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親父の遺産がダンジョンだった件  作者: 大石次郎


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25話

狭いので代表だけだが、首魁の島に下船した俺達は改めてザトウマージと対面した。


「御覧の通り、私はもはや死に体。気で、保っているだけなのだ」


今は言葉通りだとはっきりわかる。一方的に送り続けた書状を含め、最後まで『概ね事務的合理的な後継者の男』としか思われないというのもなんだな。


実は、俺は色々練習している!


「実は元旅芸人でさ、よっ」


魔力の杭を7本作り、それを鍵の杖と合わせてジャグリングして、クルッと一回転してから杖だけ取り、魔力込め、7本の杭を全て池で見た蓮みたいな光の花を模倣した魔力の花に変えて周囲に浮かせ、それをさらに分裂拡散して島を囲む水棲モンスター全ての周囲にまで広げて見せた。


どよめきが起こる。


「魔力の花ならわかるだろ? それなりに『盛る』方だ! この池はきっちり環境は整えるし、眷属達もそんなムチャな扱いはしないさ」


ザトウマージはため息をついた。


「普通に皆の面倒を見てくれればそれで結構。だが『小器用』で規模のある杖の扱い自体、問題ないようだ。さて」


杖を持たない方の片手を軽く上げて確認するようにするザトウマージ。その手首から先は結晶化して砕け散ってしまった。


「気が抜けた。もう時間はないようだ。最後に池の環境が戻る様を私に認識させてくれないか?」


「ああ、そのつもりだ!」


もったいないから光の花の魔力の回収。収納の腕輪から引き出した魔力結晶を周りに小山のように配置して、杖と連動させるっ。


「マスター君っ、やっておしまいなさいな!」


「蝙蝠、眷属が命令するのでないのであるっ。坊、気にせず集中だ」


「はいはい」


アリッサとアバドンはいつもの調子だ。今回はいきなり暴走しかけてすぐ離脱するにはちょいと状況が落ち着いてない。まず転送陣まで遠いし。噛まれたくないしっ。


このあとも最低半日は活動する。そのつもりで丁寧に、しかし大きく力を使う!


「グランドマスターキーよっ!」


俺は一気に力を解放っっ。連動させた魔力結晶は一瞬で消費!! 魔力の奔流に俺自体が飲み込まれないように慎重にっ、杖を振るった。


柱で無理から抑え込まれていた、水底の毒沼の発生源は全て浄化! 各所の崩壊点は回復っ。


で、こっからややこしいが、ザトウマージ達によって池に改造されたここの地形は『この形』で安定化させた。


扱い難いが資源として再利用もされてる魔王城の瓦礫はその周辺物や水を操って邪魔にならず取り出し易くもある位置に再配置した。


あとは既に汚染された水や土、泥を安定化し、細々調整してゆく。光の花の輝きが増し水も空気も全体綺麗になっていった。


「ふぅっ! しんどっっ」


鼻血は出たが魔力の暴走はしてない。俺、がんばった! 水棲種族もわいわい喜び出してる。しゃっ。


「······うむ。見えるな。そうか、新たな鍵の主よ。王冠より、再び蘇りし時は、しかと、仕えよう······一先ず、さらば」


満足げに完全に結晶化してゆくザトウマージ。


「ああ、お疲れ、ザトウマージ」


「ジジイ、しばらく養生しとけ」


「君はよく率いていましたよ〜?」


同じ2層首魁リュブリャナとエル・ジェリーマンにも労われ、ザトウマージは完全に砕け散り身体は迷宮の大気に消えたが、その足元には少しヒビの入った錆びた王冠が遺されていた。


_____



そこからはリザードマンプリーストが活躍した。


昏倒していただけのスキュラを問題なく回復。


遺体はそれなりに残ってはいたサハギングラディエイター4体も『エリクサー』『上等なアクアジェム』『反魂香(はんごんこう)』なんかの魔道具や魔法素材を触媒に『3人』は蘇生させた。


が、1人は失敗して『灰』になってしまったな。


「力及ばず······」


「いや十分十分」


当のサハギングラディエイターの3人は、


「我々は囚人として刻まれた個体です。やがてザトウマージ様が蘇れば、この者も新たに生を受けるでしょう」


そう言っていたが灰を袋に詰め、懇ろに弔うらしかった。この彼はこの彼、ということか?


ミヅチに関しては『強い魔力で頭部を消し飛ばされ、魂が傷んでいるので蘇生不能』と判定された。


「エル・ジェリーマン、実力差あるならやり過ぎだぜ?」


「久し振りだったので、面目ないで〜す······」


まぁいかんともし難い。


当面、2層の水棲種族はスキュラが率い、サハギングラディエイター3人が補助することになった。


池のある南西エリアはまだ未処理の所も多いが一先ず保留! 俺は疲れ果てたっ。


それでもなんとか、ポーション飲みながら元気な体面を保ち、ハイスラ船団でビッグヘッド達の待つ岸までたどり着いた。


「首尾よくいったようですな、マスター殿。お疲れでしょうが、帰る前に全て塞いだ大階段を1つは解放し直していってもらわないと困りますな」


「······」


容赦ねーな、て。


俺は最後の気力で1層への大階段ルートを1つこじ開けからぐでんぐでんになったので、アリッサに霊薬のエリクサーをガブ飲みさせられ〜からの、アバドンさんに担がれて運ばれ、どっかの拠点の転送陣で迷宮から一旦離脱した。


残業がキッツ······


_____



兎パンチの屋根裏に戻って丸一日爆睡してたがどうにか、のそのそ起きて身支度を整え、店の営業中で混んでたから面倒だなと出掛けようかとも思ったがすぐ本格的に面倒臭くなった。


で、勝手口から中に入り直し、厨房の脇の休憩室でボーっと自分で淹れた煎り豆茶を飲んでいたら、いきなりモモミが入ってきた。


「うおっ?」


「いた! ピロシ兄、休憩室にいたよっ」


「おー、そ〜か〜。1回出て勝手口から入ったのか?」


厨房の兄貴に呼び掛けたモモミ。動きを見切らられたが、端から見たら妙な行動だったかもしれん。


「なんだよ、モモミ。安息日じゃないだろ?」


「昼休み! 全然起きないから様子見にきたら、屋根裏いないし、ベッドが暖かいからまだ近くにいると踏んで捜査してたんだよ」


「いや、俺犯人じゃないけど?」


「ちょっとさ〜」


向かいに座るモモミ。


「ダンジョン行き過ぎじゃない? まぁお爺ちゃんの行動からするとそんなもんかもしれないけど、なんかすごい疲れてるし。どういう状況? 1回私と上のお兄ちゃんも行ってみていい?」


「えっ?!」


明らかに話の後半が目当てだっ。前からちょいちょいモモミはダンジョンに関心を示していたが······どーすっかな? 1層の、キラーモール拠点なら大丈夫か? なんか、ゴールドスコップ達『もふもふ』してるし。


「いや〜、んー。一番浅い階ならいけるかな? みんなすごく、楽しい『お友達』だよ? はは、野菜とかキノコ育ててるから、はははっ」


「いやそんな対象年齢下げなくていいから、私もいい歳だからっ」


「あ、そっか〜。あはは」


1層はもう安定してるがビッグヘッド、オークジェネラル、ツルベ火クィーン、ヘルスパルトイ! ゴールドスコップ以外は全員眷属も癖強めだっ。


アリッサは黙っていれば問題ないが、アバドンさん隠さないとややこしいなっっ。


う〜、本気か? 本気で降りるつもりか? 我が妹よ??

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