〈公務の後の静寂と、熱い執着〉
「アヤナーラ様、お疲れ様でした。久しぶりの公務はいかがでしたか?」
公務を終え湯浴みをエミリーにしてもらっていた。
「エミリーもお疲れ様。久しぶりに皆様の前に出たからとっても緊張したわ。私、粗相はなかったかしら?」と首を傾げる。
「そんなことは一切ありませんでしたよ!逆にステイル様の方が…まだまだアヤナーラ様への独占欲はお強いですね」と苦笑いする。
「……私を大切にしてくださってるのが伝わってきて…私も嬉しいのよ…」と顔を赤らめる。
「でも公務の場での、あのやり取りは…ちょっとやり過ぎかもしれないわね。」と笑う。
「ステイル様は、きっと今夜は寝かせてくれませんね。アヤナーラ様、無理な時はしっかり拒むんですよ!」
そんなことを言われ、私の顔はさらに真っ赤になった。
エミリーは、昔のお嬢様に戻られた…と胸が熱くなるのを覚えた。
ーーー
重厚な寝室の扉が閉まった瞬間、ステイルはアヤナーラを背後から力強く抱きしめた。
「……やっと二人きりになったね」
ステイルの声は、先程までの凛としたものとは別人のように低く、熱く、震えていた。彼は彼女のうなじに顔を埋め、深く、深く、彼女の香りを吸い込む。まるでそうしなければ、胸に渦巻く嫉妬の毒が消えないとでもいうように。
「ステイル様……苦しいです。……それに、そんなに強く抱きしめなくても私はどこにも行きませんよ?」
アヤナーラが優しく彼の手の甲に触れるが、ステイルはその手を翻して彼女の指を絡め、壁際へと追い詰めた。
「…嘘だ。……今日の夜会で、君を見ていた男たちの目が…私にはわかってしまう。彼らは、君が私にだけ見せるはずのその優しい笑顔を、掠め取ろうとしていた。私はそんな男たちをしっかり覚えている。」
ステイルの瞳には、かつての静寂ではなく、焦燥に似た情熱が宿っている。
「私は正常に戻ったはずだった。だが、アヤ、君だけを見るようになってからというもの、心は以前よりもずっと狂っている。……君が微笑むたび、その喉を、その瞳を私だけのものにしたくて焼き尽くしたくなるんだ。」
「ステイル様…」
アヤナーラが驚きに目を見張る隙もなく、ステイルの唇が強引な彼女の言葉を奪った。
それは優しさよりも、執着を証明するための、深く、激しい口づけ。
「ねぇ、アヤ…"様"はいらない。"様"をつけられるたびに私が他人のように感じてしまう。ちゃんと名前で呼んで?」と切なそうに呟く。
「…ステイル…」
「……アヤ。今夜は私の熱だけで君を埋め尽くしたいがいいだろうか?他の男たちの記憶など一切残させない。」
「…はい。……あなたの愛なら、どんなに重くても私は嬉しいのです。」
彼女がそう答えた瞬間、ステイルの瞳からは理性が消え、愛おしさが爆発した。
彼は彼女の夜着の胸元に指を掛け、熱い吐息とともに囁く。
「………壊してしまいそうだ。だが、もう止められない…愛しているアヤ」
夜の静寂の中、ステイルの独占欲は甘い蜜のように彼女を絡め取り、二人の体温だけが夜の闇を溶かしていくのであった。




