10.※少年漫画ではありません
<前回のあらすじを30文字以内で説明せよ>
翼「打倒イケメン!」
アヅマ「ぱねぇ!一生ついていくっす翼さん!!」
翼「一生はやめてくれ。」
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日が落ちて山脈の尾根が茜色に染まる頃、綺都はひとり寂しくポツンと教室の席に座っていた。
六時間目の体育が終わり、教室から帰ってきたときに自分の机に置き手紙があった。
『きょうのほーかご5ジまできょうひつにいてね』
漢字を全く使っていない小学生が書いたかのようなその置き手紙の主は一発でわかった。
本当に彼女のこの先の未来が心配になる。
綺都はイタズラのような置き手紙を読んでははっ、と苦笑いをした。
しばらく前の自分だったら大きくため息をついていただろう。
しかし今になってはもう呆れ笑いしか出なくなった。
そして今現在にいたる。
待ち呆けた綺都は自分の腕時計を確認する。
只今の時刻は16時59分、あと一分で5時になる。
そろそろ帰る用意をしておかないとな、と思った綺都は教室の後方の自分のロッカーへ足を運んだ。
席を立ち1,2歩歩いたその時。
ガターーーーーーーーーーーーン!!!!!!
机が勢いよく倒れる音がした。
何事かと綺都がその場を振り返ればそこには先ほど座っていた自分の机と椅子が乱暴に放り出されていた。
机の上には大きな鉄球らしきものがヒビを入れてめり込んでいて、最早それは学校の風景にふさわしくない物と化していた。
突然の出来事に綺都は目を丸くする。
「な…!?」
何が起こった。
そう口にしようとしたと同時に、教室の前方のドアが勢いよく開いた。
綺都がドアを驚愕の眼差しで見てみると、そこには竹刀を片手に紺色の道着を身に纏った少年が立っていた。
少年は綺都と目があったと同時に己の双眼を溢れんばかりにカッ!と開いて、
「上杉少年!貴殿の首を貰いに来たっっ!!!」
鼓膜が破れそうになるほどの大声を出して宣戦布告をした少年は竹刀を構えて綺都の方へと走り出した。
対する綺都は丸腰の為かなりの不利状況だ。
(待て!!一体何がどうなっている!?)
たとえ秀才な綺都でも流石に一瞬で分析出来るほどの優れた能力を持っていない。
綺都は自分の頭上に振り下ろされた竹刀を避けた。
体制がふらつくがなんとか右足で持ちこたえて道着の少年を睨み付ける。
対する道着の少年は驚いたのか少しだけ切れ長の目を見開いて、ニヤリと不適な笑みを綺都に向けた。
「部長ですら防げなかった自分の速攻を避けるとは…翼さんがおっしゃった通りだ!流石天才は違うっすね!!」
「翼さん?」
どういうことだ。他にグルがいるということか?
大体この少年、道着に竹刀ということはおそらく剣道部だろう。
放課後のこの時間帯はたいていの運動部はまだ部活動をしている。
それなのに何故部活動生である彼はこんな時間帯に自分に奇襲をしている?
誰かがこの少年を動かしたのだろうか。
そうやって考えてる暇もなく少年は襲ってくる。
武器を何も持っていない丸腰の綺都はただひたすらに襲ってくる竹刀を避け続ける。
「避けてばかりとは!漢の名がすたりますよ!」
「丸腰相手に竹刀で不意討ちする辺り漢じゃないぞ。」
「うっ!気にしていたことをっっ!!」
やはりだ。
こいつは間違いなく誰かに買収されている。
この少年を人質にとれば黒幕はおそらく出てくるだろう。
「悪く思うな。剣道部。」
振りかざし続ける竹刀を素手で掴んだ綺都はその場で地面を力強く蹴り上げてそのまま少年の乳様突起に斧を斜めから振りかざすような一撃を喰らわせた。
「がっ……!!」
綺麗に入った蹴りを喰らった少年は呻き声を上げてその場に倒れる。
やり過ぎた、と思った綺都はすぐさま少年の意識を確認する。
首元の脈はトクン、トクンと動いているためおそらく気絶しているだけだ。
ホッと安心した綺都はその場でしゃがみこんで一息をついた。
小学生の時に空手黒帯をとっておいて良かったとこの状況になって初めて思った。
(しかし神崎もこないし、いきなり変な奴が奇襲を仕掛けてくるし……何なんだ一体。翼ってやつが原因か?)
分析していた綺都の視界の端にキラリと光るものが見えた。
(……?)
目で追ってみるとそれは少年の手からの物だった。
少年の掌の上には液体が入った小さなボトルがある。
どうやらそのボトルの中の液体が夕日の光を浴びてキラキラ光っていた様だ。
そのボトルを綺都は不思議に思って手に取った。
「……なんだこれ。」
ボトルの中に入っている液体は、青緑色で何か砂のようなものが混ざっていてザラザラしている。
なんとも食欲のうせる色だしドロッとして気持ちが悪い。
不快に思った綺都が蓋を開けて教室の窓からその気持ち悪い液体を捨てようとしたその途端。
「おい。それを捨てるんじゃない。」
背後から聞こえた声。
振り返るとそこには薄緑色のパーカーを着た細身の少年がいた。
少年は腕を組んで綺都を睨み付けている。
そしてそんな少年の隣に頭1つ分小さい人影があった。
綺都はその人影を見て、双眼を見開いた。
「神崎……」
名前を呼ばれた美織は、クスッと罰の悪そうに笑った。




