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第二十七話:母の愛から逃げ場なし

新キャラの正体、皆さんはもうお察しだろうか——今回、答え合わせの回である。

(……)


ウリエルの頭が、フル回転していた。

かなり必死に回転していた。

冷却ファンが限界突破する音が、自分でも聞こえる気がした。


その場に立ち尽くしたまま、思考という名の列車が、予想外のカーブであっさり脱線していくのを感じた。


(待て)

(待て待て待て待て)

(銀髪。金色の目。あの表情。あの「褒めてくれないの?」という顔)


部屋に入った瞬間から、なんとなく予感はあった。

確認するまでもなかった。


ウリエルは振り返って、扉を閉めた。


バン。


廊下にその音が響き渡った。

続いて、鍵のかかる音。


カチャ。


扉に背中を預けて、天井を見上げた。


(俺は誰だ、ここはどこだ)

(よし)

(現状を整理しよう)


(一、ここは高等学院の402号室)

(二、室友は、普通の意味での室友ではない可能性が極めて高い)

(三、あの金色の瞳と、あの「さあ驚け」という顔は、この世界に一人しかいない)

(四、髪を切っていた)


(……短髪)


思考がそこに引っかかった。


短髪。

ガラティーナが短髪にしているのを、ウリエルは一度も見たことがなかった。

「十四歳」になった時でさえ、髪は長かった。色が変わっただけで、長さはそのままだった。


今回は——


(今回は違う趣向だ)

(男装で、しかも、わりと、悪くない……)


そこまで考えて、こめかみのあたりで何かが規則正しく脈打っているのに気づいた。


まずい、あの赤い彗星みたいになりそうだ。


急いで深呼吸して、心の中で清浄の呪文を唱えた。


それから振り返って、ガラティーナの肩に手を置いた。

今は身長がほぼ同じで、その事実だけで「上下関係」という言葉に喉を突かれるような、奇妙な感覚があった。

声が少し震えているのは自分でわかった。なんとか表面上は保っているが。


「聞かせてくれ」

「うん?」

「その格好で、男子の共同浴場に、どうやって入るつもりだ——!?」


ウリエルは一語一語区切って言った。

ガラティーナは首を少し傾けた。


「あ、それは——この部屋、専用の浴室が付いてるから」


「これの何が問題なの?」と言わんばかりの顔で、視線をさらりと右へ流した。


ウリエルは手を離して、自分のベッドの端に腰を下ろした。

なぜ「自分の」とわかるかといえば、ガラティーナが既に全部整えてくれていたからだ。

両手で膝をつかんで、しばらく考え込んだ。


(個室風呂)

(よし、その問題は解決だ)

(……本当に解決したのか!?)


顔を上げて、もう一度向かいの人物を見た。


室内は明るかった。

カーテンは開いていて、正午前の陽光が差し込んで、紺色の制服を鮮やかに照らしていた。


短髪で、胸が平らで、背丈はほぼ同じだが少し小柄に見える。

立ち姿が真っ直ぐで、その小さい体格に不釣り合いな、説明のつかない威圧感を纏っている。

普通の鞘に無理やり押し込まれた名刀のようで、今はなんとか収まっているが、いつ鞘を内側から押し割っても不思議ではない。


(……)


視線が、首元の襟のあたりで一瞬止まった。

それからすぐに移動した。


「……どうやって、その胸を平らにしたんだ?」


言葉にした瞬間、我ながらデリカシーのない言い方だったと反省したが、より適切な言い回しが咄嗟に出てこなかった。

そのまま表情を保った。

純粋に気になったのだ。落差が大きすぎて。ティナだった頃ですら今よりはずっと——


「知りたい?」

ガラティーナの目に、星が灯った。

ウリエルが死ぬほど見慣れた、「ママが子どもに面白いことを見せようとする時」の輝き方だ。


「い、いい——」


「見せてあげる」


ウリエルは即座に察した。


彼女の手が、もう襟元へ伸びていた。


「待——待て待て待て待て!!」


ウリエルはバネのように飛び起き、この人生で最速の動きで両目を手で覆い、ベッドの内側に転がり込んで、壁に向かってうずくまった。

後頸から熱が這い上がって、そのまま顔全体へ広がった。


「ママ、何してるんですか!!」


「ちょっと見せるだけだよぉ、さっき、どうやって平らにしたのかって聞いたじゃない——」


後ろから声がした。

まったく悪気のない、純粋に困惑した声だった。


「あれはただの感嘆詞!! ただの例えだろ!!!」


「感嘆詞にも、答えはあると思うんだけど……ウリちゃんって小さい頃からそうだよねぇ、聞いてるのに答えを聞かなくて……」


少し間があって、彼女は真剣に補足した。


「あれは感嘆詞で質問じゃなかったんです!!!」

「どう違うの?」

「全然違います!!!!」


ウリエルは目を覆ったまま、手の甲まで熱くなっていることに気づいた。

同時に、頭の中で相当混乱した内部裁判が開廷していた。


(道徳)

(倫理)

(母さん、その二つの単語を聞いたことがあるか)

(それとも今、向こうで本当に襟を開けているのか。俺は今、背を向けて目も塞いでいる。確認のしようがない。何かいい方法はないか)


後ろで、衣擦れの音がした。


ウリエルは息をとめた。


しばらく待った。

おそるおそる手をずらして、斜め後ろを薄目で確認した。

ボタンが全部留まっているのを確認してから、ようやく体ごと向き直った。


ガラティーナはもとの場所に立って、こちらを見ていた。

制服の襟は最上段まできっちり留まっていた。

表情は、無実の人のそれだった。


「布を、ぐるぐると巻くの、聞いてると辛そうでしょ?」


彼女は言いながら、指先で輪を描いてみせた。


「……」


「でもきつく巻いたら、慣れたらわりと感覚なくなるよ——」


そう言いながら、引っ張るような仕草をした。


「止めて、一回止めてくれ、頭を整理する」


ウリエルは鼻の付け根を押さえた。


「何を整理するの?」


「全部を」


彼女はまた首を傾けた。

ウリエルのことを見る目が、小さい頃に腐肉の塊を引っ張って帰ってきて、なぜ自分が扉の裏に押し込まれて三分間深呼吸させられているのか理解できない、あの時の目と、完全に同じだった。


(……そうだ、ずっとこうだった)

(十年かけて一ミリも変わらなかった。これからも変わらないだろう)


「現実を受け入れる」という何かが、錨石のようにゆっくりと胸の中に沈んでいった。

危うく一息詰まるところだった。


ベッドの端まで戻った。


「宿舎の中にいる時は、元に戻していい」


ガラティーナはすぐには答えなかった。

じっとウリエルを見て、意味を咀嚼している顔だった。


ウリエルは少し居心地が悪くなって、付け足した。


「ぐるぐる巻くの、維持してると疲れるだろ。しんどいだろうし」


「……大丈夫、慣れてるから」


ガラティーナは少し考えてから、いつものように答えた。


「慣れなくていい、風呂は別なんだし、外ならともかく、宿舎の中では——」


ウリエルは言った。


「ウリエル」


彼女が、名前を呼んだ。

大きくはないが、話を止めるには十分な声だった。


ガラティーナは自分のベッドに腰を下ろした。

二つのベッドの間の通路は狭くて、向かい合って座ると、思ったより距離が近かった。


そしてウリエルに向かって、笑った。


「わかった」


たった一言。

軽く落ちてきたのに、着地した時の重さが、少し予想より大きかった。


ウリエルは目を逸らして、部屋の中を一周見た。


ベッドが二つ、それぞれ壁際。通路は二人が横に並んだらきつきつ。

彼女のデスクの上に、読み古した本が一冊、表紙を下にして伏せてある。小さなガラス瓶も置いてある。何が入っているかは、この距離ではわからない。


一瞥して、目を逸らした。


バルコニーの他に、もう一枚扉がある。

収納か、何かの部屋だろう。


部屋自体は悪くない。必要なものは揃っている。

隅に、風呂へ続く扉が半分開いている。


視線がその扉の上で止まった。


(……洗濯)


唐突に、そのことを思い出した。


(自分で最後に洗濯したのは、いつだ)

(この三年間、一年目は自分でやっていたと思う。でも二年目からは——全部、彼女がやってくれていた)


思わず天を仰ぎ、泣くべきか笑うべきかもわからなかった。


(これからも、たぶん、自分でやらなくていいんだろう)


その考えが頭の中に落ちた瞬間、口元が——動いた気がした。


笑っていない。

確認した。

笑っていない。

ただ、意志と関係なく、口元の筋肉が少し動いただけだ。


ウリエルは絵に描いたような渋い顔を作って、荷物箱を引き出してきて、中身を整理し始めた。


「いつ着いたの」


「朝だよ、ウリちゃんより少し早くて、先に荷物を片付けてた」


ガラティーナの声が隣から来た。


ウリエルの手が、止まった。

彼女がもう寄ってきていた。


ため息をついて、荷物を確認した。


お菓子が七種類、ひっそりと一番上に並べられていた。

油紙でそれぞれ包まれていて、封口には——「ウリちゃん」と書かれた小さな紙が貼ってある。

まるで幼稚園児がおやつを取り違えないように、先生が名前を書いて貼るあれだ。


(……本当に七種類ある)

(昨夜、一個一個数えたのか)


お菓子を一包みずつ取り出して、枕元に置いていった。

すると、ガラティーナがそれを受け取って、横のデスクへ移してくれた。

何も言わなくても、自然に、何年もそうしてきたみたいに。


窓の外で鳥が鳴いていた。

遠くて細かくて、風に乗って来ては、また風に流されていった。


ウリエルはベッドの端に座って、かかとをベッドの縁にひっかけて、ゆらゆらと足を揺らした。


そのリズムが——何年も前、孤児院の窓枠に腰かけて、約束した相手を待ていた時のものと、同じだった。




【第二十七話・終】

母の愛からは、高等学院に入っても逃げ場がない。むしろ距離はゼロになった。同じ部屋、向かいのベッド、七種類のお菓子。ウリエルの理性は今日も試されている。


最後までお読みいただき、ありがとうございます!


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