14.馬鹿+天才=天災
<前回のあらすじを30文字以内で説明せよ>
翼 「何故か急に始まりだしたラブコメ。」
綺都「あの後姉さんとソファでそのまま寝てしまいました。」
翼 「万死に値する。」
美織「は?くそが死ねモヤシ。」
綺都「いやなんでだよ。」
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「…なんで生徒指導室に呼ばれたかわかるなお前ら。」
「はい。」
「うぃっす!!」
「尻の穴にビー玉入ってとれなくなったんすか先生。」
「それを生徒に手伝えと…なんと嫌らしい。」
「ちがーーーーーーーうっ!!!!!」
皆さんこんにちは上杉綺都です。
僕は只今授業中とも関わらず呼び出しをくらいました。
唯一この間と異なるのは僕以外にもギャラリーがいるということです。
メンバーは右から神崎美織、広瀬翼、桐ヶ谷梓馬、そしてこの僕上杉綺都というなんとも奇抜なメンバーです。
はーい状況説明終わり。
僕は黙って反省したいと思っています。かしこ。
生徒指導の志藤先生は唾を飛ばしながら自分の教員机を勢いよくグーで叩いた。
その反動で注がれていたコーヒーが少し溢れるがそんなもの気にしない、ただひたすらに目の前に並んでいる綺都たちを睨み付ける。
対する綺都たちはそんな彼の怒号にも動じずに黙ってこぼれたコーヒーに視線を注いでいる。
「昨日の放課後っ!何があったんだ!!!どうやったらあんな鉄球が机にめり込むんだ!?何をしたら壁にあんな窪みができるんだ!?というかなんだその奇抜なメンバーは!!神崎は常習犯だからまぁ納得するがなんで上杉と桐ヶ谷がいるんだ!?」
志藤の言葉に美織と翼の二人はヒクッと目尻を動かす。
「へいへいへいへい志藤先生なんで私は納得なんですかおかしいでしょ普通珍しいでしょうがぁぁあ!!」
「どの口がほざくかお前は!!常習犯だろうが!!」
「先生よ何故俺の名前は入っていないのですか明らかに成績からして俺も優等生枠に入るのではないでしょうか。」
「お前は成績だけだ科学部の薬品被害でどれだけの生徒や職員から苦情がくると思ってんだ!!」
「何を!俺たち科学部は人類の進歩の為に毎日成長している!!それの何が悪いのだ第一煩いのだそちらも臭いだの爆発しすぎだの闇医者だの!!ちゃんと毒薬以外にも医療薬も作っているだろうが屁理屈など聞きあきたわたわけ者がぁ!!」
「お前の言っていることが今まさに屁理屈だわ!!」
「そんな言葉俺の頭の辞書には載っていない!!」
「随分と都合のいい辞書だな!やっぱりあの教室やった犯人お前らに間違いないようだな!!」
「あー決めつけだ決めつけだ!!ってかそんなこと言う先生も怪しいでしょう!顔がいいメンバーだけ集めて!!文化系とスポーツ系の両方のレパートリーイケメンと学校1の美少年と美少女そろえて!!PTAが黙っちゃいねぇぜ!??」
「お前ら二人が可憐なのは顔だけだ!!!この脳内万年お花畑どもがぁ!!」
「先生ひとつ気になることが……」
「なんだ科学バカ!!」
「先生俺は今朝から相手の体調がわかる薬を飲んできました。先生、あなたのお尻にはビー玉並の大きさの痔があります。」
「教師の尻を見るな!!というかその薬もお前作ったのか!?馬鹿なのか天才なのかハッキリしろ!!」
「ほほう道理で座布団しいてるわけだ。ある意味ビー玉が詰まってたんですね先生。」
「これは取らざるを得ないぞ美織。」
「ほらほら早く尻だしなビー玉取ってあげるから。」
「全く手のかかる先生殿だ。」
「やめろ!やめろお前ら!羽交い締めするな!!」
あぁ、このふたりがそろうと恐ろしい。
目の前で繰り広げられている一昔前のコントのような光景を綺都と梓馬は馬鹿を見るような目でただ突っ立って見ていた。
最近の職員は昔と比べて権力は弱くなったものだとよく聞くものだがこれは流石にどうだろうか。
ふたまわりくらい年下の少年少女にもてあそばれているという事実にプライドは崩れないのだろうか。
この時間がとても無駄に感じる。
綺都は死んだ魚のような生力を感じさせない目を天井に向ける。
教室に帰りたい、帰って次の科目の予習をしておきたい。
綺都は「あぁ…」と嘆きの感情を声に出した。
「…上杉さん、これ自分達帰ってもバレない気がしますよ。」
隣で梓馬が苦笑いしながら綺都に耳打ちした。
こうやって直立して並んでみると梓馬のほうがほんの少しだけ背丈が高い。
そんな彼に綺都は「だよな、」と同感して二人で姿勢を低くしてドアの方へと歩幅を進める。
気になる三人はまだ自分たちに意識を向けていない様だったので安易に外に出ることが出来た。
梓馬が静かに生徒指導室の扉を占めると二人はフゥ、と安堵の息をついた。
生徒指導室からは三人の騒がしい声(主に志藤の悲鳴)が聞こえてくる……。
「教室に帰るっすか?上杉さん。」
梓馬の問いに綺都はううん、と考える。
教室に帰るまでは職員室もあるし他の学年の教室の前を通らなければならない。
おそらく自分たちの事実は職員の間では知れ渡っているだろうから教室に帰るのは至難の業だ。
とはいえそのまま授業が終わるまで廊下でじっとしておくというのもこの肌寒い季節になってからは流石に厳しい。
どうしたものかと二人で悩んでいると突然生徒指導室のドアが勢いよくバン!と開いた。
肩をびくりとあげながら何事かとドアの方に視線を注ぐとそこには肩で息をしている美織と翼がいた。
「何っ、貴様ら…先に出ているのだ……。」
「それより先生はどうしたんだよ。」
「その話は後だっ!とりあえず逃げるぞ!出来る限り人気のないところが最適だ!!」
「私良いところ知ってるぜ翼ぁ!皆こっちだ!!」
「マジでお前ら何したんだよ!?」
「大事件の臭いがプンプンするっすねぇえ!!」
そう言って綺都たち一行は窓から外へ出る。
どこかで理科の授業があっているのか、硫黄らしきの薬品香りがつんと鼻に響いた。
美織を先頭に伸びっぱなしの背高草を掻き分けてズンズンと前へ進んでいく。
しばらく背高草の中を歩いていくと生徒指導室のある東棟の反対側の西棟が見えてきた。
少しだけ他の棟とは古い西棟は主に倉庫や事務室などあるところで、普段あまり人は立ち入らない。
なるほどな、と思いながらついていくと何かの部屋の裏口なのだろうか、小汚い扉の前で美織は立ち止まった。
美織は小さくコンコン、と2回目ノックすると扉の奥からガチャリと誰かが鍵を開ける音がした。
(誰かいる……?)
「ここなら匿ってくれるはず。」
美織はニッ、と歯を見せて笑うとそのまま無遠慮に部屋の中へと入っていった。
美織に続いて連なって入り、一番最後に入った綺都はパタンと扉を閉めて鍵をかけた。
部屋に入りまず感じたのが落ち着きを感じさせる暖房の温もり、そして消毒などの医療薬品の匂い。
まさかと思いながら綺都は部屋を見渡した。
部屋を見渡した際に、美織と仲睦まじそうに話している人影が視界に入った。
そこにいたのは厚く塗られた化粧に薄桃色の可愛らしいセーターに身を包みその上から白衣を羽織った女性というには少々無理があるその男……
保険教諭の釜崎先生が立っていた。
綺都と翼と梓馬の三人は目を見開きながら彼と話している美織に向かって叫んだ。
「「「保健室かよっ!!!!!」」」




