27.封印、解除---!!
<前回のあらすじを30文字以内で説明せよ。>
美織「おい誰かここに相談窓口提供しろよ…。」
翼 「美織さん、アタシたちがいるわっ!」
梓馬「そーよ美織さん!元気だしてっ!翼子と梓子がいるわ!」
美織 (り、両手に鼻クソ……。)
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「ハアァァ……」
放課後の掃除時間の中科学室担当の綺都は花瓶の中身を代えながら魂が抜けていくようにため息を吐いた。
あれから美織と仲違いをして約半日が経った。
移動教室の際に目があったりしたが自分から切り離したせいか綺都が話しかけようとすると彼女は聞こえないふりをする。
今冷静になってみれば完全に自分が悪かった。
自分の不満を我慢できずに美織にぶつけてしまった己のわがままの代償なのだろう。
「ありゃ? 綺都くん、まだ掃除してるの?」
背後から声がした。
振り返ってみるとと科学室の入り口に命子が立っていた。
鞄を片手にしている彼女の姿を見てこれから部活動なのだろうと綺都は察した。
「お花、好きなの?」
「…ハアァアァ……。」
「ど、どうしたのそんなため息ついて…何かあったの?」
「……ハアァァァァァァァ!」
「うわぁ。私でよかったら相談に乗るよ?」
「み"っぢゃん!!!」
「うんうん。」
普段なら涼しく断るが今が今の状況となっては、命子の気遣う優しさに頼るしかなかった。
「それで、どうしたの?」
「今日神崎と喧嘩して仲直り出来てない。…避けられてる。」
「ありゃー。」
命子は困ったように苦笑いをしながら人差し指をこめかみに当てた。
「喧嘩って言っても、俺が一方的に突っかかってしまっただけなんだけど……。」
「原因は?」
「神崎の奴、最近悩みごとがあったらしくてそれを広瀬のお兄さんにしか頼らなかったんだ。…少しは俺にも頼ってくれてもいいと思って不満をぶつけちゃったんだ。」
「悩みごと? どんな?」
「それは……」
命子に説明しようとした時ふいにあのときの美織の言葉が綺都の脳裏に流れた。
『んでまぁ、ちょっと今命子ちゃんと揉めててさー……』
そうだ、悩みの種はこの目の前にいる彼女だ。そう簡単に言っていいことではない気がする。
綺都は咄嗟に口をおさえながら命子の顔を見た。
「ごめん…みっちゃんには言えない。」
「…え?」
綺都の言葉を聞いた命子は傷ついたように眉を八の字にして目を見開いた。
まずい、と思った綺都は咄嗟に悲しそうにしている彼女をどうにかしようと別の言葉を口にした。
「ごめん、言えないというか忘れたんだ。気にしないで。」
「……ありがとう。でもそんな気遣いしなくても、大丈夫だよ綺都くん。」
「っ」
「あはは、なんでわかったの!って顔してる。ホントに君ってわかりやすいなぁ。」
「ごめん、みっちゃん。俺嘘つくの昔から苦手なんだ。」
「良いことじゃん! ……そっか。美織ちゃん、私のせいで悩んでるんだね……。」
そう言い命子はうつむいて自分の指で遊び始める。
科学室の中に静寂な重い空気が流れる。
しばらくして指遊びをやめた命子は再び顔をあげて重苦しい空気を打ち消すかのように明るい声で言った。
「綺都くん、大丈夫だよ私そーいうの慣れてるから! だから教えてほしいの。美織ちゃんのこと。」
言えない、と言おうとした綺都だったが目の前に立つ命子の真っ直ぐなその眼差しに根負けしてしまった。
「…みっちゃんと神崎は同じ中学校出身で、普通の友達以上に仲が良いって聞いた。」
「……。」
「でも前いた中学校で色々あって二人とも今は気まずい状態って…。それで、つい最近みっちゃんがウチに転校してきてもしかしたら自分が目的で同じ学校に来たって考えてるみたい。」
「美織ちゃん……。」
「みっちゃん。どうして学校だけ転校したの? この学校に来たのは、本当に神崎が目的なのか?」
「……。」
命子は黙りこむ。
口を開いては何かを言おうとするが躊躇って口を閉じての繰り返しをしている。
綺都は命子から出てくる言葉を唾を飲み込んで待った。
すると彼女は口を開かずに己の眼帯の紐に手をかけて、眼帯を外して右側の前髪をかきあげた。
「!」
綺都は息を飲んだ。
彼女の瞳は、目をそらしたくなるほど惨いものだった。
目の下の傷はザクロのように避けて赤黒く変色し、目蓋の所もミミズ腫れのような線が深く彫り込まれていた。
眼球も左目と比べると白みを帯びて光が入っていなく、白眼も少しばかり濁っていた。
命子は自虐的に薄く笑って見せた。
「…やっぱり、気持ち悪いよね。可愛くないよね。」
「お前…その傷……。」
綺都の頭の中に美織の言葉がよみがえる。
『んでまぁ、ちょっと今命子ちゃんと揉めててさー……』
困ったかのように笑いながら言う彼女の姿がよみがえる。
(神崎……お前…!)
「美織ちゃんが私に対して不安に思ってるのはこれのせいなんじゃないかな……。そりゃあ、不安になるよね。怖くなるよね。」
命子は生きていない己の右目を悲しそうに、そしてどこか愛しそうに優しく撫でてこう言った。
「だってこの傷つけたの、美織ちゃんだから。」




