38.「翼の家どこかしらないんだけど…。」
<前回のあらすじを『簡潔に』説明せよ。>
美織「修羅場。」
綺都「いや簡潔にしすぎだろ。」
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「……。」
「お、翼おかえり。」
家に帰って自分の部屋に行くと、何故か実兄がいた。
部屋着用の黒と青のジャージを着ている兄上は俺の勉強机で漫画本を読んでいた。
「兄上、部屋を間違えているのではないのか?」
「いや間違えてはねぇよ。お前を待ってたんだよ翼。」
「俺をだと?」
椅子の背もたれに両腕を置いて俺を見上げている兄上を見て思わず首を傾げた。
さては冷蔵庫裏に隠していた教材が見つかってしまったのだろうか……。
いやそれはないだろう。表情が穏やかだ。
ならば何故なのだろうか。
そばにあったベッドに腰かけて俺は兄上の話を聞くことにした。
「24日、神崎家でクリスマス会をするらしい。紗織の奴に(無理矢理)誘われたんだ。んでなんかそんままパジャマパーティーというものをするらしい。おそらく広瀬家は神崎家に泊まることになるだろう。」
「…父と母は今年も残業か。」
「会社員だから仕方ねぇよ……それに俺ら家事炊事出来ねぇし。」
「それで炊事が出来る紗織ちゃんにすがるとな。」
「お前も来るか? 肉とケーキあるってよ。」
「…メンバーは?」
「今のところ紗織、関口、俺、お前が行くなら翼、くらいじゃねぇかな? まだ未定だが。」
「別にクリスマス会というほどのメンバーでもないではないか。…というか関口とは誰だ?」
「お前覚えてねぇの? ほら小学生の時よく遊んでもらってただろ。中学別だったらあんま記憶ねぇだろうけど。」
「すまない全くといって覚えていない。」
「あら、関口残念がるなぁ。アイツ子供好きだし……。」
そう言って兄上はシャープな眉を八の字にして困ったように笑った。
関口さんには悪いが正直なところ本当に記憶がない。
それにクリスマス会と言う割にメンバーは対して幼なじみと変わらないし。
……ん? 待てよ。
何故『アイツ』の名前が呼ばれなかったんだ?
「兄上。美織は来ないのか?」
「あぁ、美織の奴はその日綺都と後輩の女の子と3人でどっか遊びに行くんだとよ。だから紗織が一人になるから合同クリスマス会するんじゃねぇの?」
「何!? クリスマスデートだと!??」
「いやデートとは一言も言ってねぇよ。」
美織に片思いしている(断定)上杉と上杉の事を恋愛対象として見ていない美織(確定)とおそらく上杉に片思いしている年下の女子が3人でトリプルデートだと!?
そんな人間の修羅場の擬人化のようなもの、最っ高ではないか!!!
「兄上! すまないが俺は参加しない!急用が出来てしまった!!」
「お、そうか。お前もデートなのか?」
「ああ、デートの尾行だ!」
「……ほどほどにしておけよ。…あ、24日家お前一人になるけど大丈夫か?」
「なんの心配もないぞ兄上! 腹が減ったらそちらに飯をたかりに行くからな!!」
「……そうか。」
小さく顔を綻ばせた兄上は俺の頭を優しく叩くと椅子から立ち上がり俺の部屋を出ていった。
クリスマス会とかそれどころではないではないか。
これは面白いことになりそうだ。
すぐさま俺は一回に降りて自宅用電話を手にしてある電話番号をかけた。
プルr…
『はいっ!! 桐ヶ谷でっす!!』
ふっ、ワンコールで出るのは相変わらず変わらないのだな。
「俺だアヅマ。突然ですまないが、貴様の24日のスケジュールを教えてほしい。」
『24日っすか? その日は部活を5時までした後に剣道部の皆さんと焼肉屋に行k……
ガチャン
ほう、通話時間6秒か。
こんなに短く電話する奴は探してもなかなか居ないんじゃないか?
やれ全く困ったことになったわ。
そうだな奴は運動部だったな…例え世間がクリスマスでも部活の予定が変わることはないだろうな。
うーむ別に一人でも良いのだがそれはそれで周囲から(しかもリア充)哀れみの視線を向けられるから躊躇うのだがな……。
入江とかはどうだ?
…いやアイツも運動部だしそもそも電話番号知らないな。
同じクラスの島田とかはどうだろうか。
……待てよアイツ最近ホモ疑惑があったな。そんな奴とクリスマスにしかも夜二人で一緒にいたら俺にも変な誤解が生まれてしまうな。
誰か文化部で独身で付き合いがよくてクリスマスでも一緒にいても違和感がない奴は居ないだろうか。
………………………………。
いやいやまてまて早まるな広瀬翼。
確かに文化部で独身で付き合いがよくてクリスマス一緒にいても違和感がないのは確かだが。
流石にこんな時期にしかも夜に私服で二人でうろついていたら知り合いから危ない誤解を受けるのではないのだろうか。
……ん? 待てよ。
もし仮に上杉達がカップル限定の店に入ったとしても、アイツが居ればそんな所も楽々いけるではないか。
そうだ今は「便利性」が大切なのだ。
いちいちそんな小さなことを気にしていても何も始まらない。
…別に仕方なくだからな。今回は仕方なくだから、条件に合うから付き合ってもらうだけだから。
手に持っていた携帯電話で番号を打って相手が電話に出るのを待った。
奴は4コールくらいしてから気だるそうに電話に出た。
『…どうしたの?』
「突然だが貴様、24日は何か予定はあるか?」
『24日? ケーキ頼むのは25日だから何もないかなぁ? なんかあるの? まさか部活とか??』
「ならば24日、俺の家に来い。結構歩いたりすると思うからヒールは履いて来ない方がいいぞ。」
『え、待って待って。状況が追い付かないんだけど。』
「時間はまた後日連絡する。あと金は多目に持ってこい。切るぞじゃあな貴様に拒否権はないからな。」
『へ? ちょっ 』ブツッ
……よし、これで役者は揃ったぞ。
待っていろよ! 上杉よ!!




