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親父の遺産がダンジョンだった件  作者: 大石次郎


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14話

協議用の部屋からまた別室に移っていた。


部屋の中央には魔法陣が描かれ、スケルトンの王冠にウィスプの王冠、触媒用の魔法素材があれこれ置かれている。


オークの王冠は、部屋の端の小さな『護りの結界』の中のオークジェネラルが持っていた。彼の兜の上にはアリッサが乗っていた。


アバドンさん、ゴールドスコップ、上位ケムシーノ2体、ブルワーグ、キラーモールのヘビィナイト個体とゴブリンのコマンド個体は見届け係。


ビッグヘッドと補佐のゴブリンシャーマン個体とキラーモールソーサラー個体が、蘇生術の安定化係。


そしてグランドマスターキーを構えた俺が、発動させる係だ。


「緊張するな」


「マスター殿、問題ありません。この迷宮において我らは滅びません。まして、スケルトンとウィスプの首魁はアンデッド種なので。条件の厳しいはずの『外』での蘇生術と比べれば『乾燥苔(かんそうこけ)』を湯でふやかすようなものです」


「例えが独特だな〜。······やるけどさ!」


俺は鍵の杖に魔力を高め、魔法陣と呼応させた。


「再び王冠を戴き、現れ出でよっ『ヘルスパルトイ』『ツルベ火クィーン』!!」


呼び掛けに応じ2つの王冠と魔法陣が激しく発光っっ。全ての蘇生触媒を消費し、王冠は『骨の旋風』と『暗い炎の旋風』に転じそこからさらに、


「ヒーホーーっ! ありがたや〜っ!!」


「主が戻ったぁ〜〜〜ヒュゥウウーーー!!」


『小さな骨の騎士』と『女の顔のある小さな鬼火』に変化した。


のだがっ、2体は即座にオークジェネラルとその手に持つオークの王冠に反応!


「豚ぁーーーっっ!!!」


「見付けたああーーーっっ!!!」


見た目は小さくとも凄い形相で王冠を持つオークジェネラルに襲い掛かる2体の首魁死霊!


「ぐぅっっ?!」


ジェネラル個体は青い顔だが護りの結界に阻まれてはいる。さらに、


「見苦しいですわ!」


アリッサが翼を広げて魔力を解放して2体の死霊を吹っ飛ばした。


「ヒーホ! 邪魔をしないで頂きたいっ、アリッサ様! オークによって私は屠られ、眷属もほぼ駆逐されたのですっっ」


「同じくですぅぅ〜〜っ、この怨みぃ、晴らさでおくべきかぁ〜っっ、ヒィーー!!!」


荒ぶる首魁死霊2体。矮小化してもやっぱ収まりつかないか······


「まぁ待ってくれ。オークキングはすでに討ち取られた。以前のヤツはもう戻らない。けど2人はアンデッドで記憶保ち易いんだろ?」


どうも死霊は『意志』が本体でそこはこの迷宮でも刷新され難いそうだ。


「マスター殿の仰る通り。眷属分の蘇生触媒も用意した。まずお主らは簡単に蘇生できるしの」


そうそう合理的にね。ビッグヘッド、もっと言っておやりなさい。


「旧魔王軍と無関係に呼び寄せてた『野良(のら)死霊』は還ってこないけどね。あとキング以外のオークは結構生き残ってもいるよ?」


それ今言う必要ないよねっ? ゴールドスコップ!


「······ヒーホぉ。所詮は『定命種(じょうみょうしゅ)』の一時の撹乱。こちらばかり覚えているのは、虚しい。付き合い切れませんなっ」


「······マスター様の御帰還に免じて今回ばかりは見逃してあげましょう〜〜。一生嫌いですけどねぇっ? ヒィィィイイ〜〜〜〜っっ!!!」


許し方、怖っ。だが矛を納めてくれたようだった。


このあと小さな骨の騎士の姿のヘルスパルトイと小さな女の顔の鬼火の姿のツルベ火クィーンは、残存の眷属を呼び寄せ、復活可能な眷属は蘇生させた。


ビッグヘッドの言う通りサクッいったが、アンデッド以外では眷属までをこれ程簡単に復活はできないらしい。


速攻で戦力が増せたのはラッキーだったかもな?


_____



というワケで、一段落ついたんで岩塩採掘スポットに来てみた。


「へぇ」


広めの石室の床面が全て岩塩結晶。鍾乳洞的。塩まみれの魔力灯もあり中々幻想的な光景だ。


すでに足場が作られ、ゴブリン、キラーモール、オークが採掘を行っていた。


「ヒーホーっ! 塩は下層でも売れますぞ〜?」


「ソルティーーーっ! ヒィィィッッッ」


死霊首魁コンビ、癖あんな······


「あ、マスター様だっ。お〜い!」


「うげっ、死霊の首魁達復活してるっっ??」


ウォリア個体のゴブリン達は警備をしていた。もう敵対的な知性のあるグループはいないが、まだ1層の全てが安定化したワケじゃないのと、そもそもダンジョンなんで野良モンスターもいるからさ。


「未開放エリアの採掘地点を合わせれば備蓄とは別に交易用の塩も手に入るか······」


ヘルスパルトイもチラっと言ってたが、商売も考えてかないとな。


_____



塩採掘スポットの視察後は方針を少し改めた。


ゴブリン達はケムシーノ達をお供に、すでに安定化したエリアの作業全般を担当。


凶暴化対策は必要だが毒気耐性があり倒されてもすぐ回復復活できるスケルトン種は、残存の1層未開放エリアの調査を担当。


不死性に加え機動性があるウィスプ種達は、複数ある2層への『下り口』付近の調査を担当。


ワーグ達を連れた俺、アバドンさんアリッサはオークとキラーモール達と、調査済みの未開放エリアの補修&浄化作業を行う!


この組分けでガシガシ作業を進めてゆき、3日後。


「1層全エリア! 解放完了っ!!」


「「「うぉおおーーーっっ!!!」」」


「「けむ〜んっ!」」


「「わぉーんっ!!」」


1層、石室回廊は全て綺麗に補修、浄化された!


整った水路! 通気口! 各種資源採取スポット! さりげなく散らされた旧魔王城残骸の趣きっ!


ゴブリン達も3次拠点の建造が始まり過密状態改善! キラーモール達も食糧生産地拡大! 土資源の拡充に伴い彼ら彼女達の娯楽『土掘り放題プール』も設置!


スケルトン達は墓場風の安らげる拠点を築いた! ウィスプ達はやたら暗い火の燈台の設置された謎拠点築いた! オーク達も野良モンスター避けの簡易な城壁設置は認められ、非戦闘員の監視も緩められた。


攻略し易そうなルート2層下り口も確認されたっ。


俺はここで1日だけ村に帰り、兄貴と妹に「入り浸り過ぎじゃないか?」等々、言われちまいつつ取って返してきた。


······俺、アバドンさん、アリッサ、1層各種族の首魁達とオークジェネラル、上位ケムシーノ2体、ブルワーグはその下り口の1つを前にしている。


「よし、行くか?」


「華麗に下りましょう、おほほっ」


「蝙蝠は己で歩きもしないのであるがな」


アバドンさんの小言が響きつつ、壊れまくって毒気まみれを下り階段を補修浄化して降りてゆく。階段はすぐに土を固めた構造へと変わっていった。

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