〈嵐の到来…2〉
そしてそれは翌朝ステイルにもすぐに伝えられた。
流行病はもう鎮静化したと言っていたはずなのになぜアヤナーラ嬢が罹ってしまったのか。
なぜもっと慎重に行動しなかったのか。
その上最後の自らのあの行動…
昨日自分が取った行動全てが悔やまれる。
そしてステイルはそのままユリウスの制止も聞かず馬でアヤナーラの元へと向かっていった。
公爵邸に着いたステイルは医者やエミリーの制止を振り払いアヤナーラの寝室に入って行った。
眠り続けているアヤナーラの手を取り「アヤナーラ嬢、勝手にあなたの寝室に入ったことを許してくれ。どうか昨日の私の行動も許してほしい。どうすればまた私に微笑んでくれるあなたに会えるのか、私はこうも未熟だ…あなたに対しては全く余裕がなくなる…あなたを絶対に手放しはしない。必ず私があなたを治してみせる。」と涙を流しながら呟いた。
翌日、医者の話を聞くに、一度流行病に罹り治った者からの"魔力を込めた血"を使えば治ることがわかると、「それなら私の血を使え!私も昔一度だけ罹ったことがある。」と医者に告げる。
それに私の血がアヤナーラの中に入るのならば…これこそが私と一体になるということではないか、誰の血であろうと私以外の血などアヤナーラの中に入れさせない。全てにおいてアヤナーラは私のものだ。医者が触ることすら本当は嫌で仕方がない…
ステイルの魔力がこもった血を使い、しばらくするとアヤナーラの呼吸が安定してきた。
その日の夜、ユリウスから例の件についての報告があった。
「あの店の者に確認したところ、あのハンカチのデザインは滅多に見ないもので店主も珍しいからと旅商人から購入し一枚だけ置いてあったそうです。なので誰にも売ってないとのことです。
さらに"アキト"に関してですが、そのような変わった名前の方にはお会いしたことは無いとのことでした。念のため周りの店にもその人物について聞いてみましたが誰も知る者はおりませんでした。」
それを聞いたステイルはただ一言「そうか…」とだけ告げた。
ユリウスは、いつもはご苦労などと、労いの言葉を掛けてくださる殿下なのに、やはり彼女が関わるとおかしかなってしまう…と心の中で呟いた。




