第八十四話:爆砕
再生する魔人を前に、騎士団は限界だった。
いくら斬っても、いくら砕いても、傷は瞬く間に塞がっていく。
そこへ降り立ったのは、三人の少女。
「高濃度魔力攻撃でないと防御を破れない!」
騎士団長が剣柄を握りしめた。
剣身に凝縮された青い魔力光は薄れて透明に近い。
せいぜいあと二発の爆破剣が限界だ。
だが退けない。
背後は住宅区だ。
彼は歯を食いしばって魔人へ突っ込んだ。
青い剣光と灰色の巨腕が激突し、衝撃波が通りの両側のガラスを砕いた。
魔人の肩に、胸元まで達するほどの傷が裂けた。
筋繊維が生き物のように狂ったように蠢き、瞬く間に再び接合した。
傷をつけるよりも早く、肉体が再生していくのだ。
副官が側面へ回り込もうとして、一掌で叩き飛ばされた。
二人の若い騎士が前に出たが、一撃で何度も後退させられた。
「普通の武器が全く効かない!」
「とにかく引き延ばせ!」
団長が歯の隙間からこの三文字を絞り出した。
剣を握る手に青筋が浮き上がった。
魔人の羊角が月光の下で暗い角質の光沢を放ち、一歩ごとに石畳の路面に蜘蛛の巣状の亀裂を踏み出した。
それから、止まった。
まるで何かを察知したかのように。
魔人がゆっくりと頭を上げた。
上空。
フェンリアは落下する風圧の中で喉を張り上げて叫んだ。
「姐さん、あれっスか? あんなの、本当に三人がかりで倒す必要あるっスか?」
ルミナは振り返らなかった。
風音が声を断片的に切り裂いたが、まるで茶会での雑談のように気楽だった。
「書記官は自己再生能力を踏まえて、一度で片をつけろと仰ったんだろう」
「なるほど!」
反対側では、キラが黙って降下していた。
前髪が風に掻き上げられて乱れた。
地上の魔人を一瞬見下ろし、すぐに確認完了とでも言うように、平然と視線を逸らした。
「なら、再生の隙も与えず消滅させるまで」
ルミナが微かに頷いた。
一つの華奢な影が空中から真っ直ぐ落下した。
衣の破空音が鋭く短い。
着地は無音。
緑色の肩までかかる短髪が夜風に軽く揺れ、エルフの尖った耳が髪の隙間から覗き、耳の先端がわずかに透けていた。
黒めの短いコートの裾がまだ空中で漂っていたが、彼女はすでに着地の瞬間に顔を上げていた。
淡い緑の瞳が氷水に浸したエメラルドのように冷たかった。
「無駄よ」
彼女が言った。
騎士団長が振り返り、正体を問おうと口を開きかけた。
ルミナは質問する時間を与えなかった。
「再生する単位まで残さず破壊する。できないのなら下がれ。邪魔だ」
やや嘲笑を含んだ口調で言った。
「そんなことしても無駄よ」
言葉が終わらぬうちに、団長がまだ怒る間もなく、頭上から突如二つの音爆が響いた。
二つの影が左右から彼女の両脇に着地した。
着地音はルミナより重く、フェンリアは直接叩きつけるように落ちてきた。
特撮ヒーローさながらのド派手な着地を決め、膝を深く曲げて衝撃を逃がし、瓦礫を舞い上げた。
キラが反対側に着地した。
まるでネギが地面に突き刺さったかのように、直立不動で立っていた。
深い青色の短髪が気流に持ち上げられてまた落ち、前髪が半分の眉と目を覆い、覗く片目に表情はなかった。
彼女は横を向いてルミナと視線を交わし、ルミナが微かに頷いた。
三人が同時に手を上げた。
号令も、手信号も、目に見える意思疎通も何もない。
ただ三人が同じ瞬間に全く同じ動作をした。
右腕を上げ、手のひらを魔人へ向け、左手で右手首を握った。
魔力が三人の間を流れ、まるで三本の支流が一つの川に注ぎ込むように。
三重の光流が絡み合い、三人の陣形の前方で一点に凝縮し、そして——
光束が炸裂した。
半径数尺の光柱が三人の眼前から激射し、瞬時に魔人の姿を呑み込んだ。
それは複合魔法の集束解放で、三人の力が重なり、その威力は加算ではない、「乗算」されるのだ。
光柱が魔人の体を貫通した後も止まらず、勢いを保ったまま斜めに夜空へ突き刺さり、雲の層を貫き、都市の上空に巨大な白銀の光芒を走らせた。
王都全体がこの光柱を見ることができた。
西側の貧民街から東側の貴族街まで、北門の城壁から南門の宿場まで、まだ眠っていない全ての人がこの瞬間に頭を上げ、まるで空を引き裂こうとするかのような光束を見上げた。
魔人はもう存在しなかった。
物理的に完全に抹消された。
光柱が触れた部分が直接目に見えない粒子に分解され、灰すら残さなかった。
地面には滑らかな弧状の切断面だけが残り、石畳も土も、全てが整然と一層削り取られていた。
騎士団長がその場に立ったまま、剣を握る手がまだ震えていた。
彼はエルフを見たことがある。
何代前か分からないほど昔の、勇者パーティーに所属していたあの長命種のエルフも見たことがある。
王都のエルフは少ないが、皆無ではない。
だがこんな目で人を見るエルフは見たことがなかった。
自分と魔人を同じカテゴリーの厄介事として扱い、ついでに一緒に片づけてやるかという目だった。
あのエルフが自分を正面から見たかどうかすら定かでない。
騎士たちがすでに集まってきて、こっそり団長にどの冒険者チームなのか、どのランクなのかと尋ねた。
団長は答えなかった。
三つの影が屋根の上で消えるのを見つめ、頭の中に一つの考えだけが過ぎった。
彼女たちが冒険者であることを祈る。
エステラが屋根から飛び降りて団長のいる通りへ向かおうとしたとき、ちょうど光束が天を衝く最後の場面を見た。
彼女の足取りが一瞬止まった。
片足が軒先の端を踏み、数粒の瓦が靴底から転げ落ちた。
(強力な連携技……)
これは普通の冒険者が放てる攻撃ではない。
複合魔法は何度も見たことがある。
冒険者公会にも連携技を専門に訓練する小隊がある。
だが三人の魔力をここまで融合させ、一切の損失も、魔力の干渉も反発も一切ないということは、この三人が互いを知り尽くしているだけでなく、常軌を逸した連携度を持っているということだ。
彼女はこの光束の威力を素早く評価した。
三人とも五十級程度の実力。
一人ずつならちょっと本気を出せば済む。
だが三人合わせれば——話は別だ。
一体誰なのか。
彼女はぼんやりと何年も前、公会の資料室で偶然見つけた古い任務報告書を思い出した。
三人小隊。
報告書には名前が書かれていなかった。
ただ彼女たちは「魔法少女」と呼ばれていたとだけ。
無名のまま、多くの金級から山銅級の依頼を達成していた。
通りの反対側で、三つの影が光柱が消えた後の煙塵の中から歩み出た。
一人のエルフ、一人の亜人、一人の人間の少女。
中央を歩くエルフが横を向き、淡い緑の瞳が夜色の中で百メートル離れたエステラの視線と正対した。
礼もない、自己紹介もない、挨拶もない。
ただ口が動くのが見えた。
「遅かったわね」
それから三人が同時に身を翻し、大跳躍で通りの右側の屋根へ上った。
瓦が靴底に踏まれて何度か短く乾いた音を立て、三つの影が月光の下で一瞬だけ留まり、屋根の稜線を越えて消えた。
エステラだけが、唖然としたまま夜風に吹かれていた。
エステラがはっと我に返り、すぐに屋根へ跳び上がり、彼女たちが消えた方向を見つめた。
二秒。
たった二秒しか躊躇しなかった。
追う——彼女の速度なら、五つの街区以内で屋根の上のどんな目標でも追いつける。
だが彼女たちは誰なのか。
なぜセラフィーナが誘拐された後に突然現れたのか。
なぜまるで自分を待っていたかのようだったのか。
騎士団はまだ下にいる。
魔人の脅威は解除されたが、負傷者を送り、現場を封鎖し、この突然湧いて出た光束が引き起こした面倒を誰かが片づけなければならない。
そしてもっと重要なのは——
彼女は胸のポケットの紙片に触れた。
第一学院。地下。
セラちゃんはまだ待っている。
さすがの彼女も、今夜のこの錯綜した局面に混乱した。
誰が敵で誰が味方か、もう分からない。
「ちっ」
彼女は屋根から地上へ降りた。
まず騎士団と連携し、それから真っ直ぐ第一学院へ向かうことに決めた。
【第八十四話・終】
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