第百十話:オートパリィ
完璧なはずの解法は、母のフィルターを通った瞬間、別のルートへと暴走し始める。
ウリエルは半メートル幅の巨大な羽毛枕を高々と掲げ、ベッドの上に立っていた。
ベッドの三人の少女は全員固まった。
誰もこの極めて奇妙な展開を理解できなかった。
「コホン」
ウリエルは喉を鳴らし、枕を右手から左手に持ち替え、でまかせのハッタリをかまし始めた。
「これをただの遊びだと思うなよ。魔力に頼らず、身体能力だけで戦う。これが戦闘本能を最も直接的に確かめる方法だ。枕は、えっと……まあ、実戦で使う近接武器と似たようなところが多い。お前たち——最近の実戦訓練はどうなってる?」
この一言は効いた。
ルミナとフェンリアの目が瞬時に輝いた。
顔の困惑が一掃される。
ルミナは姿勢を正し、指を髪から離して、いつもの冷静な口調を取り戻した。
「なるほど。魔力を禁じた状態で近接戦を模擬する。確かに普段魔法に依存している時に見落としている体術の弱点を暴露できます。書記官の教育方法は相変わらず独創的ですね」
フェンリアは「戦闘」という二文字だけ理解して、うつ伏せの姿勢から一回転して座り直し、ついでに枕を一つ掴んだ。
尻尾が左右に揺れる。
「ケンカ! やる!」
キラだけが、口角を無意識に下げ、肩が微かに少しだけ落ちた。
露骨にガッカリした顔をした。
その表情は一瞬で消え、他の誰も気づかないほど速かった——だがウリエルは気づいた。
しかし彼女は何も言わず、黙って入ってきて、ベッドの足元で立ち止まった。
「それじゃあ」
ウリエルはベッドの足元でまだ両手を合わせてニコニコ見物している母親を振り返り、悪い笑みを浮かべた。
「ルールは簡単——四対一。俺たちで魔女をやっつける。全軍出撃!」
だが少女たちは動かず、視線がウリエルとガラティーナの間を行き来した。
ルミナが最初に口を開いた。
「魔女様に手を出すんですか?」
「訓練だ」
ウリエルは顔色一つ変えない。
「魔女は最強だから、お前たちのレベルを上げられる。お前たち三人——まさか怖気づいたか?」
挑発されると、フェンリアは飛びかかった。
枕が、ガラティーナが咄嗟に上げた腕に当たり、鈍い音を立てた。
ガラティーナは「あらぁ」と声を上げ、横から飛んできた二個目の枕を受け止めた——ルミナの攻撃角度は狡猾で、仁義なき不意打ちだった。
それから三個目の枕が正確に彼女の後頭部を直撃した。
キラが投げたものだ。
ウリエルも混乱に乗じて母さんに枕を投げたが、弾薬補給なのか奇襲なのかは定かではない。
極めて混沌とした無魔力肉弾戦が国王スイートルームで完全に勃発した。
羽毛が空中を舞う。
その夜の戦況は凄まじく、枕がそこら中に投げられ、フェンリアはベッドから絨毯に、絨毯からベッドの下に転がった。
キラは混戦中に誰かの枕を顔面に食らい、後で判明したのはルミナの流れ弾だった。
ウリエルはこっそりサボり、枕が身の回りに落ちたら適当に投げて、誰に当たっても構わない。
ガラティーナは最初から最後まで笑っていた。
とても楽しそうに笑って、他の少女たちとまるで同年代のようで、枕が人に当たる鈍い音と極めて奇妙なコントラストを形成していた。
四人の「挑戦者」は最終的に体力を使い果たし、てんでばらばらに大ベッドに倒れた。
誰も電気を消すことを覚えておらず、誰も布団をかけず、最後は母さんが電気を消して、一人一人に布団をかけてくれた。
ウリエルは腕に伝わる湿った熱い感触で目を覚まされた。
ぼんやりと目を開けて、よく見る。
キラが彼の腕を抱きしめ、顔を彼の袖に埋めている。
髪は鳥の巣のように乱れ、前髪が完全に跳ね上がって、静かな寝顔が露わになっている。
少し不気味に笑っていて、何の夢を見ているのか分からない。
本当の問題は涎だ。
透明な液体が彼女の口角から染み出し、彼の袖の一部を浸し、面積がまだ拡大し続けている。
彼は首を持ち上げてベッドの足元を見るのに苦労した。
フェンリアは全身が百八十度回転し、頭が昨夜の枕の山に埋まり、両足がベッドの縁にかかっている。
寝姿はひっくり返ったカブトムシのようで、腹を天に向け、片足がもう片方の足に乗り、尻尾が緩く腹に乗っている。
ルミナは横向きに丸まってベッドの最も左側にいて、全員に背を向けている。
寝姿は昨夜入眠前と全く同じで、ただ髪が散らばっているだけだ。
ベッドの反対側はすでに空いていた。
布団が畳まれてベッドの足元に置かれ、枕がきちんと布団の上に積まれている。
ガラティーナは姿を消していて、彼女がいつ起きたのか分からない。
ウリエルはキラの腕の中から腕を抜こうと試みた。
二センチほど抜くと、キラが曖昧な呟きを発した。
「もう一回」
それからもっと強く抱きしめた。
この爆弾発言を聞いて、彼は諦めた。
目を閉じて、もう一度寝ることにした。
再び目を開けた時、大ベッドには彼一人しか残っていなかった。
ベッドサイドテーブルにトレイが置かれ、トレイには豊富な朝食が並んでいる。
目玉焼きはハート型だった——たぶん専用の型で焼いたのだろう。
ガラティーナがベッド脇のソファに座り、静かに彼を見つめていた。
目には母性愛が満ちている。
「ウリちゃん起きたねぇ。昨夜の大戦で、腰は痛くない? ママが揉んであげる」
「……いらない」
ウリエルは体を起こして座り、口をもぐもぐさせながら朝食を楽しみ始めた。
「みんなは?」
「キラは朝早く出かけたよ。ビジネス運営を処理するって」
ガラティーナは指を折って数えた。
「ルミナは情報活動を展開しに行った。王国の方で最近動きがあるから、監視するって。フェンリアは下で魔法少女を訓練してるよぉ。たぶん体力訓練してるんだと思うねぇ」
ウリエルは頷いて、何も言わなかった。
旅団の者たちはそれぞれの役割を果たし、整然と運営されている。
彼という書記官がかえって最も暇な人間になった。
昼間の金雀花ホテル最上階は確かにとても暇だった。
ウリエルは適当に場所を見つけて座り、手にペンと小さなノートを持ち、時々数行書いて、時々頭を上げてぼんやりする。
旅団の次のステップは何か、これらはゆっくり考える必要がある。
書き疲れたらソファにもたれかかって、母さんがオープンキッチンで忙しく働くのを見る。
彼女は知らない小曲を口ずさみながら、次々とスイーツを作り出す。
時々彼女は直接訓練の相手になることもある。
相手と言っても、実際は訓練室の真ん中に立って訓練用の的になり、魔法少女たちに順番に各種スキルや技を使わせるだけだ。
魔法少女たちは列を作り、一人ずつ前に出て、緊張で指が震え、詠唱の呪文がたどたどしい。
ウリエルは無表情でその光景を横目に、突然母さんがタンスの角に足の小指をぶつけたら、その痛みと魔法少女たちが今味わっている痛みの、果たしてどっちが痛いのだろうかと好奇心を抱いた。
しかし、魔法少女たちのひそひそ話は最初から止まらなかった。
明らかに彼はただぼんやりしているだけなのに、彼女たちの小声の議論が聞こえる。
「書記官様は今日窓辺に30分動かずに座っていた。きっと極めて複雑な戦略計画を準備しているに違いない……」
「さっき三行書いて二行消した。脚本がきっと何度も改訂されたんだ」
その後の数日間、旅団には奇妙な狂熱的な雰囲気が漂っていた。
彼が寝ぼけ眼でリビングに水を探しに行くと、部下たちがひそひそ話す。
「あの疲れた顔色を見て。大人は昨夜また徹夜で教団危機を処理したんだ!」
彼が下の階をぶらぶら一周して戻ってくると、「自ら情報を収集し、ついでに教団幹部を何人か処理した可能性がある」という新バージョンが聞こえる。
ウリエルはトレイを持ち、無表情で部屋に戻り、額をドアに強く押し付けた。
彼のSAN値は、この脳内補完能力が強すぎる娘たちにじわじわと削られている。
ウリエルは心の中で決断した。
(こう消耗し続けるのは良くない。正直に話して、この危険な添い寝問題を一気に解決しないと)
四日目の朝、彼はわざとルミナ三人が全員出かけた後を待って、ガラティーナをリビングの隅のソファに引っ張って座らせた。
「母さん、話がある」
ガラティーナはこの言葉を聞いて、姿勢を正し、静かにウリエルが口を開くのを待った。
ウリエルの表情が、ぐっと引き締まった。
完璧な解法——魔法をもって魔法を制す。
彼はガラティーナの手を握り締め、直接彼の究極必殺技を繰り出した。
「母さん。俺にとって、この世界に母さんより優れた女性はいない」
彼は声を張り上げ、母親への強い敬愛を何の留保もなく、むしろ少し誇張を交えて完全にさらけ出した。
「母さんみたいな女性だけが俺の理想なんだ! 将来のパートナーが、母さんみたいに優れて、優しくて、強くなかったら、俺は絶対に好きになれない!」
ガラティーナは、そんな堂々たるマザコン発言を聞き終えると。
目元が一気に赤くなり、手で目元をこすった。
それからすすり泣きなのか何なのか分からない息の音を発し、ウリエルの心臓をギュッと掴まれるような思いにさせたが、しかし彼女の顔に浮かんだのは心から満足した笑顔だった。
「ママね、分かった。完全に分かったよぉ」
ウリエルは心の中でホッとした――その直後、危うく息が止まりかけた。
(良かった、分かってくれた)
(違う!? ダメだ!? そうじゃないだろ、何を分かったんだ!?)
(ちょっと待って待って待って、これは何か変なルートに入るんじゃないか)
ガラティーナは両手を叩き、パンと鋭い音を立てて、ウリエルはほとんど心室細動を起こしかけた。
彼女は立ち上がり、両手を拳にして胸の前に掲げた。
目の中の光はもう「明るい」では形容できなかった。
「任せて! ママは絶対にルミナ、フェンリア、キラをとってもとっても優秀な女の子に育てるから!」
ウリエルは一瞬彼女の思考についていけなかった。
「ママが直接戦闘技術を教えるし、料理も、家事も、人の世話の仕方も——みんな母さんみたいに優れた女性に育てる! それともウリちゃんが他に好きな女の子がいてもいいよ!」
ウリエルは自分の必殺技に処刑された。
ガラティーナが振り返ってドアの外へ歩いていくのを見送った。
足取りは雲の上を歩くように軽やかで、口の中で独り言を呟いている。
「どこから始めようかなぁ」
「ルミナは戦闘は問題ないけど料理がまだダメだねぇ」
「フェンリアは体術は良いけど礼儀を学ぶ必要があるねぇ」
「キラは恥ずかしがり屋すぎるから、ウリちゃんともっと話させないとねぇ」
部屋のドアが彼女の後ろで閉じた。
リビングにはウリエル一人しか残っていない。
K.O.
【第百十話・終】
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