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26.おそらく原因は7割ヤキモチ

<前回のあらすじを30文字以内で説明せよ。>


 美織「ちがう!誤解だ綺子!!礼子とは何もない!」


 翼 「ちょっとおお美織!誰よ綺子と礼子ってぇえ!」


 美織「はっっ!翼子!違うんだこれはっ!」


 梓馬「綺子と礼子と翼子って誰よあなたああああ!!」


 美織「ちがう聞いてくれ一番はお前だ梓子ーー!」


 綺子「お前浮気しすぎだろ…っておいこら名前表示!!」

 __________________________


「上杉…なんでいんの?」


「あ、えっと…授業終わったから……。」



 頬をポリポリとかきながら綺都がそう言うと美織は「え、まじ?!」と言って校舎についている時計を見た。

 美織は礼の腕のなかからするりと華麗に抜けて綺都の元へと駆け寄ってジャージを受け取った。




「ったく…せっかく礼兄ちゃんに会うために早く終わらせて来たのに、時間たつのはえーなぁ!!」




 口を尖らせながら長袖ジャージを着る美織。

 その言葉を聞いて綺都は何故だか急に胸が苦しくなった。

 それに対して礼は両腕をくんでただ美織を見つめていた。




「じゃあね、礼兄ちゃん。ありがと。」



「おう。」



「上杉もわざわざありがと。行こーぜ!」




 そう言って急いで校門を出ていく美織を見て綺都もつられるように出ていこうとしたとき。



「綺都。」



 ふいに礼から手首を掴まれて呼び止められた。

 その声にはいつもとは違う何かを訴えるような強い雰囲気が込められているように感じた。

 綺都が礼の方を振り返ると彼は優しい笑みを浮かべながらポンと綺都の頭に手を置いてこう言った。




「あいつのこと、頼んだよ。ああ見えても意外と泣き虫なところがあるからさ。」




 礼は優しい声音でそう言うと綺都の手首から手を離して手を振った。

 あまりの出来事でよくわからなかったが綺都はとりあえず一礼をして校門の外へと駆け出した。

 外へ出ると学校の表札のすぐそばで美織が待っていた。




「…先行ってなかったんだな。」



「いやいや、迎え来てくれた人よりも先に帰るとか外道がすることだからwww」



「……広瀬さんとなに話してた?」



「んー、まぁ色々とね。」




 そう質問すると美織は一瞬戸惑ったように目をそらして誤魔化すように笑いながら言った。

 綺都はあまり聞かないほうがいいことなのだろうかと感じ「そうなんだ。」と笑った。

 すると美織が綺都の顔を覗き込んだ。



「気になる?」



「まあ、多少は。でも話せないことなら言わなくていいよ。」



「話せなくはないことだけどね。」



「……なら、聞きたい。」




 綺都が控えめにそう言うと美織は溜まっていた息をいっきに吐き出すかのように話始めた。




「私ね、実は2年生になってから浅流(こっち)来たんだ。」



「えっ。」



 綺都のリアクションに動じずに美織は続ける。




「前いた中学校でちょっと騒ぎがあって、一年の冬で中退して2年生になってからこっちに転校してきたんだ。……命子ちゃんとも一緒の中学校だったんだ。」



「中退……」



「んでまぁ、ちょっと今命子ちゃんと揉めててさー……」



「神崎とみっちゃんはどーいう関係だったの?」

 


「親友に近いほど仲良しな友達だ(・)っ(・)た(・)よ(・)。…今も友達と思ってるけどね。命子ちゃん、家は引っ越さずに学校だけ転校してるから、もしかしたら私が目的なのかなーって、そう考えると少し……不安になったんだ。」



そう言って美織はパッと口元を押さえた。




「答えられないなら答えなくていい。…神崎、前の中学校で何があったんだ。」




 拳を握りしめて綺都が質問したが、美織は押し黙り指でバッテンを作って口元に当てた。

 その時の微笑んでいた彼女の顔が少し怖く感じた。




「そっか…ごめん。」



「なんで謝るのさww」



「だから、広瀬さんのところに行ったのか。不安だったから、幼なじみで年上の頼りになれる人にすがり付いたのか。」



「…うん。礼兄ちゃんて無愛想なとこあるけど昔から優しいから落ち着くんだ。だから相談もしやすいし。不安なときとか悲しい時とか抱き締められると落ち着くんだよねー。」



「…………か」



「え? なんて上杉?」



「親友の俺は頼りにならないのか。」




 綺都は美織の華奢な腕を強く掴んだ。

 強い力で掴まれた美織は痛みに眉をひそめた。

 そんな彼女の様子も気にせずに綺都は続ける。




「俺に人間性無いのはわかってる。木偶人形で何も行動起こせないのはわかってる……だけど、だけどさ…木偶人形でも友達の悩みくらいは聞いてあげられるよ!? 豆粒みたいなチンケな役割でもっ、一緒に悩んであげられるよ!!」



「……」



「まだ出会って1ヶ月半くらいしか経ってないけど、……友達らしいことさせろよ。頼れよ…………何でも幼なじみに頼れば解決なのかよ。」



「…違う、上杉。」



「そういえば、親友になったのも俺が死のうとしてたからだったよな。あれは神崎の優しさだったんだよな。……ただの飾りみたいなものだったんだよな。気づかないでごめん。一人で浮かれて、親友気取って、ごめん。」



「上杉!!!」




 美織は壊れた精密機械のようになってしまった綺都の両肩を掴んで自分のほうへと顔を向かせた。

 そんな彼女の手を綺都は勢い良く振り払って背を向けた。




「ごめん、今日は…一人にさせてほしい。」




 聞こえないかのような声で綺都はそう言って美織を背に校舎へ走り出した。

 美織が呼び止めても、綺都が足を止めることはなかった。



『あいつのこと、頼んだよ。ああ見えても意外と泣き虫なところがあるからさ。』



 先ほど呼び止められてまで言われた礼の言葉。

 綺都は礼にごめんなさい、と心の中で謝り校舎へと入っていった。

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