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親父の遺産がダンジョンだった件  作者: 大石次郎


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13/25

13話

拠点制圧後、降伏したオーク達の非戦闘員は一先ず監視下に置かれ、最低限回復された兵達はゴブリンとキラーモールの2次拠点造り等の手伝いさせられることになった。


暴動になると台無しなので対応は諸々穏便にするように念押しして、俺は2日間休みを取って村に戻ることになった。


で、休暇1日目。


聖教会の村の聖堂で祈ってみる。殊勝、とか敬虔というより寝覚めの悪さだ。


あれだけ会話できると、べらんめえな相手でもほぼ対人戦だ。『人を笑わせる』生業を目指したピロシさんとしては色々具合が悪くてさ。


「······」


一通りは祈った俺は堂を去ろうとした。


「あれ? 懺悔しないのかい?」


堂の端の告解室の教会側の扉から痩せた背の高い男が顔を出した。


中等学校の俺の同窓生その2。ミラルゴだ。秀才で大きめな街の神学専攻で高等学校に行ったが、その後還俗して穀類を取り扱う大店かなんかに入ったはずだが、いつの間にかここの助祭をしていた。


「ミラルゴ、お前に説教されたくねーよ」


「いや〜、そこは助祭だからさぁ。専門だよ? 俺?」


「1回還俗したんだろ? 出戻りナマグサは信用ならね」


「酷いなピロシ、『深みが増した』と思ってくれよ」


「はいはい」


俺はさっさと出入り口に向かう。昔、超真面目だったのに急にのらくらされて少なからず戸惑うわ。


「出入り口の募金箱! 浄財よろしくっ」


「俺みたいな底辺に集るなよ?」


迷ったが銀貨一枚だけ入れといた。


「毎度あり!」


「お前の酒代じゃないからなっ?」


ヘラヘラしてるミラルゴを後に、俺は聖堂を出た。


すぐ脇に菓子箱みたいに簡素な教会学校分校の初等部棟があり、その奥がやや大きな中等部棟がある。


どっちも授業中だ。初等部棟からは合唱の声と伴奏が聴こえ、中等部棟は棟の前の教練場で革球(かわだま)を使って男女別に球技をしていた。


女子は籠に球を入れる『リングボール』。男子は球をぶつけ合う『ゴブリンボール』か。懐いな。


今も生徒が足りないから学年ごっちゃでやってる。


「へっ」


まぁ破れた革球買い替えたり、楽譜の紙代くらいにはなったろ。


_____



2日の休暇を終え、俺はアバドンさんとアリッサと共に木こり小屋地下の転送陣に来ていた。


「そういやアバドンさん、休みの間地上でなにしてたんッスか?」


「当然木こりだ。なにも仕事をしてないと不自然だろう? 一月分は片付けてきたのである」


「へぇ」


倒した木をどっかに溜めてる感じ?


「わたくしはちょっと遠くまで『冒険』してましたわ。おほほ」


「「······」」


雄鹿の被害が拡大するばかりだぜ。


とにかく俺達はキラーモール達の拠点にテレポートした。


ブゥゥンとテレポート後、待ち構えていた喧嘩ケムシーノとスタンケムシーノそれからブルワーグも連れ、ソーサラー個体の案内で拠点内を少し歩いてみる。


キラーモール拠点は活気付いていた。しっかり食べてるキラーモール達は活発でオークの姿は見掛けなかったがゴブリンの出入りがあり、ケムシーノやワーグ連れの姿も増えていた。数自体増えてるな。


「マスター様!」


「マスター様ぁっ」


結構声を掛けられるようにもなった。


「お、おお」


少なからず対応に困る。


「鳴かず飛ばすだったから満たされちゃいましたか? マスター君。ほほっ」


「いや『こういう感じの』じゃないんだよ」


これじゃ人気のある町長とか、大きな持ち工房に様子見にきた気前いい商人みたいだ。


「石を投げられるよりはいいのである」


「まぁな」


「皆、水に加えオーク達が抑えていた『岩塩採掘地点』が解放されて一安心しているのです」


安楽な様子の同族達なんかを穏やかに見詰めるソーサラー個体。獣人だからわかり難いが、よく見ると結構年取ってるな。


「塩か」


すぐ尽きるでもなかったが最初に来た時に言ってたのがようやくだ。岩塩採掘スポットもあとで見にいこう、補修や浄化が必要だったりもするだろし。


ざっと見終え、俺達はゴールドスコップの館に向かった。


_____



前室にゴブリンのコマンド個体やシャーマン個体、キラーモールのヘビィナイト個体がいてそこでソーサラー個体と別れ、新設された大きめの協議室に入っていった。


ゴールドスコップ、ビッグヘッド、そして現在オーク達を率いているオークジェネラルもいた。


ブルワーグと上位ケムシーノ達が威嚇するが、アリッサとアバドンさんが宥め大人しくさせる。


ふんっ、と鼻で息を吐くジェネラル個体。攻略時は裏門に配置されていて、足止めに終始するこちらの連合隊に攻めあぐねている内に戦いが終わってしまっている。消化不良なんだろう。


「当代主、戻ったかい」


「お早いお戻りで」


「ああ、オークもこれからはよろしくな?」


「······負けは負けだ。一族揃って『塩漬け』にされたくはない」


こりゃ手強そうだ。苦笑しつつ席に着く。アバドンさんも席に着き、アリッサも子供用らしき上げ底椅子に座った。


ブルワーグは俺の足元に座り、上位ケムシーノ2体はテーブルの上の俺の左右に位置取った。厳重。


「あれからどーなった? 残りの未作業エリアを直す前に一度噂の岩塩採掘地点を見てみたいんだが」


ゴールドスコップはビッグヘッドに目配せした。より口が回るってことだろう。丸投げされた当のビッグヘッドは微妙な顔してたが。


「もちろん結構です。が、その前にマスター殿にこの迷宮における『首魁の死』について話さねばなりません」


「首魁の死?」


ビッグヘッドは中空に魔法陣を造り出しそこから念力で取り出した『錆びた3つの王冠』をテーブルの上に置いた。


それぞれ『オークの顔』『髑髏(どくろ)』『鬼火?』ような装飾が施されている。


「オーク、『スケルトン』、『ウィスプ』を現しております。この迷宮において『死が確定』した時、我ら首魁個体はこの『錆びた王冠』に変化して復活の時を待つ状態となるのです」


なぬっ?


「いや延々生まれ変わる的なことは聞いていたが、『待機過程』があるんだ······」


よく見ると3つの魔の王冠は妖しくうっすらと魔力を湛えていて、鍵の杖はそれに呼応しているようだった。

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