第一章 MEちゃんとメリーちゃん ――病院勤務、五年目の秋。
第一章では、アキの日常が本格的に動き始めます。
「メーちゃん」が「メリーちゃん」になった経緯、心臓血管外科の一ノ瀬先生との出会い、そして廊下で声をかけてきた一人の老女——三つの出来事が、アキの中で静かに何かを変えていきます。
専門用語には引き続き説明を入れています。どうぞお付き合いください。
「メーちゃん、ちょっといい?」
声をかけてきたのは、内科病棟の古参看護師・田辺だった。アキが入職して最初の頃から、田辺はずっとそう呼んでいた。MEをそのまま「メー」と読んだだけの、特に悪意のない呼び名だ。
ME、すなわちMedical Engineer――臨床工学技士の英語略称である。正式にはCE(Clinical Engineer)と呼ばれ、そう呼んでいる病院もあるが、古くからの慣習でMEと呼ぶスタッフも多く、現場ではどちらも混在していた。アキが勤める病院でも、ベテランの看護師たちは揃って「MEさん」あるいは「メーちゃん」と呼ぶ。
アキは内心で小さくため息をついた。南條アキという名前が、この病院ではまだちゃんと機能していない。
「はい、なんでしょう」
「五号室の輸液ポンプ、なんかアラームが鳴りかけてるみたいで」
「確認します」
それだけ言って、アキは歩き出した。
輸液ポンプ(薬液を正確な速度で静脈に投与するための医療機器)のチェックは、CEの基本業務のひとつだ。病室に入り、機器のパネルを確認する。設定流量と実測値の乖離を見る。気泡センサーの反応を確かめる。チューブの折れや閉塞がないかを指でたどる。
「気泡が微量混入していました。アラーム履歴とライン全体を確認してから、チューブのセットをやり直します」
「ありがとう、メーちゃん」
返事をしながら、アキは慣れた手つきで作業を進めた。五分もかからない。パネルに正常を示すグリーンのランプが灯る。
廊下に出たところで、後ろから別の声がした。
「おつかれ、メーちゃん」
振り返ると、同期の鳥海ユウが病棟カートを押しながら歩いてきた。明るい髪色で、白衣がどこかふわりと見える。同じCEとは思えない軽やかさだが、仕事の腕は確かだとアキは知っていた。
「メーちゃんはやめてって言ってるでしょ」
「じゃあメリーちゃんで」
「それも違う」
ユウが笑った。「メーが訛ってメリーになったんだから、由来は同じだろ」
そう、そこが問題なのだ。
いつからかは正確にはわからない。「メーちゃん」という呼び名が病棟に定着し、それが日常会話の中で少しずつ変化し、気づけば「メリーさん」になっていた。そしてアキが女性だということで、さらに「メリーちゃん」と呼ばれるようになった。悪意はない。むしろ親しみの表れだと、誰もが思っているだろう。
だからこそ、アキはうまく反論できなかった。
――メリーって、誰だよ。
その日の夕方、アキは三西病棟(三階西側の一般病棟)の呼吸管理の確認に入った。
担当の看護師・今井は年次が上で、物言いがはっきりしている。アキが人工呼吸器の呼気側フィルターの交換時期を告げると、今井は眉をひそめた。
「それ、昨日も同じこと言いに来なかった?」
「昨日は加温加湿器の水の補充です。フィルター交換は別の作業です」
「でも昨日交換したばかりじゃないの」
「当院の感染対策基準では交換周期は七十二時間です。昨日では――」
「ちょっと待って」今井が遮った。「私、十年この仕事してるんだけど。CEさんに毎回細かく言われなくても、わかることはわかるのよ」
アキは一瞬、言葉を失った。
「……申し訳ありません。ただ、院内感染予防のガイドラインに基づいた交換周期で――」
「わかってます」
今井はそれだけ言って、ナースステーションに戻っていった。
アキはフィルターを交換し、交換日時をシールに記入して機器に貼り付けた。手順は完璧だ。記録も正確だ。何も間違っていない。
なのに廊下に出た瞬間、なぜか足が止まった。
喉の奥に、言葉にならない何かが詰まっている。悔しいのか。傷ついたのか。自分でもよくわからないまま、アキは窓の外を見た。西日が廊下を斜めに切っていた。
「あらあら」
ふいに声がした。
振り返ると、点滴スタンドを引きながらゆっくりと歩く老女がいた。七十代くらいだろうか。白髪をきれいにまとめ、薄いピンクの入院着を着ている。転倒防止のリストバンドが見えた。
「どうかしましたか」老女が声をかけてきた。「暗い顔してるわよ、お嬢さん」
「いえ、大丈夫です。お部屋に戻られますか、転倒に気をつけて――」
「あなた、機械の人でしょ」
アキは少し驚いて、老女の顔を見た。
「はい、臨床工学技士です」
「さっき、うちの部屋の前で機械触ってたでしょ。丁寧に丁寧に、指でなぞるみたいに。私、見てたのよ」
老女は目を細めた。皺の奥の目が、穏やかに光っている。
「あの子、やさしい顔してるのよ、って思ってたの。ナースさんに言ったらね、『そうでしょ、メリーちゃんって呼ばれてるんですよ』って教えてくれて」
老女がふふ、と笑った。
「メリーちゃん、か。似合ってるわよ。機械触る手がね、やさしいもの。そういう人が触った機械は、患者にもやさしくしてくれると思うのよ、私は」
アキは何も言えなかった。
言葉が出てくるより先に、胸の詰まりがすっと溶けるような感覚があった。
老女はそれ以上何も言わず、点滴スタンドをゆっくり引いて廊下の奥へ歩いていった。アキはその背中が角を曲がるまで、ただ立ち尽くしていた。
――やさしい顔。機械を触る手が、やさしい。
その言葉は、今井の言葉とはまるで違う重さで、アキの中に落ちた。正確さだけでは届かないものが、ここにあるのかもしれない。アキはゆっくりと息を吐いた。廊下の西日が、少しだけ橙色に変わっていた。
翌朝、アキは六時半には病院にいた。
始業は八時だ。それでも、朝の点検を自分のペースでこなすには、この時間に来なければ気が済まなかった。更衣室で白衣に着替え、CE室に寄って点検リストを確認してから、まず集中治療室へ向かう。これがアキの、誰にも頼まれていない日課だった。
ICU(集中治療室・Intensive Care Unit)の廊下は、朝でも夜でも同じ温度に保たれている。二十二度。患者の状態管理と機器の安定稼働のために、空調は一年中この設定だ。アキはその温度に入るたびに、なぜか背筋が伸びる気がした。ここは、気を抜いていい場所ではない。
自動ドアをくぐると、夜勤の看護師が振り返った。
「あ、メリーちゃん。早いね」
「おはようございます。夜間は問題なかったですか」
「二号床で一回アラーム出たけど、体位直したら戻ったよ。南條さんが昨日確認してくれてた子」
「記録を見てもいいですか」
ナースステーションで夜間の経過記録に目を通す。SpO₂の推移、気道内圧の変動、体温と脈拍。数値の流れを読むのは、楽譜を読むのに似ていると、アキはいつも思う。一つひとつの音符ではなく、流れとして見る。どこかに不自然な段差がないか。変化の予兆がないか。
「二号床、確認してきます」
ベッドサイドに立つ。七十代の男性患者。肺炎による急性呼吸不全で、人工呼吸器管理が続いている。アキは静かに機器を確認した。回路の結露。加温加湿器の水位。呼気弁の動作。すべて異常なし。気道内圧の波形も、昨夜より落ち着いている。
患者の顔を、ふと見た。
目は閉じている。眉間の皺が、眠っていても消えない。鎮静剤が入っているから意識はほぼない。それでも、この人の肺は今この瞬間も呼吸器に助けられて動いている。
アキは回路のチェックをもう一度、指先でなぞった。
昨日のおばあさんの言葉が、また頭をよぎった。
――機械を触る手が、やさしいもの。
自分の手がやさしいかどうかはわからない。ただ、丁寧にしようとは思っている。この機械が止まったら、この人の呼吸が止まる。そう思えば、雑には触れない。それだけのことだ。
記録をつけ終えて振り返ったとき、アキは人の気配に気づいて顔を上げた。
ドアの近く、白衣の男が立っていた。
三十代半ばだろうか。長身で、白衣の下にスクラブ(手術室などで着用する術衣)を着ている。手術室から来たばかりのような雰囲気だった。顔立ちは整っているが、表情がない。感情を外に出すことに興味がないのか、あるいは出す必要がないと思っているのか、ただそこに立っているだけで場の空気が変わる種類の人間だと、アキは直感した。
胸元の名札に目が行く。
一ノ瀬 凌。心臓血管外科。
アキは思わず、昨日の朝、更衣室で同期の中野夏希が声をひそめるようにして言っていた言葉を思い出した。「ねえアキ、一ノ瀬先生って怖い人らしいよ。外科チームの子が言ってた。要求が高くて、ダメなものはダメってはっきり言う人だって」。アキは「ふうん」と答えて流していたが、今その名前が目の前にある。
「点検か」
声は低く、抑揚が少ない。問いかけというより、確認だった。
「はい。朝の定期確認です」
「何か問題は」
「昨夜、体位変換後に気道内圧が一時上昇しましたが、現在は安定しています。回路、加温加湿器、呼気弁、すべて正常です」
一ノ瀬は答えず、アキの隣に来て自分でモニターを見た。波形を数秒見る。それだけで、何かを判断したらしかった。
「お前が昨日の夜間に確認に入ったCEか」
「はい」
「チェックシートを見た。完璧だった」
アキは少し戸惑った。褒められたのか、それとも当然だと言われたのか、判断がつかない言い方だった。
「ありがとうございます」
「なぜ朝も来る。始業前だろう」
「気になるので」
一ノ瀬がアキを見た。品定めするような目つきではない。ただ、見ている。
「マニュアルにそういう項目はないだろう」
「ないです」
「なのになぜやる」
アキは一瞬考えた。うまい言葉が見つからない。「気になるから」以外の答えを持っていなかった。
「……マニュアルは最低限の基準だと思っているので。それ以上をやるかどうかは、自分で決めることだと思っています」
一ノ瀬はまた、何も言わなかった。
沈黙が数秒続いた後、彼はモニターから目を離して歩き出した。
「南條、だな」
「はい」
「覚えた」
一歩踏み出してから、一ノ瀬は振り返らずに言った。「名前は、呼ばれるものじゃなく使うものだ」それだけ言って、一ノ瀬は病室を出ていった。
アキはしばらく、その背中が消えた扉を見ていた。
褒められた感触はない。評価された感触もない。ただ、名前を呼ばれた。南條、と。メリーちゃんでも、メーちゃんでもなく。
胸の中に、小さな火種のようなものが灯った。それが何なのか、アキにはまだわからなかった。
その日の午後、ユウがCE室に戻ってくるなりアキの席に寄りかかった。
「一ノ瀬先生と話したって本当?」
「誰から聞いたの」
「ICUの柴田さん。一ノ瀬先生が南條と話してたって、めちゃくちゃ驚いてた。あの先生、基本的にCEには何も言わない人らしい」
アキはペンを置いた。「何も言わないって」
「良くも悪くも、だって。仕事の要求は高いけど、直接話しかけてくることはほぼないって。何か問題があれば記録に書いて終わり。それ以上は関与しない」
「……そうなんだ」
「だから柴田さん、びっくりしてた。南條と話してたって」ユウがにやりとした。「何を話したの?」
「朝の点検について少し」
「それだけ?」
「あとは、名前を覚えた、って言われた」
ユウが口を閉じた。珍しく、言葉が出てこないようだった。
「……それ、かなりすごいことだぞ、たぶん」
「どうして」
「一ノ瀬先生が個人として認識したってことだろ。機械担当のCEじゃなくて、南條アキという人間を」
アキは少し考えた。一ノ瀬が言った言葉を頭の中で再生する。「完璧だった」。「覚えた」。それだけだ。でも、確かにその二言は、ほかの誰かから言われたどんな言葉とも、重さが違った。
「なんで、だろう」
ひとりごとのつもりだったが、ユウが聞いていた。
「なんでって?」
「あの人の言葉って、重いんだよね。なんでかわからないけど」
ユウが少し真面目な顔になった。「たぶん、あの人が言葉を大事にしてるからじゃないか。余分なことを言わない人は、言う言葉の密度が違う」
アキはその言葉を聞いて、静かに息を吐いた。
余分なことを言わない。
自分はどうだろう。マニュアルの言葉を正確に伝えることには長けている。でも、自分の言葉で何かを伝えることが、自分は得意ではないかもしれない。おばあさんに「やさしい顔してる」と言われたとき、アキは何も言えなかった。ありがとうございますと言ったかどうかも、記憶が曖昧だ。
「ユウ」
「ん?」
「私、自分の言葉って持ってるかな」
ユウが一瞬きょとんとして、それからゆっくりと笑った。
「持ってるよ。使うのが下手なだけで」
「それ、フォローになってない」
「でも本当のことだろ」
アキはユウを横目で見た。軽口に見えて、このひとはときどき、妙に正確なことを言う。
「一ノ瀬先生が言ってた。名前は使うもの、って」
「へえ」ユウが少し考えた。「呼ばれる名前じゃなくて、自分で使う名前ってことじゃないか。南條アキっていう名前を、お前自身が使えてるか、ってこと」
アキは黙った。
窓の外で、夕方の風が樹を揺らしていた。病院の庭の欅が、葉を一枚、また一枚と散らしていく。
――南條アキという名前を、自分で使えているか。
答えは、まだなかった。でもその問いが生まれたこと自体が、何かの始まりだった。
ユウが立ち上がりながら、デスクに缶コーヒーをひとつ置いた。
「まあ、今日一日ちゃんとやったんだから」
「それだけ?」
「それだけでも十分だろ、今日は」
アキは缶コーヒーを手に取った。温かかった。自動販売機から出したばかりの温度だ。ユウが気を利かせて買ってきたのだろうが、それを指摘するのも何となく照れくさくて、アキは黙って一口飲んだ。
廊下の向こうで、どこかのモニターが静かに鼓動を刻んでいる。
ピッ、ピッ、ピッ。
誰かが、今夜も生きている。
その夜遅く、アキはもう一度だけICUに寄った。
消灯後の廊下は静かで、モニターの光だけが点滅している。二号床の患者は、昨夜と同じように眠っていた。眉間の皺は、少しだけ薄くなった気がした。気のせいかもしれない。
アキは呼吸器の波形をひとつ確認して、チェックリストに丸をつけた。それから、患者の顔をもう一度だけ見た。
この人の名前を、アキは知っている。記録の上での名前だ。でも、この人はアキのことを知らない。メリーちゃんとも、南條アキとも、臨床工学技士とも知らないまま、ただ機械に呼吸を助けられて眠っている。
それでいい、とアキは思う。知られなくてもいい。ただ、機械がちゃんと動いていれば。この人の肺が、今夜も明日も動き続けていれば。
――CEです。何でもござれ。
口には出さなかった。でもアキは初めて、その言葉を心の中で言ってみた。
似合わない、と思った。でも、いつか似合う日が来るかもしれない、とも思った。それで、今夜は十分だった。
チェックリストをファイルに戻し、アキはICUを出た。廊下の蛍光灯が、白く冷たく伸びている。
さらに翌朝、CE室でアキが点検記録を整理していると、ユウが出勤早々に声をかけてきた。
「昨夜また行ったろ、ICU」
「なんで知ってるの」
「柴田さんから聞いた。メリーちゃんが消灯後に来てたって」
アキは記録から目を上げなかった。「点検の続きがあったから」
「嘘つけ」ユウが笑いながら自分の席に座った。「お前、心配だから行ってたんだろ。二号床の人」
否定しなかった。否定しても、ユウには通じないとわかっていた。入職してから五年、隣で仕事をしてきた同期には、アキが言葉にしないことをなぜか読み取る癖がある。それが便利なときもあれば、少し鬱陶しいときもあった。
「心配、というより」アキはペンを止めた。「確かめたかった」
「何を」
「昨日ちゃんとやれたかどうかを」
ユウがしばらく黙った。それから、静かに言った。「ちゃんとやれてたよ。俺が保証する」
「ユウが見てたわけじゃないでしょ」
「見てなくても言える。お前が手を抜く場面を、俺は五年間一度も見たことがないから」
アキは返事をしなかった。でも、胸の中に何かが静かに落ち着く感覚があった。褒め言葉というより、事実の確認のような言い方が、アキには合っていた。
「ユウ」
「ん」
「昨日のおばあちゃんがね」アキはゆっくりと言った。「機械を触る手がやさしい、って言ってくれたんだ」
「うん、聞いた」
「メリーちゃんって呼ばれることが、ちょっとだけ、前と違って感じた」
ユウがアキを見た。何も言わなかったが、その目が少し柔らかくなった。
「前は嫌だったんだろ」
「嫌というより、納得できなかった。自分の名前じゃないから」
「今は?」
アキは少し考えた。窓の外に、秋の朝の光が差し込んでいる。病院の庭の欅はもうほとんど葉を落としかけていた。
「まだ納得はしてない。でも、あのおばあちゃんが言う意味でのメリーちゃんなら、悪くないかもしれないと思って」
「どういう意味で言ってたの」
「やさしい顔をしてる子、って」
ユウが少し笑った。「そりゃそうだろ」
「何が」
「お前はやさしい顔してるよ。気づいてなかったのか」
アキは少し黙った。自分の顔がやさしいかどうか、考えたことがなかった。几帳面で、正確で、マニュアルを守る人間だと思っていた。やさしい、という言葉は、自分には似合わないと思っていた。
「似合わないと思ってた」
「似合うよ」ユウがあっさりと言った。「機械触るときのお前の顔、患者に話しかけるときのお前の顔。どっちも同じ顔してる。ちゃんと大事にしようとしてる顔」
アキはユウを見た。ユウはもう自分のパソコンの画面に向かっていて、特に何かを期待しているわけでもない様子だった。ただ事実を述べた、というふうに。
そういうところが、このひとは、ずるい。
アキは記録に向き直った。チェックリストの一番上に、小さく「南條アキ 担当」と書いてある。名前は、ちゃんとある。ここにも、あそこにも。
――名前は、ちゃんとある。
メリーちゃん、でもいいかもしれない――と思ったのは、この朝が初めてだった。まだ完全に納得したわけではない。でも、あのおばあさんの言葉は、何かを変えた。
廊下の向こうで、モニター音が流れている。
ピッ、ピッ、ピッ。
誰かが今日も生きている。その音が、白い廊下の奥から静かに届いていた。
読んでくださってありがとうございます。
「名前は、呼ばれるものじゃなく使うものだ」という一ノ瀬先生の言葉、刺さりましたでしょうか。アキにとっては、この章が長い旅の最初の一歩です。
おばあさんの「やさしい顔してるのよ」という言葉は、現場で実際にあった会話をもとにしています。機械を触る人間の手を、ちゃんと見ていてくれる人がいる——そのことを、書きたかった場面です。
第二章へ続きます。




