン族はビッグヘッド個人からは特になかったが、やはり花壇や植え込みや街路樹設置の要望が多かった。


キラーモールからは『土の穴蔵の宿』の設置。リザードマンからは『ラグジュアリーな冷水浴場』の設置。池の水棲種達からは『宿の個室用水槽』の設置の要望。


ウィスプとスケルトンからは『死霊好みの薄暗い宿』の設置。エル・ジェリーマンからは『簡易版スライム御殿』の設置。オークからは『食堂の充実』の要望。


ケムシーノは『アスレチック場』の設置。ワーグは『ドッグラン』の設置。リーフウォーカーは『ふかふかする土の公園』の設置。モンクペンギンからは『ウォータースライダー場』の設置の要望······


そんなとこかな? 全部やっちまおうっ!


普通の大工なら長期の大仕事だろうが、そこはモンスター達だ。各素材に人員も豊富で、土魔法に念力、剛力使いまくりっ。


たった2日あまりで全て達成した。


「は〜、終わったようだな。また3層探索の協議があるし、俺は一旦地上に戻って休」


「んよ〜し! マスター君っ。一通り改めて直に確認しましょうか?! 犀天使もっ」


「えー? 後日」


「いや、俺はそこらの食堂で待っているのであ」


「いきましょう!!」


俺もアバドンさんも尻尾を首に巻き付けられて連れてかれてしまった。強引だなぁ······と思いつつ、まずは城壁チェックからの大通りのチェックっ。


「優美ですね! 魔王城の瓦礫で補強された素っ気ない城壁と、均一的な一列並びの凡庸な土壁の店舗通り!!」


「いや装飾はおいおいすればいいじゃんか」


機能性は確保したぞ?


次は花壇なんかを。


「優美ですね! ゴブリン達がそれぞれ好き勝手に植えまくった統一感のない花壇、植え込み、街路樹! 日光灯をやたら設置することになったのでコスト高ですっ」


「まぁ、居住区じゃないし」


多少、映え優先でもね?


というかこのあともずっとこの調子だったっっ。


「優美ですね! 有料の穴蔵がキラーモールだらけになっていますっ」


「優美ですね! 池も水路もあるのに有料プールがリザードマンだらけっ」


「優美ですね! 個室プールが生け簀状態っ」


「優美ですね! 陰気なホテルっ」


「優美ですね! 擬態スライムの胃袋直行ハウス出張所っ」


「優美ですね! 客のオークが一番美味しそうっ」


「優美ですね! ケムシーノアスレチックが結構ハードな造りっ」


「優美ですね!」


「優美ですね!!」


「優美です、ね〜〜っっ!!!」


「「······」」


ガッツリ全て見て回り、俺もアバドンさんもぐったりした。おいおい見て回るつもりだったし、工事中も何度も経過確認してたし。


それでも、


「優美でしたわ、浅層は歴代の中でも栄えることになりそうですわねぇ」


ずっと頭の上にいる、長生きでここの住人でもあるアリッサは感慨深げだったな。


_____



村に戻るとしばらく拾った石を売っていなかったからモリオとミラルゴが、


「大丈夫なのか? 高給じゃないが仕事の口ならあるぞ?」


「教会周りは薄給だけど······」


と心配して兎パンチ亭に来ちまったりしたから、慌ててストックしていた鉱物や霊石類を程々に売却し、そうこうしてる内に一度入ってみようと思ってたせせらぎ亭にも行けずじまいになったが、とにかく俺は迷宮舞い戻った。


協議は市場の幹部用の講堂で行う。


「3層探索について話し合おう。現状材料としては」


「ばぶっ!」


オークジェネラルが赤ん坊のキングのを連れてきていた。ゴブリンの保育係も同伴してるが気まずそう。


「よし。オークキングも参加だな。皆で話し合おうな」


ここからみっちり話し合い。キングがぐずったり、ミルク飲ませたり、泣いたり、おしめ替えたり、寝ちまったりしつつ、議論は白熱したさ。

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