第十五話:こうして、決まった
今回、ママがまたとんでもない能力を発揮しますが……なんとこれ、息子についていくために「今さっき思いついた」らしいです。
以前は考えたこともなかったということは、つまりこの最強のママ、まだまだ「成長期」ってことですよね。
ということは、これから先もっと強く(ヤバく)なっていくんでしょうか……。
ウリエル君、頑張れ(笑)。
それでは本編をどうぞ!
ウリエルはガラティーナに、一から順に説明した。
寄宿制、三年制、日常の授業内容、魔力測定、統一管理。
ガラティーナは向かいに座って、真剣に最後まで聞いた。
「通学は、できないの?」
ガラティーナが一番気になった部分だけを繰り返した。
コップが宙で止まったまま、口元へも運ばれず、卓に下ろされもしなかった。
(そこだけ?)
「うん、全員寄宿」
ウリエルは向かいに座って、机の縁を指でカリカリと引っ掻きながら、少し居心地悪そうにしていた。
「図書管理員が必要でしょうねぇ」
ガラティーナが言った。
「ママ、応募しようかしらぁ」
ウリエルの顎がカクンと落ちた。
「それか寮監」
ガラティーナは息子の呆然とした顔を気にとめず、独りで計画を立て続けた。
「夜の見回りをすれば、いつでもウリちゃんの顔が見られるし。それか食堂、毎日ちゃんと食べてるかを直接見られる」
指先を唇にそっと当てて、真顔で補足した。
「食堂のおばちゃんって、資格はいらないわよね、たぶん」
「先生でもいいかなってぇ。ママが教えられることって、けっこうあると思うのよぉ」
最後に、ガラティーナはここ数年子供たちを教えてきたことまで思い出したようだった。
ウリエルは椅子に座ったまま、黙った。
(やべえ)
(ママ、本気だ)
深く息を吸って、頭をフル回転させた。
図書管理員、寮監、食堂、教員——。
どれに就いても、ガラティーナがそこに立った瞬間、その場所は向こう三年間、学院で一番騒がしい場所になる。
能力の問題ではない。
ただ、この人がそこにいるというだけで。
その気質、その顔立ち、人混みに入るだけで全員が自然と振り返ってしまうあの存在感が、問題なのだ。
ウリエルは言いかけた言葉を全部飲み込んで、深呼吸一回に変換した。
思いつく限りの理由を並べて、一番核心を突くものだけを選んだ。
「ママ」
できるだけ穏やかに、できるだけ説得力がある声で。
「ママ自身のことなんだけど——少し、目立ちすぎると思わない?」
一拍。
「そこにいるだけで、何もしなくても、普通の図書管理員とは雰囲気が違う。普通の何かとも、たぶん少し違う」
言わなかった後半分はこうだ。
ママは元勇者で——知っている人間が一人でもいれば、あるいは少しでも目が利く者がいれば——服を変えても、俯いても、食堂の厨房に立っていても——あの気質は絶対に隠せない。
でも言わなかった。
まず、ママの反応を見たかった。
ガラティーナは真剣に消化して、少し考えてから、静かに言った。
「じゃあこうする」
「……どうするの」
「あなたは学院に住んで、何かあったら呼んで。ウリちゃんがママを呼んだら、一秒以内に隣に行くから」
ウリエルは再び黙った。
(一秒以内?)
(隣に?)
(ママ、それって……)
彼はうつむき、額に手を当ててゴシゴシと擦った。
「ママ」
顔を引きつらせながら、なんとか声の平穏だけは保った。
「転移魔法って、そんなに当たり前のものじゃないんだよ」
「……」
「学院の中で、みんなの前で」
眉間を揉んだ。
「想像してみて。俺が授業を普通に受けてる最中に、突然ママが空気の中から現れたら——」
ガラティーナは真剣に考えた。
「空気の中からは出てこないよ」
真顔で訂正した。
「ちゃんと扉を使う」
(空気の中に扉を開けるのも十分目立つんですが! っていうかそこじゃなくて!)
ウリエルは両手で顔を覆って、卓に向かって深呼吸をした。
奇声の代わりに。
(ママ、あなたの論理って、いつもこうなの。問題はない、対策はある、解決できないことはない、まだ考えていない角度があるだけ。でもその対策が実行されるたびに、なぜか毎回大惨事になる)
「……それはもっと目立つ」
「そう?」
「うん。非常に、非常に目立つ」
「じゃあ」
ガラティーナは膝の上で手を組んで、上を向いて考えた。
それから、別の方向へ切り替えた。
「ママ、姿を変えてみようかしらぁ?」
「……変身?」
「うん」
ウリエルは眉をひそめた。
「ママ、変身なんてできるの?」
「試してみるわぁ」
彼女は言った。
そしてすぐやり始めた。
ウリエルが顔を上げると、ガラティーナが部屋の中央へ二歩歩み出て、立ち止まって、そっと目を閉じていた。
それから——気質が、わずかに変わり始めた。
内側へ、収まっていく。
あの微妙な神性の圧迫感が、内に引っ込んだ。
まだある。でもうっすらとした紗がかかったように、輪郭が少しぼやけた。
エアコンにカバーをかけたような感じだった。
一回目、銀髪が茶色に変わり、髪型も普通の主婦が結うような太い三つ編みへと変わった。
ウリエルは一瞥した。
(……)
同じ目だった。
同じ顔だった。
どこから来るのかわからない、あの「側にいると心が安らぐ」気質は、そのままだった。
輝く星に布を被せたようなもので——布まで光っていた。
「ママ」
彼は言った。
「まだ目立つ」
「これは?」
調整した。
今度は眉がわずかに寄って、普通の人間らしい小さな疲れが加わった。
まだだめだった。
「ママ」
「まだ目立つ」
「……」
三回目、四回目、五回目。
髪型、服装、表情、立ち姿。
変えるたびに、結論は同じだった。
ウリエルは額に手を当てて、手のひらで目を覆って、深い疲労を感じた。
(……)
(ママ、そのオーラは、ママという存在そのものに刻まれてるんだ。何で隠しても、隠せない)
「もういい、試さなくて。ママ、麻袋を着ても無理だから」
ガラティーナは自分をちらと見下ろして、反論しなかった。
ただ、少し考え込むように頭を掻いた。
次にウリエルが向かいを見た時、そこにいたのはさっきのガラティーナではなかった。
銀髪は、銀髪のまま。
金の瞳も、金の瞳のまま。
顔立ちも、同じ顔立ちのまま。
でも——輪郭の線が、一回り柔らかくなっていた。
身長が頭一つ近く縮んでいた。
体のラインも、あどけなさを帯びていた。
年月と力が積み重なって作り上げたあの重厚な気配が、きれいに収まって——代わりに、年齢相応の、軽やかで澄んだ少女らしさが漂っていた。
正確に言えば、全体的に若返っていた。
若返り方が、少し……。
ウリエルは縮んだ彼女を、上から下まで、黙って眺めた。
(……)
(そんな変化もできるの?)
若返ったことで、あの言葉にならない神聖な雰囲気が、奇妙なことに別の何かへと変質していた。
もっと近い言葉で言うなら——
(ちょっと待って——)
ウリエルの頭の中で、何かがぴんと張り詰めた。
(やばい。ロリ……いや、少女ママ)
「ママ」
ゆっくりと口を開いた。
「今、大体……何歳に見える?」
自分なりに計算して。
「十三か四歳?」
「うん」
ガラティーナは今やウリエルとほぼ同じ目線の高さになっていて、真っ直ぐ彼を見ていた。
「そのくらいかな」
「……」
(俺、今年十二歳)
ウリエルは事態が肉眼で見えるほどの速度で、とある非常によくない方向へ疾走しているのを感じた。
「ママ」
少し喉が渇いた声で。
「まさか……」
「ん?」
ガラティーナが瞬いた。
彼女は両頬に両手を添えて、ふわっと花が咲くような愛らしいポーズをごく自然に取り——若返ったぶんだけ余計に様になる声で、真剣に言った。
「これなら、たぶん」
「生徒として一緒に入学するしかないね」
ウリエルの椅子の脚が、床に軽くこすれた。
彼は卓の縁を掴んだ。
内心で、その音と同じ悲鳴が上がった。
(……)
(ママ)
(ママ!)
(それって学院の中で、俺が同級生になったママのことを——)
(そういう趣味の人もいるのはわかってるけど、俺はそうじゃないんだけど——)
ガラティーナが首を傾けた。
十歳若返ったその顔で、その動作がどこまでも自然で、むしろ以前より可愛くすら見えた。
「同級生がいいかしらぁ?」
「……」
「それはいいかも」
さらりと言った。
今晩の夕食を相談するような口調で。
「ノートも取ってあげられるしぃ」
ウリエルはまたまた黙り込んだ。
窓の外で秋風が落ち葉を揺らして、さわさわと、軽やかに、無邪気に鳴っていた。
この会話のことなど何も知らないように。
「そういえば」
ウリエルが何かを思い出した。
「五歳の時……あの時もこれを使わなかったのは、まさか今さっき思いついたばかりだからなの?」
ガラティーナは目を瞬かせて、少し考えて、それからすんなりと頷いた。
「うん、前はできなかった」
「……」
「ウリちゃんの学校についていけるように」
彼女は何でもないことを言う口調で、少しだけ誇らしそうに言った。
「さっき初めてできるようになったのよぉ」
ウリエルは今すぐ壁に向かって歩いて、額を壁に打ちつけたかった。
(愛の力って、無限大なの。そういうこと?)
俯いて、床を見て、何も言葉が出てこなかった。
この中に真意はあるが、語ろうとすれば言葉を忘れる。
【第十五話・終】
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