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第八十二話:戦闘、爽快

「我こそは、聖剣の魔女」


名乗りとともに、地下走廊の空気が塗り替わる。

走廊の奥で、カルガスは自分の専用武器を装着した。ナックルダスターの最後のベルトをきつく締める。


金属が拳全体を覆い、逆棘が火の光の下で冷たく硬い銀光を放っていた。


十指を動かすと、関節がバキバキと音を立てた。


ナックルダスターは外付けの巨拳のようで、砂鍋ほどの大きさがあった。


魔女は十歩離れた場所に立ったまま動かず、自身のスカートの裾を見つめていた。先ほど反転して着地した際、舞い上がった埃が裾の縁に付着していたのだ。


指先でほとんど見えないその数粒を軽く弾き落とし、それから改めて顔を上げ、腰に掛けた西洋剣を抜いた。


カルガスの凶悪な重型ナックルダスターと比べると、この剣は貴族のサロンの壁に掛けられた装飾品のように見えた。


カルガスがニヤリと笑った。


さっきの治癒術は異常に強かった……だが、そういう奴ほど正面の殴り合いは苦手だ。


好都合!


「そうこなくっちゃな」


彼は両拳を胸の前で打ち合わせた。


金属がぶつかった火花が石板の床に散った。


「てめえが受けて立たないんじゃねえかと心配したぜ。どこの何者か知らねえが、治癒系は後ろで回復してりゃいいんだよ。前に出てきたからには、てめえを剣ごと叩き潰しても文句は言わせねえぞ!」


彼の足元の石板が音を立てて砕けた。


魔力が体内から噴き出し、最も原始的で暴力的な解放——深紅の光炎が肩と肘から噴射され、空気中に鋸歯状の軌跡を引いた。


セラフィーナは驚いた。


この男は絶対に普通の秘銀級ではない。


騎士団長やオズワルドより強いかもしれない。


山銅級まで一枚の紙一重だ。


「現役の騎士団長だって」


彼は右拳を上げた。


ナックルダスターの上に深紅の魔力光が肉眼で見える実体として凝縮されていた。


「本気で殴り合えば俺様の敵じゃねえ。俺様はデスクワークがクソ苦手な上に、普段のやり方が過激すぎて上がうるせェだけだ。残念だが——てめえの顔、結構イケてるな。後で俺様の手加減が足りなくても恨むなよ!」


最後の一語が地に落ちる前に、彼の全身が深紅の残像と化していた。


魔力が足元で炸裂し、体を通常の加速度を遥かに超える方式で前方へ推進させた。


右拳を引き絞り、ナックルダスターの逆棘が空気を破って鋭い咆哮を発した。


この一撃は秘銀級以下必殺と称され、誰に当たっても鎧を貫通し、骨を粉砕し、内臓を衝撃でミンチに変えるのに十分な威力だった。


魔女が一歩後退した。


回避するためではなかった。


動作の幅は極めて小さく、足先が地面を軽く点いただけで、体は見えない糸に牽引されるように後ろへ半歩滑った。


スカートの裾すら翻らなかった。


彼女は首を傾げて地面を一瞥した。


さっきカルガスが踏んだ位置に小さな水溜りがある。


濁った泥水が壁から滲み出た湿気と混ざっていて、踏めば跳ね上がる。


もしさっき受け止めていたら、スカートに泥水が跳ねていたところだ。せっかくウリちゃんが。


それはウリちゃんが買ってくれたものなのに!


カルガスがニヤリと笑い、地面を蹴って追いかけた。


やっぱり受けられず、躱した。


それから彼女は西洋剣を持ち上げた。


動作は速くない。


一つ一つの角度が明瞭に識別でき、手首が内旋し、剣先が銀色の弧を描き、体の前に構えられた。


カルガスの稲妻のような狂暴な突進と比べると、魔女の剣技は別の時間の流れの中にいるかのようだった。


ゆったりとして、一片の殺気も帯びていない。


カルガスの右拳が剣身に叩きつけられた。


予想された、剣ごと肉塊にされる凄惨な結末は訪れなかった。


深紅の魔力光が首を踏まれた獣のように、剣身に接触した瞬間激しく震え、それから崩壊し始めた。


天地を揺るがす衝突音もなく、魔力が互いに噛み合う爆鳴もなく、極めて軽い金属の響きだけがあった。


カルガスの瞳孔が収縮した。


この一撃は七割の力を使った。


剣身に当たったが、山脈に当たったかのようだった。


彼はその感覚を頭から振り払い、三連撃を繰り出した。


一発ごとに重く、深紅の魔力光が走廊で次々と花火を炸裂させた。


魔女の姿は拳影の間を縫い、後退し、体を傾け、頭を逸らす。


全て小幅な動作だが、一つも無駄がない。


彼女の剣は防御しない。


ただ時々剣身で軽く彼の手首を弾き、出拳の方向を変えるだけだ。


天地を砕く重拳の全てが彼女の衣の端や髪の毛を掠めて通り過ぎ、壁に叩きつけられ、砕けた石屑が雨粒のように飛び散った。


だが石屑も魔女に一度も当たらない。


セラフィーナは壁の根元に座っていた。


呼吸はすでに正常に戻っていた。


緑光が体内を巡った温かい感触がまだ血管に残っていた。


肋骨は痛まず、腹部は重くなく、手足も再び言うことを聞いた。


だが、彼女は立ち上がらなかった。


彼女は見入っていた。


一コマの画面も見逃したくなかった。


あの銀髪の女性がカルガスの拳影の間を移動するのを見て、目をどんどん見開き、口も微かに開いたが、一言も発することができなかった。


カルガスの出拳は速すぎた。


速すぎて、彼女の動体視力は曖昧な残像しか捉えられない。


だが、あの女性。


あの聖剣の魔女と名乗った女性は、一歩一歩がはっきりと遅いのに、一歩一歩が拳が到達する前に踏み出されている。


圧倒的な遅さで、極致の速さを制圧している。そんな芸当、聞いたこともない。


これは速度の対決ではない。


リズムの圧殺だ。


カルガスは完全に相手のペースに呑まれている。


彼が一拳を繰り出すたび、魔女はすでにこの拳がどこに当たるか、次の拳の発力の間隙がどれほどか、彼の換気のタイミングがどこかを知っている。


予測ではない——掌握だ。


指揮者が辛うじて使える楽団員を指揮するように。


彼女は突然従姉を思い出した。


エステラは強い。


強すぎて、そこに立っているだけで人を安心させる。


だがエステラの強さは見えるものだった。


魔力、剣技、速度と力の完璧な結合。


一つ一つの技が人を驚嘆させる。


そしてこの女性。


彼女は今まで、何の魔力も使っていない。


少なくとも肉眼では見えない。


あの西洋剣はただの普通の剣で、剣柄の魔晶すら装飾品に過ぎない。


彼女は純粋な剣術を使っている。


いや、剣術ですらない。


ただいくつかの最も基本的な動作。


斬、突、弾、圧。


剣を学んだことのある者なら、見習いでもできる動作。


だが彼女の手にかかれば、それらはまったく別の動きのように見えた。


一つ一つの動作の角度、力の入れ方、呼吸のリズム、全てを体に叩き込んでいる。


だがこの女性がやっているものは、彼女が学んだものとは全く違う。


自分は基礎の極限に触れたと思っていたが、今になって分かった。


門にすら入っていなかったのだ。


カルガスが後頸を一撃喰らった。


剣柄で打たれたのだ。


後頸の最も脆い場所を軽く叩かれた。


力加減は重くない。


ちょうど彼をよろめかせる程度。


まるで言うことを聞かない犬を躾けるように。


犬の躾というのはあまり上品ではない。


書道と言うべきだろう——手首を浮かせ、筆が躍るように。


一筆一筆が絶妙に制御され、一分の墨も多くなく、一毫の力も少なくない。


彼女の剣技には気と勢、そして極致の技巧しかない。


気は韻律、勢は方向、技巧は千錬百磨の後に残ったほんの少しの最も純粋なもの。


魔力は不要。


闘気も不要。


華美な増幅も一切不要。


剣は剣、振り下ろせばそれで十分。


カルガスが体勢を立て直し、手を上げて後頸を触った。


指先が急速に腫れ上がった皮膚に触れた。


彼の顔に初めて笑顔以外の表情が浮かんだ。


眉が低く圧され、瞳孔が収縮し、唇が裂けた笑みから固く結ばれた線に変わった。


猟師が獲物が予想より危険だと気づいたときの本能的な警戒。


「違う」


彼の声が低く沈んだ。


深紅の魔力光がナックルダスターの上で明滅した。


「てめえは治癒系じゃねえ」


彼は向かいの女性を改めて見定めた。


黒白の軍服風スカート、細身の西洋剣。


治癒系の魔力光は通常緑色か白色で、柔らかく攻撃性を持たない。


この女性が最初に投げたあの緑光は確かに純正の治癒魔法だったが、純粋なヒーラーが彼の連打の下で息一つ乱さず、反撃までできるはずがない。


まさか自分がとんでもないババを引いて、星辰級、いや輝光級にでも遭遇したのか。


それに、さっきの後頸への一撃。


明らかに剣刃で直接斬首できたのに、わざわざ半回転させて剣柄で叩いた。


殺す気がなかった。


殺す気がないということは、この戦闘をまったく本気と見なしていないということだ。


カルガスは深く息を吸い、肺の中で湧き上がる血腥い味と挫折感を一緒に押し下げ、それから口を裂いて笑った。


獣が激怒した後に見せる牙のように。


「面白い。面白すぎるぜ!」


彼は両腕を一振りし、深紅の魔力光が猛然と暴騰した。


ナックルダスターから肩へ、肩から上半身全体へ蔓延していく。


魔力の密度が絶え間なく上昇していく。


「俺様、こんな相手に会うの久しぶりだぜ! 治癒系でも剣士でも関係ねえ。重要なのは――てめえが、ブチ壊し甲斐のある『硬え獲物』だってことだァ! てめえの骨を一寸一寸握り潰したとき、その無表情なツラが歪むのを拝んでやるよ!」


彼は両拳を胸の前に掲げ、ナックルダスターを向かい合わせ、力いっぱい打ち合わせた。


魔力の爆発が走廊両側の壁の松明を衝撃で吹き飛ばし、ガラスのランプシェードが砕け散る脆い音が闇の中で何倍にも拡大された。


地面が震動し始め、砕石が天井からパラパラと落ちてきた。


深紅の魔力光はすでに実体に近い濃度に達し、カルガスの身体に半透明の外骨格状の光輪を形成していた。


彼の瞳孔が闇の中で燃え、声が胸腔の最深部から咆哮として吐き出された。


「もう一度だ! てめえの骨、いつまで持つか見せてみろ!」




【第八十二話・終】

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