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〈兄弟の絆と信頼〉

執務の合間、ルカヌスがアヤナーラとお茶を楽しんでいる。ルカヌスは相変わらず「兄上、そんなに怖い顔をしてるとアヤナーラに嫌われるよ」と冗談を飛ばすが、ステイルはかつてのように弟を敵視しなかった。


「ルカヌス、お前が彼女を笑わせてくれるなら、私も安心だ。……だが、あまり彼女を疲れさせるなよ。私の代わりに、彼女を守る盾になれ」


愛する人を共に守る「家族」として弟を認めた時、ステイルの心からは最後のとげが消えた。


ステイルが少し席を外した隙に、ルカヌスはお茶を一口飲み、アヤナーラに向き直った。

「アヤナーラ、兄上も変わったね。あの頃の氷のような姿が嘘のようだ」


「本当に変わられました。でも、ルカヌス様も変わりましたよ。とても優しい表情になられました。それに、誰よりも強くなられたではありませんか」

アヤナーラが慈しむように微笑む。


その聖母のような輝きに、ルカヌスは眩しそうに目を細めた。

「……参ったなあ。僕、君への気持ちを必死に押し殺してるのに、なんでそう溢れさせるようなこと言うかな。いっそのこと、僕とも結婚しようよ、アヤナーラ」

照れくさそうに、けれど一瞬だけ真剣な瞳でそう言ったルカヌス。


その言葉を、戻ってきたステイルが聞き逃すはずがなかった。


「それは無理だ! 絶対にアヤナーラは渡さないっ!」


ステイルが音を立てて机を叩かんばかりの勢いで飛んできて、アヤナーラをその場から引き離し、自分の背後に隠す。その必死すぎる姿は、王子というより、大切な宝物を取られまいとする少年のようだった。


「……ははっ、兄上、冗談だよ。でも、その独占欲が少しでも緩んだら、僕はいつでも本気にするからね」


慌てふためく兄と、彼に守られて幸せそうに笑うアヤナーラ。それを見て、ルカヌスはまた声を上げて笑った。その笑い声には、かつての劣等感など微塵も混じっていなかった。

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